NAVIライター&編集部おすすめ海外ドラマ総括|2017年前編

TVやレンタルでの視聴が一般的だった数年前から考えると、海外ドラマファンにとって最高な時代になりました。逆に、良作が溢れすぎてしまって何を見ていいかわからないという声もよく耳にします。

そこで、海外ドラマNAVIのライターと編集部スタッフが"2017年に新作ドラマあるいは新シリーズが放送&配信された作品限定"で、皆さんにおすすめしたいシリーズをそれぞれ3作品挙げてみました。2018年に見始めるドラマの候補にしてみてくださいね!

全27作品のうち、この前編では15作品をご紹介していきます。

目次
1.リーガル、サイバー、ポリティカルドラマが大好物。小学生の娘と一緒にティーン作品も楽しんでいるMocoが選ぶのは...
・豪華キャストで贈る、汚職やギャングが絡んだ犯罪サスペンス
・家族揃って謎解きもお料理も味わえるティーンドラマ
『24』のキーファー・サザーランドが今度は大統領に!

2.『スタトレ』『ドクター・フー』といったSFシリーズが大好きなサンディエゴ在住の園芸二が選ぶのは...
・野心的な設定に心躍る、久々の『スター・トレック』TVシリーズ
・シーズン終盤は屈指の出来栄え。愛すべきエージェントたちの運命は?
『スター・トレック』への愛にあふれた宇宙SFコメディ+ドラマ

3.ミュージカルや演劇、邦画、アニメも好きな雑食系。ミニシリーズや出始めたばかりの作品を探しては視聴している海外ドラマ初心者のマーモが選ぶのは...
・ケヴィン・ベーコンの色気と先の読めない展開に翻弄される型破りな作品
・バレエ界の裏側をえぐいほどに描いたイッキ見間違いなしのドラマ
・一話完結の全世界版"世にも奇妙な物語"

4. 今までに観た海外ドラマは227作品。タブーを笑いに変えてしまうブラックコメディ、日常を切り取ったようなリアリティのある作品が好きなAKNが選ぶのは...
・"ミレニアル世代あるある"がたくさん!NYに住むマイノリティたちのリアルな日常
・思春期の悩みを強烈なビジュアルで表現した大人向けR指定アニメ
・男性社会の80年代。女子プロレス界に輝く場所を見つけた女たちの再起の物語

5. 『ゴシップガール』『Glee』などの定番ドラマを経て、非現実さを求めアメコミドラマの世界へ。けど結局一番好きなドラマは『フルハウス』なAi Onoが選ぶのは...
・大人がジュニア&ティーン世代と一緒に楽しめる新しいSFホラー
・大人向けの"『ハリー・ポッター』"
・優しさと温かさと切なさに心がいっぱいになるどストレートなヒューマンドラマ

さっそくいってみましょー!

目次

海外ドラマをおすすめするMocoは...

リーガル、サイバー、ポリティカルドラマが大好物。特に女性が活躍するドラマを見ては、自分をその主人公に投影して日常生活を送ってしまうので、何を見ているのか周りからすると非常にわかりやすいらしい。小学生の娘も海外ドラマが大好きなのでティーンものも得意分野。

豪華キャストで贈る、汚職やギャングが絡んだ犯罪サスペンス『STARTUP スタートアップ』シーズン1&2

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犯罪都市マイアミで、生まれも育ちも全く違うITの天才と銀行家、ギャングの3人が、仮装通貨"ジェンコイン"の新規ビジネスを立ち上げるためにチームを組む。人種の壁や、ギャング間の闘争、過去の過ち、大企業からの搾取など、負の連鎖から抜け出すためにもがき苦しみながら結束していく様がスリリングに描かれる。

