『ビバヒル』『アルフ』『ダウントン・アビー』キャストも…2024年に亡くなったドラマスター

ドラマ界で活躍した人を中心に、2024年に惜しまれながらこの世を去ったスターたちを、一部ではあるがまとめてご紹介したい。

デヴィッド・ソウル

刑事スタスキー&ハッチ

1月4日に80歳で旅立ったのは、1975年から1979年にかけて放送された人気ドラマ『刑事スタスキー&ハッチ』で主人公の一人、ケネス・ハッチンソンを演じたデヴィッド・ソウル。2004年にベン・スティラー&オーウェン・ウィルソン主演でリブートされた映画『スタスキー&ハッチ』にもカメオ出演。監督としての顔も持ち、『刑事スタスキー&ハッチ』や『特捜刑事マイアミ・バイス』でメガホンを取った。

彼の死を受けて、相棒デヴィッド・マイケル・スタスキー役のポール・マイケル・グレイザーが「デヴィッドは兄弟であり友人であり思いやりのある人間だった。彼のような人にはもう二度と会えないだろう」と別れを惜しんでいる。

エイダン・カント

サバイバー:宿命の大統領

サスペンスドラマ『サバイバー:宿命の大統領』のアーロン・ショア役で知られるエイダン・カントは、1月8日に虫垂ガンの合併症により42歳で逝去。同作で共演したキーファー・サザーランドは、「彼は素晴らしい精神の持ち主だった。俳優としてより良くやろう、より素晴らしくいよう、さらに良くしようという願望にはとても感銘を受けたし、彼のことが恋しくなるだろう」と述べている。

ルイス・ゴセット・Jr

ルイス・ゴセット・Jr

1977年のドラマ『ROOTS/ルーツ』でエミー賞を手にしたルイス・ゴセット・Jrは、3月29日に死去(享年87)。キャリア後期は『ER 緊急救命室』『エクスタント』『ウォッチメン』といった作品に出演した。『ROOTS/ルーツ』で主人公クンタ・キンテを演じたレヴァー・バートンは、「いろいろありがとう、ルー」とかつての共演者に感謝している。

チャンス・パードモ

チャンス・パードモ

3月30日、バイク事故により27歳の若さで急死したチャンス・パードモ。『ザ・ボーイズ』のスピンオフ『ジェン・ブイ』でアンドレ・アンダーソンという主要キャラクターを演じていた彼の死は大きな影響を与え、シーズン2の構想はほぼすべて再考されることに。

バーナード・ヒル

バーナード・ヒル

『タイタニック』の船長役や『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのセオデン王役で知られるバーナード・ヒルは、5月5日に79歳で永眠。晩年は自国イギリスでのドラマ出演も多く、『埋もれる殺意 ~39年目の真実~』『ウルフ・ホール』のほか、2024年5月に本国イギリスで放送されたマーティン・フリーマン主演『レスポンダー 夜に堕ちた警官』のシーズン2にも参加していた。

ダブニー・コールマン

ダブニー・コールマン

5月16日に92歳で亡くなったダブニー・コールマンというと、『9時から5時まで』『トッツィー』といった1980年代のコメディ映画で知られるが、ドラマにも多数出演。『堕ちた弁護士 ~ニック・フォーリン~』でサイモン・ベイカー(『メンタリスト』)演じる主人公の父親に扮したほか、『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』『レイ・ドノヴァン ザ・フィクサー』『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』などにも姿を見せた。遺作の『イエローストーン』で親子役を演じたケヴィン・コスナーは、ダブニーの死を受けて「私が出演したシーンの中で、最も胸が締めつけられるシーンの一つ。ダブニー・コールマンと一緒に仕事ができたことを光栄に思います」と追悼。

ジョニー・ワクター

ジョニー・ワクター

あまりにも理不尽な形で命を落としたのは、『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』をはじめとした数々の人気ドラマにゲスト出演していたジョニー・ワクター。5月26日、彼の車から盗みを働く男に撃たれ、37年の生涯を終えた。その後、彼の死に関わったと見なされた容疑者たちは逮捕され、裁判が行われている。

