初心者にもわかる!マーベル・ユニバースの英語<Vol.12 (後編)>~インフィニティ・ストーンと究極の敵サノス~

ついに公開となる『アベンジャーズ』シリーズ第3作目にして、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)としては19作品目になる『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー Avengers: Infinity War』。その面白さを味わっていただくため、"重要アイテム"であるインフィニティ・ストーンについて2回に分けて解説しています。

インフィニティ・ストーン

コラム前編では、それらの石の概要と4つの石を取り上げましたが、この後編では残る2つの石についてご説明していきましょう。

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タイム・ストーン

5つ目の石は、『ドクター・ストレンジ』で登場しました。ベネディクト・カンバーバッチが演じる魔術師ドクター・ストレンジが、クライマックスで身につけた首飾り、緑色に輝く「アガモットの目/Eye of Agamotto」が、その石=タイム・ストーンです。

天才外科医スティーヴン・ストレンジが、不慮の交通事故で医師の命である両手に再起不能の重傷を負い、生きる術を失った時に師事したエンシェント・ワン(ティルダ・スウィントンが演じる)の住処カマー・タージ(ネパールの首都に位置する)に、「アガモットの目」は在りました。ストレンジは、エンシェント・ワンの教えに鍛えられるとともに、驚異的な効率の学習能力を発揮し、「至高(最高位)の魔術師/The Sorcerer Supreme」になっていくための実力を徐々に身につけていきます。

アガモットの目は時間を自在に操る力を秘めており、自然界の法則をも歪め、死さえ超越する術をストレンジに与えます。ライバルの魔術師カエシリウス(マッヅ・ミケルセンが演じる)との最後の戦いでそのパワーを発揮し、さらに暗黒の次元の支配者ドルマムゥに対しては同じ時間を繰り返す無限ループ地獄に陥れるという機転を働かせて交渉し、ダーク・ディメンションが覆っていく地球上の世界への侵攻を断念させる、という離れ業をやってのけます。

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ようやく心と、地上の平穏を取り戻したストレンジは、アガモットの目をカマー・タージの保管場所に戻します。すると兄弟子のウォン(ベネディクト・ウォンが演じる)は語ります、

ウォン:Wise choice.
賢い選択だ。

You"ll wear the Eye of Agamotto once you"ve mastered its powers.
その力の習得を成せば、またアガモットの目を身につける時が来る。

Until then, best not to walk the streets wearing an Infinity Stone.
それまでは、インフィニティ・ストーンを身につけて街を歩いたりしないことだ。

 

ストレンジ:A what?
何(の石)だって?

ウォン:You might have a gift for the mystic arts, but you still have much to learn.
お前は魔術を使う資質に恵まれている、しかしまだ学ぶべきことは沢山ある。

Word of the Ancient One"s death will spread through the Multiverse.
エンシェント・ワンの死の噂は、複数の次元の世界に伝わっていくはずだ。

Earth has no Sorcerer Supreme to defend it.
地球には、守ってくれる至高の魔術師が居ないのだと。

We must be ready.
我々は(未知の攻撃に)備えなければならない。

 

ストレンジ:We"ll be ready.
備えてみせる。

魔術という超自然的な力で、次元を超えるレベルで戦うことができる師を亡くした今、これまでにない強敵が襲って来たら、どうなるのか!? 『インフィニティ・ウォー』の最新の決戦までに、ストレンジの能力がどこまで進歩しているのか? ここも注目でしょう。アガモットの目を再び身につけ、最高峰の術を駆使する魔術師となっていることを期待したいところです。

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ソウル・ストーン

さて、「スペース」「マインド」「リアリティ」「パワー」「タイム」それぞれのストーンの行方を足早にご紹介してきましたが、6つ目の「ソウル・ストーン」は、実はまだ過去18作品の中で(説明以外の)具体的なシーンでは登場していません。一体どこに存在するのか? 何がソウル・ストーンなのか? 何かの器の中に収められているのか? まったくわからない状態で、僕らは『インフィニティ・ウォー』の公開を迎えるわけです。つまり、ソウル・ストーンに秘められた能力とその在りかが初めて明かされることも、この映画の大きな見どころの一つになっているわけです。