登場人物が皆、何かしらダークな一面を抱えており、良いアイデアを思いつくものの、それを妨げる障害が必ず現れ、なかなか思うように事が運ばないところが、大袈裟な展開ではなく、ドラマにリアリティを与えている。『SHERLOCK/シャーロック』で穏やかで常識的なワトソンを演じたマーティン・フリーマンが、本作では自己中で腐敗したFBI捜査官を演じているのだが、善人なのか悪人なのか計りかねる頼りないキャラを演じきっている。また、ハイチ系ギャングのリーダーとして出演しているエディ・ガテギ『ブラックリスト』)の本作における存在感は大変大きく、期待や失望、痛みや愛情など、微妙な感情を上手に表現し、もっと先を見たい!と応援したくなる内容に仕上がっている。

出演:マーティン・フリーマン(『SHERLOCK/シャーロック』)、アダム・ブロディ(『The OC』)、エディ・ガテギ(『ブラックリスト リデンプション』)ロン・パールマン(『サンズ・オブ・アナーキー』)、オトマラ・マレロなど

家族揃って謎解きもお料理も味わえる『まほうのレシピ』シーズン1&2

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中学生の仲良し女子3人組が主人公。屋根裏部屋で偶然見つけた年代物のおばあちゃんの「魔法のレシピ本」に載っているレシピで作った料理を食べると魔法がかかることを発見する。もしかして、おばあちゃんが突然喋れなくなった理由は魔法のせい⁉ と気づき、その魔法を解くために翻弄する。

グロテスクな殺人も大人向けのベッドシーンもないので、休日に家族みんなで安心して見られるところがまずおすすめ! その時々に必要な魔法のレシピが書かれているページが勝手に開いたり、材料を集めるために必死になったり、お料理だけでなく一緒に謎解きをしているような感覚を味わえるドラマ。登場人物のキャラクター設定やファッション、お部屋のインテリアなども魅力的で、感情移入して楽しめる。1エピソードが30分弱なので、気楽に見始められ、最後までワクワク見続けてしまうこと間違いなし!

出演:オリヴィア・サナビア(『サム&キャット』)、アビー・ドネリー(『Suburgatory(原題)』)、オーブリー・ミラー(『オースティン&アリー』)、ジュダ・ベラミー(『シェイムレス 俺たちに恥はない』)など

『24』のキーファー・サザーランドが今度は大統領に!『サバイバー:宿命の大統領』

20171229_matome05.jpg【関連記事】 尾崎英二郎が斬る! 『24』のジャックと『TOUCH』のマーティン実際のキーファーに近いのは...?

テロにより議会と内閣が一瞬にして全滅したため、期せずして大統領の重責を担うことになった下位閣僚が、政治家としての資質を問われながらも、着実に周りの信頼を得て、多くの若いスタッフと共に政府を再建する。と同時に、テロの目的や犯人、内通者を探すためにFBIが多くの犠牲を払いながら隠された真実に迫っていく。政治的な駆け引きや、忠誠心、家族愛、裏切りなど盛りだくさんのテーマが詰まった作品。

『24 TWENTY FOUR』でテロ組織と体を張って闘ってきたキーファー・サザーランドが、今作では元教授で、尚且つテロ直前にクビを言い渡された閣僚という、少々情けない役どころを演じる。今までの彼のタフなイメージとかなりギャップがあるのだが、人間味と家族愛にあふれた大統領として描かれており、観ている側も一緒になって彼の大統領としての成長を見守り応援したくなる。一方で、マギー・Q演じる、笑み一つ浮かべないクールなFBI捜査官が犯人を少しずつ追い詰めていくところも見ごたえがあり、まるで一つのドラマで2つの話が同時進行しているような感覚の味わえる贅沢なドラマだ。そして、特筆すべきは、マギーだけでなく、ファーストレディ、首席補佐官、下院議長など、出演している女性キャラが、タイプは違えども、潔くて強くてカッコいい!のだ。

製作総指揮: キーファー・サザーランド、マーク・ゴードン(『クリミナル・マインド』)ら
出演:キーファー・サザーランド、ナターシャ・マケルホーン(『カリフォルニケーション』)、マギー・Q(『NIKITA/ニキータ』)、エイダン・カント(『X-MEN:フューチャー&パスト』)など
配信局:Netflix

Photo:『STARTUP スタートアップ』Amazonプライムにて配信中
『まほうのレシピ』Amazonプライムにて配信中
『サバイバー:宿命の大統領』(C)Netflix. All Rights Reserved.