ベンジー・グレゴリー

アルフ

1986年から1990年まで放送されたシットコム『アルフ』のタナー家の長男ブライアン役で知られる元子役のベンジー・グレゴリーも、46歳で早すぎるお別れに。6月13日、駐車中の車内で亡くなっているところを発見された彼は、検死の結果、肝硬変と熱中症により命を落とした事故死と診断された。

ドナルド・サザーランド

ドナルド・サザーランド

カナダが誇る名優ドナルド・サザーランド(『M★A★S★H マッシュ』『普通の人々』『針の眼』『TRUST』『フレイザー家の秘密』)は、6月20日に88歳で永眠。ハリウッドで長年活躍し、出演した作品は時代劇から近未来ものまで約200本に上るベテランの死をアメリカメディアも大々的に報じ、バイデン大統領も追悼コメントを発表した。

業界の大物たちも死を惜しむ中、息子のキーファーは幼い頃の自分と父親のツーショットをXに投稿。「父は映画史において最も重要な俳優の一人だったと思う。善人、悪人、醜い役…どんな役にも怯まなかった。彼は自分がすることを愛していた。それ以上に望むものはないだろう。いい人生だった」と綴っている。

テイラー・ウィリー

HAWAII FIVE-0

6月20日はドナルドだけでなく、『HAWAII FIVE-0』のカマコナ役で知られるテイラー・ウィリーも旅立つことに。自然死と伝えられたものの、56歳という早い別れに、同作クリエイターのピーター・M・レンコフも「絶望している」とショックを露わにした。

マーティン・マル

サブリナ

若い魔女サブリナの日常を描くシットコム『サブリナ』で主人公が通う高校のクラフト教頭を演じたマーティン・マルは、6月27日に死去。娘によれば長く闘病していたとのことで、80歳だった。サブリナ役のメリッサ・ジョン・ハートは訃報を受けて、音楽や絵にも造詣が深かったマーティンの多才さと人間性を称賛。「彼を知ることで私はより良い人間になれました」と感謝している。

シャナン・ドハティ

シャナン・ドハティ

1990年代に大ヒットした青春ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』(以下『ビバヒル』)のブレンダ・ウォルシュ役で知られるシャナン・ドハティは、53歳で死去。2015年に乳ガンと診断されて以降、闘い続けてきたが、2023年に脳にガンが転移したことが判明、2024年7月13日に力尽きた。

子役出身のシャナンは、『ビバヒル』のブレンダ役で世界的な知名度を得たほか、製作総指揮のアーロン・スペリングと再タッグを組んだ『チャームド~魔女3姉妹』でもメインキャストのプルー・ハリウェルに扮した。また、2019年には『ビバリーヒルズ再会白書』でかつての共演者たちと再会、パロディ化した自身を演じていた。

2019年に急死したディラン・マッケイ役のルーク・ペリー以来となるメインキャストの訃報に、ブレンダの双子の兄ブランドン・ウォルシュを演じたジェイソン・プリーストリーら元共演者が悲しい気持ちを吐露している。

『ビバヒル』キャストではほかに、ブレンダの婚約者スチュアート・カーソン役で数話に出演したデヴィッド・ゲイルが1月16日に58歳で、クレアの父親で大学総長のミルトン・アーノルドを演じたニコラス・プライアーが10月7日に89歳で息を引き取った。

ボブ・ニューハート

ビッグバン★セオリー

『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』の“プロトン教授”ことアーサー・ジェフリーズ役で知られるボブ・ニューハートは、7月18日に94年の生涯を閉じた。コメディの世界で長く活躍してきた彼に対する尊敬の念を同作のキャスト、スタッフが口にしており、ペニー役のケイリー・クオコは「ボブという天才を目にできたことは夢のようだった。彼は上品で親切で、とにかく面白かった。どのテイクでも、いつだってね。永遠のアイコンよ。ボブ、あなたのことを忘れないわ! 私たちの夢を叶えてくれてありがとう」と称賛。