ソウル・ストーンが放つその輝きは、オレンジ色だと言われています。
MCUの常連ファンの間では、この石が登場するのは『マイティ・ソー/バトルロイヤル』ではないか?と一時期ささやかれました。ところが、タイカ・ワイティティ監督の痛快でコメディ色の強い物語の中では登場しませんでした。次に『ブラックパンサー』の王国ワカンダでこそ、ついにお披露目になるのでは!?とも叫ばれましたが、ここでも登場せず。

う~ん、MARVEL STUDIOS、巧過ぎる!! この10年間積み上げてきて、クライマックスまで見せないなんて。

「ソウル」と呼ばれるからには「魂」を扱える宝玉であろうことは予想できますが、ここは描かれ方を楽しみに待ちましょう。いずれにせよ、まもなく判るのですから!!!

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究極の敵役、サノス

さて、最新作の見せ場を最大級に盛り上げるのは、《究極の敵役》。スーパーヒーローたちは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で、一体誰と戦うのか!?

それは、"The Dark Lord"とも"The Mad Titan"とも呼ばれる、最強の悪の権化サノス / THANOS(ジョシュ・ブローリンが演じる)です。

『アベンジャーズ』のエンドクレジット・シーンでニヤリと笑う邪悪な横顔を見せ、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でのカメオ的な出演では悪役のクリー人たちをも威嚇し、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でのエンドクレジット・シーンでついに、

サノス:Fine, I"ll do it myself.
いいだろう、俺がやってやる。

と、一言語ります。
もちろんこれはアベンジャーズへの宣戦布告でもありますが、6つのインフィニティ・ストーンを俺が自分で集めてやる!という決意表明でもあります。

この時、彼が左の拳を入れて装着するのが、「インフィニティ・ガントレット/Infinity Gauntlet」。ガントレットとは、騎士の鎧のコテのようなグローヴのこと。インフィニティ・ガントレットには6つの石をはめる場所があり、全てを集めた時、それらのパワーを伝達し繋ぎ合わせる機能を持つようです。

『マイティ・ソー』で一瞬だけ、ソーの父オーディンの宝物殿にこのガントレットらしきものが飾られているのが映る描写があったのですが、『マイティ・ソー/バトルロイヤル』の中で悪役でありソーの姉のヘラ/Hela(ケイト・ブランシェットが演じる)が宝物殿でガントレットを目にした時、「Fake!(偽物!)」と吐き捨てて言うシーンがありますから、これはイミテーションの装飾品のようなものだったでしょう。ここでも上手く(あのアスガルドに保管されていたガントレットはどうなったんだ??と思わされた)伏線を回収しているわけです。

"本物"は、サノスの手中に在り!!!

「インフィニティ・ガントレット/The Infinity Gauntlet」というタイトルの、ファンの間では非常に著名な原作コミックがありますが、コミックの中の展開と映画版の物語が完全に同じということはありえませんから、このガントレットと6つのインフィニティ・ストーンをサノスが手にした時、どんな威力を生み、惨劇を巻き起こし得るのかは、(筆者個人はコミックを読まずに)予備知識のないまま、映画の公開を待ちたいと思っています。

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もともと、地球にテッセラクト(スペース・ストーン)が在ることを知ったサノスは、6作目『アベンジャーズ』でロキとチタウリの艦隊に手を組ませて地球を急襲させています。この時、サノスはロキにあのセプター(マインド・ストーンがはめられた槍)を与えました。しかし地球侵略は失敗に終わり、テッセラクト=スペース・ストーンはNY決戦の後でアスガルドの王国に...。

『マイティ・ソー/バトルロイヤル』では、アスガルドの国が崩壊する直前にこのテッセラクトをロキが見つめているシーンが一瞬あり、おそらくロキはそれを密かに持ち出しているはず(『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の予告編でその青いキューブの現在の所在が判っていますが、ネタバレになるのでここには書きません)
そしてマインド・ストーンは、「ロキの槍」から今はヴィジョンの額に埋められている...
「イーサー(エーテル)」と呼ばれたリアリティ・ストーンはコレクターの宝庫が爆発後、行方不明...
パワー・ストーンの入った「オーブ」はノバ帝国の軍警察が保管...
タイム・ストーンである「アガモットの目」はドクター・ストレンジらの館に在る...