海外ドラマをおすすめする園芸二は...

『スター・トレック』『ドクター・フー』をはじめSFドラマが大好きな米サンディエゴ在住ライター。最近のお気に入りは『ブラック・ミラー』『トラベラーズ』『エクスパンス -巨獣めざめる-』。Netflixものが多いですね...。

野心的な設定に心躍る、久々の『スター・トレック』TVシリーズ!『スター・トレック:ディスカバリー』

20171229_matome06.jpg【関連記事】宇宙SFドラマに再び春が訪れるのはいつのこと?

『スター・トレック』(以下、ST)実に12年ぶりのTVシリーズとなった本作。アクションてんこ盛りのリブート映画も悪くはないけれど、物語の多彩さや登場人物の掘り下げといった点で、TVシリーズにはかなわない。本作はまず基本コンセプトが素晴らしい。アフリカ系アメリカ人の女性が主人公で、しかもこの人は艦長ではない。そして、原則一話完結だった過去シリーズに比べて連続ドラマの色が濃くなっている、など、STの新境地を切り開いている。

主人公マイケル・バーナム(男っぽい名前だが女性)を演じるソネクア・マーティン=グリーンはエネルギッシュで強い存在感を発揮し、オリジナルシリーズのカーク船長(ウィリアム・シャトナー)を彷彿とさせる。また、被食者の種族出身で危険を察知する能力が高いサルーや、謎のベールに包まれたロルカ船長、気難しい性格だが憎めない菌類学者スタメッツなど、クルーの顔ぶれも面白い。ただ、オリジナルシリーズの10年前という時代設定を考えると、テクノロジーの描写など首を傾げたくなるような齟齬がいくつも見受けられるのが気になる。今後の展開で納得のいく説明がなされることを期待している。

製作総指揮:ブライアン・フラー(『ハンニバル』)、アレックス・カーツマン(『FRINGE/フリンジ』)ら
出演:ソネクア・マーティン=グリーン(『ウォーキング・デッド』)、ダグ・ジョーンズ(『パンズ・ラビリンス』)、ジェイソン・アイザックス(『ハリー・ポッター』シリーズ)、アンソニー・ラップ(『RENT/レント』)など

シーズン終盤は屈指の出来栄え。愛すべきエージェントたちの運命は?『エージェント・オブ・シールド』シーズン4

20171229_matome07.jpg【関連記事】『エージェント・オブ・シールド』クラーク・グレッグ直撃インタビュー in LA

『アベンジャーズ』などマーベルの映画に登場した国際平和維持組織シールド(S.H.I.E.L.D.)に所属し、未知の脅威と戦うチームの活躍を描いたアクションドラマ。シーズンを重ねるにつれてぐんぐん面白くなっている本作だが、前シーズンでは長いこと宿敵であった人物が正式に退場し、物語にいったん節目がつくことに。この後どう続けるのかと思っていたのだが、心配は無用だった。3部構成となった本シーズンは、スーパーナチュラル、人工生命、バーチャルリアリティと様々なネタが仕込まれ、今まで以上にメリハリの効いたストーリーが楽しめる。登場人物のウィットに富んだ会話も相変わらず楽しい。放送当時は、マーベルの人気キャラクター「ゴーストライダー」が登場する序盤が話題となったが、個人的にはシーズン終盤の7話の展開に、強いインパクトを受けた。ダークで息が詰まるようなストーリーながら、コールソンやデイジーなど、すっかり愛着のわいたエージェントたちのたどる運命が気になって目が離せない。この終盤は、シリーズ全体から見ても屈指の出来栄えに仕上がったと思う。

出演:クラーク・グレッグ(『アベンジャーズ』)、クロエ・ベネット、ミンナ・ウェン(『ER 緊急救命室』)、イアン・デ・カーステッカー(『ロスト・リバー』)など
放送局:WOWOW、Dlife