アラン・ドロン

アラン・ドロン

フランスが誇る名優アラン・ドロンの訃報は、日本のお茶の間でも報じられたので目にした人も多いのではないだろうか。8月18日に88年で亡くなった彼というと『太陽がいっぱい』『サムライ』『さらば友よ』といった映画の印象が強いが、1998年に一旦俳優を引退した後、復帰後には『アラン・ドロンの刑事物語』『アラン・ドロンの刑事フランク・リーヴァ』といったドラマに主演していた。

ジェームズ・アール・ジョーンズ

ジェームズ・アール・ジョーンズ

9月9日に93歳で亡くなる少し前まで現役だったのはジェームズ・アール・ジョーンズ。『スター・ウォーズ』シリーズのダース・ベイダーの声を担当していたことで知られる彼は、2022年の『オビ=ワン・ケノービ』といったドラマやアニメでも同役を続投。ドラマ界では、1990年代に主演した『バード事件簿』でエミー賞に輝いたほか、『LAW & ORDER』『エバーウッド 遥かなるコロラド』『Dr.HOUSE ―ドクター・ハウス―』『ビッグバン★セオリー』といった作品でゲストを務めた。

マギー・スミス

ダウントン・アビー

アカデミー賞に2度(『ミス・ブロディの青春』『カリフォルニア・スイート』)輝き、『ハリー・ポッター』シリーズのミネルバ・マクゴナガル先生役や『ダウントン・アビー』のバイオレット・クローリー役でおなじみのマギー・スミスは、9月27日に89歳でこの世を去った。

『ダウントン・アビー』のクリエイターであり遺作となった映画版第3弾にも関わるジュリアン・フェロウズは、イギリスが誇る名優の一人を次のように追悼した。「マギー・スミスは極めて偉大な俳優であり、彼女の輝かしいキャリアの最後の幕に関われたことは非常に幸運でした。彼女のために脚本を書くことは喜びでした。繊細で複雑、知的でユーモアがあり、時には心が痛むほどの演技を見せてくれました。彼女と仕事をすることは、私のキャリアにおいて最大の特権でした。マギーを忘れることは決してありません」

ロン・エリー

ターザン

1966年から2シーズン続いたアクションドラマ『ターザン』でタイトルロールを演じたロン・エリーは、9月29日没(享年86)。同作ではスタントの多くを自らこなし、肩の骨を折るといった大怪我も何度か経験した。本人によれば最も大変だったのはターザンのイメージから脱却することで、仕事を得るためにヨーロッパに行ったこともあったという。

テリー・ガー

テリー・ガー

『フレンズ』でフィービーの母親を演じたテリー・ガーは、多発性硬化症により10月29日に79歳で死去。親子役を演じたフィービー役のリサ・クドローは、「テリーはコメディの演技が天才的にうまかった。そんな彼女に大きな影響を受けたのは私だけじゃないはずよ。一緒に仕事ができたことは本当に幸運だったし感謝しているわ」と“母親”に告げている。

クインシー・ジョーンズ

クインシー・ジョーンズ

マイケル・ジャクソンとのタッグでも知られる作曲家・音楽プロデューサーで、映画・ドラマ界でも活躍していたクインシー・ジョーンズは享年91。11月3日に亡くなる少し前まで仕事をしていた。ドラマ界では『鬼警部アイアンサイド』や『夜の大捜査線』のドラマ版『新・夜の大捜査線』のテーマ曲を手掛け、『ROOTS/ルーツ』でエミー賞に輝いている。

マイケル・コール

モッズ特捜隊

『ビバヒル』のプロデューサー、アーロン・スペリングが手掛け、1968年から5シーズン続いた犯罪アクションドラマ『モッズ特捜隊』で3人の主人公の一人、ピート・コクランを演じたマイケル・コールは12月10日に死去(享年84)。

クレア・デインズ主演映画『モッド・スクワッド』の元ネタに出演していた残る二人の主役、ジュリー・バーンズ役のペギー・リプトンは2019年に72歳で、リンク・ヘインズ役のクラレンス・ウィリアムズ三世は2021年に81歳ですでに亡くなっており、マイケルが最後の生き残りだった。

(海外ドラマNAVI)

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