そして、ソウル・ストーンはまだ未知の何処かに...

巷のファンのセオリー

ちなみに、巷のファンのセオリーとして米国ネットメディアでもよく語られている話ですが、インフィニティ・ストーンの形態を表す言葉を並べてみると、

Tesseract:四次元キューブ
Scepter:ロキの槍(ヴィジョンの額へ)
Aether:イーサー
Orb:オーブ

これらに、首飾りである「Necklace:アガモットの目」が加えられたことによって、余計に信憑性のある語呂合わせに思えてきましたが、

これらの頭文字を組み合わせると、

「T,H,A,N,O,S」(サノス)

の名を表す!!という隠しネタもあります。

ならば、ソウル・ストーンは「H〇〇〇〇」という形状か、名称なのではないか...と。

もしこれが意図的に描かれているのだとすれば、「H」は何を指すんでしょうねぇ...

「Heartかな(誰かの心臓か心...)?」

な~~んて(勝手な筆者の予想)思い巡らしながら、観てみるのも楽しいんではないでしょうか。

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過去作を観て伏線回収に備えよう

さあ、この6つの石をどうサノスが手中に収めていくのか!? そしてアベンジャーズやガーディアンズ、ワカンダの国王や戦士たちがそれをどんな方法で阻止するのか!? 数多くのヒーローやマーベル・キャラクターたちそれぞれに、いかにバランス良く見せ場を用意できるのか? ここまで18本あった映画の伏線の数々の回収をどのようにやってのけるのか?! 脚本家の頭脳と、アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟監督の演出の手腕に注目しましょう!!!

もし、読者の皆さんの中で、どうしても今から少しでも過去作を観て予習したい!と思う方は、『アベンジャーズ』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の4本あたりを観ておけば、『インフィニティ・ウォー』に登場する主要な面々のほとんどを網羅することはできますよ。
(※さらにもっと深く知っておきたい方は、MCUのオリジンとも言える『アイアンマン』と『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』、そして『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』、加えて今年公開した『ブラックパンサー』も観ておくと、このユニバース内の人間関係、歴史やそれぞれの立ち位置までかなり解ってきます!)
魅力に溢れたキャラクターたちのことを少し知っておくだけでも、今回の映画イベントは相当楽しめるはず!!

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『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』は、全編が新型のIMAXカメラで撮影されています。『アベンジャーズ』第3&第4弾の両作には、過去に類のない制作費がかけられているとも言われており、視覚効果も今ハリウッドででき得る最先端レベルのもので魅了してくれるに違いありません。音楽は、『アベンジャーズ』1作目の、あの燃え上がるテーマを生んだアラン・シルヴェストリが担当。トップ・プロデューサーは、もちろんMARVEL STUDIOSの司令塔ケヴィン・ファイギです。

過去すべてのMCU作品群を見続けてきた熱烈なファンも、数本は観たよという方も、今回MCUの映画を初めてスクリーンで観てみるという方も、きっとこの劇場体験は忘れ得ぬものになるはず。

只々、驚きの構成と、心をえぐるドラマ性と、目を見張る技術で、唸らせてくれるでしょう。
とてつもないレベルで、期待値を大幅に超えてきて欲しいものです。

できれば、「無限大」で!!!

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(※注意:このコラムの文中のキャラクターの名称や、監督名・俳優名などは、原語または米語の発音に近いカタカナ表記で書かせて頂いています)

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(文/尾崎英二郎)

「初心者にもわかる! マーベル・ユニバースの英語」シリーズ過去記事

Photo:『ドクター・ストレンジ』©2016MARVEL 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』©2018MARVEL