『スター・トレック』への愛にあふれた宇宙SFコメディ+ドラマ『宇宙探査艦オーヴィル』

【関連記事】『テッド』クリエイター、セス・マクファーレンが"SF愛"を注いだ最新作『宇宙探査艦オーヴィル』

米FOXで今秋に始まった作品で、『ファミリー・ガイ』『テッド』セス・マクファーレンが、主演・脚本・製作総指揮をこなす宇宙SFドラマ。数百年後の未来、セス演じるエド・マーサー艦長が、副長で元妻のケリーや、外見は若い女性だが人並み外れた力持ちのキタン保安主任、種族は全員男性のボータス二等航海士、人工生命体アイザックなど、ユニークなクルーと共に宇宙船オーヴィルで航海に乗り出す。全体はコメディタッチながらシリアスなエピソードもある本作で、セスはここぞとばかりにSTへの愛をほとばしらせているので、STファンは少なくとも一見の価値あり(カラフルなユニフォームって、やっぱりいいですよね)。アメリカでは、野心的な内容の『スター・トレック:ディスカバリー』よりも、"STへのオマージュと愛にあふれた『宇宙探査艦オーヴィル』のほうがいい"という声が一部のSTファンから出ているようだ。筆者個人は、テイストの全く異なる複数の宇宙SFドラマが放送・配信されていることを素直に喜んでいる。本作が日本に上陸した暁には、どんな反響が寄せられるのだろうか。

出演:クラーク・グレッグ(『アベンジャーズ』)、クロエ・ベネット、ミンナ・ウェン(『ER 緊急救命室』)、イアン・デ・カーステッカー(『ロスト・リバー』)など
放送局:米FOX(日本での放送・配信は未定)

Photo:
『スター・トレック:ディスカバリー』© 2017 CBS Interactive. All Rights Reserved.
『エージェント・オブ・シールド』シーズン4 ©2015 ABC Studios & Marvel

 

海外ドラマをおすすめするマーモは...

海外ドラマ初心者。海ドラのほかにはミュージカルや演劇、邦画、アニメなども観る雑食系。考えさせられる作品や、普段では体験できないような世界観のドラマが好み。お急ぎ便のために入会したはずのAmazonプライムだが、今ではもっぱらドラマのためのサービスに。すでに何シーズンも続いているものは敷居が高くて手が出せていないものの、ミニシリーズや出始めたばかりの作品を探しては視聴する日々。

ケヴィン・ベーコンの色気と先の読めない展開に翻弄される『アイ・ラブ・ディック』

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セックスレスの夫婦は、ニューヨークからテキサス州のマーファへ移住する。そこで、謎多き芸術家ディック(ケヴィン・ベーコン)と出会い、夫婦二人の生活はかつてない展開を見せていく。複数の人物の視点から語られる「羅生門」的スタイルに、視聴者が翻弄されること間違いなし。

1話が30分ということもあり、空いた時間にサクサク見れてしまう作品。予告編では半裸に羊を抱いた衝撃的な姿を披露していたケヴィン・ベーコンだが、作品でもその大人の色気は健在。彼をはじめとした、よくある三角関係の物語と思いきや、全く新しい人と人との関わり方が斬新に描かれている。登場人物たちの芸術や創作への狂おしいほどの情熱と、その表現方法には度肝を抜かれるほど。見れば見るほど、今起こっていることが現実なのか、芸術的なインスピレーションの世界なのか、境界線が曖昧になる不思議な感覚になっていく。見ているこっちがドキッとしてしまうような出来事が、全てのエピソードに散りばめられており、最後は、不条理演劇を見せられたような、あっけにとられる展開が待ち受けている。

製作総指揮:ジル・ソロウェイ(『トランスペアレント』)ら
出演:ケヴィン・ベーコン(『ザ・フォロイング』)、キャスリン・ハーン(『トランスペアレント』)、 グリフィン・ダン(『グッド・ワイフ』)など

バレエ界の裏側をえぐいほどに描き出している『フレッシュ・アンド・ボーン』

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家を飛び出し、ニューヨークの一流バレエ団に受かった田舎娘のクレア。バレエを通して、舞台の裏の厳しい世界、都会の危険な闇に飲まれ、クレア自身も一人の女性として変貌していく。

本役で2016年のゴールデン・グローブ賞主演女優賞(リミテッドシリーズ部門)にノミネートされたクレア役のサラ・ヘイをはじめ、他のキャストのバレエの上手さが尋常じゃない。そして、あの華奢な体のどこにそんなエネルギーがあるの?!と思うほど、サラの迫真の演技に圧倒される。クレアの兄をはじめ、彼女を取り巻く男性キャラクターが、生々しくリアルに描かれており、そんな彼らによって田舎娘だったクレアが都会の女に、そして一流のバレリーナになっていく姿に、視聴者もぞっとするような感覚を覚える。サラは映画『ブラック・スワン』にも端役として出演していたが、映画よりも『フレッシュ・アンド・ボーン』の方が、バレエ界の裏側をえぐいほどに描き出している。第1話を観たが最後、怖いものみたさでイッキ見してしまうかも。

製作総指揮:モイラ・ウォリー=ベケット(『ブレイキング・バッド』)、ケヴィン・ケリー・ブラウン(『ロズウェル/星の恋人たち』)ら
出演:サラ・ヘイ(『ブラック・スワン』)、ベン・ダニエルズ(『エクソシスト』)、エミリー・タイラ(『コード・ブラック 生と死の間で』)、イリーナ・ドヴォロヴェンコ(『ブラックリスト』)など

全世界版"世にも奇妙な物語"『ロア ~奇妙な伝説~』

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各地方に伝わる伝承をもとに、実際に起こった恐怖の出来事を『ウォーキング・デッド』『X-ファイル』の製作総指揮者らが実写化。吸血鬼や狼人間、人さらいなどのホラー伝説の裏に隠された真実が、衝撃的な映像やアニメーション、記録とナレーションによって明らかにされる。

1話ごとに違った題材を取り上げており、出演者も毎回違うので、短編小説を読むように気軽に楽しめる。吸血鬼や妖精が出てくるからといってファンタジーものと決めつけてしまうのはお門違い。これはまさに全世界版"世にも奇妙な物語"。一つの伝承に対して歴史的事件や著名人との意外な繫がりを描いており、おとぎ話であったはずの物語が次元を超えて、現代を生きる我々へと恐怖を投げかける。残虐なシーンは、写真や白黒映像、アニメーションなどになっているため、グロいのが苦手な方やホラー初心者にもおすすめの一作。

製作総指揮:ゲイル・アン・ハード(『ウォーキング・デッド』)、グレン・モーガン(『X-ファイル 2016』)ら
出演:アダム・ゴールドバーグ(『アントラージュ★オレたちのハリウッド』)、コルム・フィオール(『ハウス・オブ・カード 野望の階段』)、ロバート・パトリック(『SCORPION/スコーピオン』)など

Photo:
『アイ・ラブ・ディック』Amazonプライムにて配信中
『フレッシュ・アンド・ボーン』© 2015 Starz Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
『ロア ~奇妙な伝説~』Amazonプライムにて配信中

 

海外ドラマをおすすめするAKNは...

鑑賞記録用のアプリによると、今までに観た海外ドラマは227作品。LA在住時から数えるとNetflix愛用歴は13年ほどのネトフリLOVEな人。タブーなネタをうまく笑いに変えてしまうブラックコメディが大好物。派手なアクションより、日常を切り取ったようなリアリティのある作品を好んで観る。

ミレニアル世代なら誰もが共感できること間違いなし!NYマイノリティたちのリアルな日常を描く『マスター・オブ・ゼロ』シーズン2

20171229_matome11.jpg【関連記事】ハリウッドで叫ばれる人種の「多様性」 日本人俳優たちに追い風となるのか!?

ハリウッドにおけるダイバーシティ(多様性)問題をここ数年良く耳にするが、本作の主人公はアラサーのインド系アメリカ人。彼が日頃つるんでいる友人も台湾系アメリカ人やアフリカ系の同性愛者と、ニューヨークが舞台といっても白人の美男美女が揃うキラキラしたドラマとは一線を画している。そんな彼らがタイトル(英語名の『Master of None』は"何も極めていない"という意味)の通り、最新のテクノロジーに囲まれて、何不自由ない生活をしながらも結局はたいしたことをするわけでなく、毎日を過ごすというゆるーいお話なのだ。そんな風にまとめてしまうと、一体何が面白いのかと不安になるかもしれないが、そこは本作のクリエイターでもあり主演を務めるアジズ・アンサリを信用してあげて欲しい。実は彼、このドラマを作る前からコメディアンとして高い評価を受けてきた人物。Netflixで彼のスタンドアップコメディ『人生は生き埋め地獄』を観てもらえば、頭の回転の速さや、ストーリー・テリングのうまさを解ってもらえるだろう。

シーズン1では、マイノリティの彼らが直面する人種問題やアラサーならではの悩みに焦点が置かれていたが、シーズン2ではそのようなテーマに加え、新たなことにもチャレンジしている。第1話「誕生日泥棒」では、イタリアへ旅立ったデフの日常を映画『自転車泥棒』へのオマージュたっぷりで描いたり、第6話「ニューヨーク、アイラブユー」では、聾唖のカップルを取り上げ、約10分も無音状態でストーリーが進む。また、デフの親友デニースを演じるリナ・ウィルスが自身の経験を基にペンを執った第8話「サンクスギビング」では、エミー賞コメディ部門脚本賞をアフリカ系女性としてはじめて受賞するという快挙を成し遂げている。他にもデートアプリをテーマにしたエピソードや、切ないロマンスネタも入っているので洒落た笑いに飢えている人はぜひチェックして欲しい。

出演:アジズ・アンサリ(『ピザボーイ 史上最凶のご注文』)、アレッサンドラ・マストロナルディ(『ディーン、君がいた瞬間(とき)』)、リナ・ウェイス(『トランスペアレント』)、エリック・ウェアハイム(『ザ・オフィス』)など
配信局:Netflix

思春期の悩みを強烈なビジュアルで表現した大人向けアニメ『ビッグ・マウス』

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目に見える体の変化への戸惑いに、異性への興味といった"思春期"の悩みをビックリするほど超強烈なビジュアルで描いてしまった問題作(いや、傑作!)がこの『ビッグ・マウス』だ。

メインキャラクターはアンドリュー、ニック、ジェイら中学生の男女たち。友人のアレを見てしまい、"なんで自分のとは見た目が違うんだ!"とショックを受けたり、ザ・ロック様にムラムラしてしまい"もしかしてゲイ?"と悩んだり...。そんな彼らは「ホルモン君」と「ホルモンちゃん」という頭の中のモンスターにサポートされながら(毎回的確なアドバイスとは限らないが)、ちょっとずつ大人への階段をのぼっていくというお話。

実はこの強烈なシリーズをおすすめとして挙げようかカナリ悩んだのだが、(なんせ下ネタが半端ないので人格を疑われるかと...笑)、『アメリカン・パイ』、『スーパーバッド 童貞ウォーズ』や『ソーセージパーティー』が大好きな私が取り上げないわけにいかない! ただのお下劣なシリーズだと思われるかもしれないが、「あー子どもの時こんなことに悩んでたなぁ」と誰しもが共感できる部分があり、登場するキッズたちを身近に感じ始めてしまうのだ。話すことが恥ずかしいと思われている切実な性の悩みを100パーセント全開にしてしまったその度胸に拍手を送りたい。

クリエイター:ニック・クロール(『ソーセージパーティー』)
声の出演:ジョン・ムレイニー(『サタデー・ナイト・ライブ』)、ニック・クロール、ジョーダン・ピール(『ゲット・アウト』)、ジェニー・スレイト(『ズートピア』)、マーヤ・ルドルフ(『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』)など

男性社会の80年代。女子プロレス界に輝く場所を見つけた女たちの再起の物語『GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』

20171229_matome13.jpg【関連記事】迷った時はとりあえずこれ! 2017年Netflixで配信予定のオリジナルシリーズ20選

本作の製作陣に名を連ねるのは、『Weeds ~ママの秘密』『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』を手掛けたジェンジ・コーハン『ナース・ジャッキー』リズ・フラハイヴら。既に問題を抱える愛すべきヒロインたちを生み出してきた才能ある女性たちが集結した本作の舞台は、1980年代の女子プロレス界。とはいってもバリバリのスポコンではなく、それぞれ悩みを抱える無名女優たちが再起を掛けて悪戦苦闘するというストーリーなのだ。

『GLOW』を見るにあたり、プロレスの知識は全く必要がない。というのも、レスラーとして登場する彼女たちも素人の集まりなのだ。B級映画監督によって集められた人種も年齢も異なる人生崖っぷちの女性たちが、男性社会のハリウッドで性差別を日々感じながらも、"史上初の女子プロ番組「GLOW」を成功させる"という同じ目標に向かって団結していく。"テロリスト"や"ウェルフェア・クイーン"(社会福祉制度を悪用する人たち)といったとんでもないリングでの人格を与えられるも、四苦八苦しながらそのペルソナを作り上げていく過程には泣けてくる。実生活では揉めていたり人種が違っていても、リング上ではお互いを信用し、技を決めて会場を盛り上げる彼女たちを見ていると、今の世の中、色んなところで対立している人たちもちょっとはこの番組を見習おうよ!と、なぜか国際問題についても考えてしまう。

本作で美人系からガラッとイメージチェンジしたアリソン・ブリー(『MAD MEN マッドメン』)は第75回ゴールデン・グローブ賞にノミネート。シーズン2への更新も決まっている本作は、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』『ストレンジャー・シングス 未知の世界』に続くNetflix代表作になることは間違いないだろう。

出演:アリソン・ブリー、マーク・マロン(『easy イージー』)、ベティ・ギルピン(『ナース・ジャッキー』)、ケイト・ナッシュ(『マイ・デンジャラス・ビューティー』)、エレン・ウォン(『マンハッタンに恋をして ~キャリーの日記~』)など
配信局:Netflix

Photo:
『マスター・オブ・ゼロ』シーズン2、『ビッグ・マウス』、『GLOW:ゴージャス・レディ・オブ・レスリング』©Netflix. All Rights Reserved.

海外ドラマをおすすめするAi Onoは...

海外ドラマにハマったのは高校生の頃、セレーナ・ゴメス、デミ・ロヴァート、マイリー・サイラスが活躍していた時代のディズニーチャンネルがきっかけ。その後『ゴシップガール』『Glee』といった定番ドラマを経て、日本のドラマでは感じられない非現実さを求めアメコミドラマの世界へ。けど結局一番好きなドラマは『フルハウス』。心穏やかでほっこりできる要素に惹かれてしまう。

大人たちもジュニア&ティーン世代と一緒に楽しめるという新しいSFホラーのスタイルを提供『ストレンジャー・シングス 未知の世界』シーズン2

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1980年代、米インディアナ州にある架空の小さな田舎町ホーキンスを舞台に、少年たちと謎の少女イレブンの不思議な冒険を描くシリーズ。シーズン1の最後に裏側の世界から無事に帰還したウィル(ノア・シュナップ)だったが、新シーズンでは裏側の世界とのつながりに苦しむことに。そして町は再び不穏な空気に包まれ、少年たちは不器用ながらも新たな敵と立ち向かう...

謎の少女イレブンを演じるミリー・ボビー・ブラウンの存在感が圧倒的。実は普段SF系を見ることはない筆者が本作を見たのは、ハリウッドセレブたちがこぞってミリーを賞賛していたから。スターたちが一目おく理由を知りたかったのだ。そして実際に彼女の独特なオーラと等身大の愛らしさにすっかり惹かれ、一気に見てしまったほどだった。ハラハラし続け、時にいきなりゾッとするような展開がやってきたり、気持ち悪いエイリアンが出てくることもあるが、次が気になって仕方ない描き方で次回へと繋いでいく。また、大人ならば少年たちを見守るような気持ちで見ることができ、ジュニア世代、ティーン世代と一緒に楽しめるという新しいSFホラーのスタイルを提供している。

出演:ウィノナ・ライダー(『17歳のカルテ』)、デヴィッド・ハーバー(『ニュースルーム』)、フィン・ウォルフハード(『IT/イット "それ"が見えたら、終わり。』)、ショーン・アスティン(『ロード・オブ・ザ・リング』)など
配信局:Netflix

大人向けの"『ハリー・ポッター』"を演出している『マジシャンズ』

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魔術の才能を持った気弱な主人公クエンティン・コールドウォーター(ジェイソン・ラルフ)はその才能を見出され、ニューヨークの秘密の魔術学校ブレイクビルズ大学に入学する。同じく魔術の素質を持った友人たちと共に学んでいく中で、突如大学が「ビースト」という謎の魔術しから襲撃される。大学に隠された秘密とは。そして、ビーストの正体とは...

現実の世界と並行して存在する魔術の世界。ファンタジーの世界だけど現代のニューヨークが舞台とあって、スタイリッシュで見やすい。想像以上にダークでシリアスで、誰が仲間なのかわからなくなるような複雑な人間関係や、ちょっと目を瞑りたくなる残虐さがまさに「大人向けの『ハリー・ポッター』」を演出している。単純にイメージする魔法使いとは少し違い、『Heroes/ヒーローズ』のように個々に特殊な能力も持っているのも面白い。次々と難題に襲われを落ち着貸せる余裕もない。

製作総指揮:セラ・ギャンブル(『SUPERNATURAL スーパーナチュラル』)、ジョン・マクナマラ(『アクエリアス 刑事サム・ホディアック』)ら
出演:ジェイソン・ラルフ(『アクエリアス 刑事サム・ホディアック』)、ステラ・メイヴ(『LAW & ORDER: 性犯罪特捜班』)、 オリヴィア・テイラー・ダドリー(『パラノーマル・アクティビティ5』)、ヘイル・アップルマン(『SMASH』)など
配信局:Hulu

優しさと温かさと切なさに心がいっぱいになるどストレートなヒューマンドラマ『THIS IS US 36歳、これから』

20171229_matome16.jpg【関連記事】普遍性と革新性の見事な両立!『THIS IS US 36歳、これから』が全米を夢中にさせた理由

エリートビジネスマンや肥満に悩む女性、人気TVスターなど、同じ誕生日に生まれた36歳の人々の人生模様を描いたドラマ。それぞれの人生を生きる中で、壁と向き合い、切なく苦しい思いもしていくが、不思議な運命に手繰り寄せられていく。

最近ではすっかり珍しくなった、何気ない日常を描くどストレートなヒューマンドラマ。それぞれが抱える問題は違っても、きっとみんなが共感できる生きていく上での悩み、その感情が目に見えるようで、泣くつもりはないのに思わず涙がこぼれてしまう。年齢や体重はたかが数字、されど数字。随所に巧みに伏線が散りばめられていて、それが回収された時は思わずハッとさせられる。優しさと温かさと切なさに心がいっぱいになる。個人的には『ギルモア・ガールズ』のバッドボーイ、ジェスから心優しいパパへ成長したジャック役のマイロ・ヴィンティミリアに大注目。

製作総指揮:ダン・フォーゲルマン(『ラブ・アゲイン』)、ケン・オリン(『ブラザーズ&シスターズ』)ら
出演:マイロ・ヴィンティミリア(『HEROES/ヒーローズ』)、マンディ・ムーア(『塔の上のラプンツェル』)、スターリング・K・ブラウン(『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』)、ジャスティン・ハートリー(『恋するインターン』)、クリッシー・メッツ(『アメリカン・ホラー・ストーリー:怪奇劇場』)など
放送局:NHK総合
配信局:Amazonビデオ、PlayStationStore、UNextなど

後編もお楽しみに!

Photo:『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(C)Netflix. All Rights Reserved.
『マジシャンズ』(C)2015 Syfy Media Productions LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
『THIS IS US 36歳、これから』TM & (c) 2016-2017 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
Artwork (c) 2016-2017 NBCUniversal Media, LLC. All rights reserved.