今回はマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の話題作、映画『ドクター・ストレンジ』の予告編の全セリフに迫ります。
Future(未来)...
Possibility(可能性)...
いったい、この先に何が見える?
「完璧さ」を誇っていた男、スティーヴン・ストレンジ:Stephen Strange。
今や英国を代表する人気俳優となったベネディクト・カンバーバッチが主人公を演じる注目作『Doctor Strange』の予告編が、この夏の米サンディエゴのコミコンで早くもファンに披露されました。
目次
“ドクター・ストレンジ”とは?
天才と呼ばれた神経外科医(neurosurgeon)でありながら、突然の交通事故で医者としての成功の生命線であった両手の機能を失ったストレンジ。その傲慢な性格故に、周囲からも見放され、堕落していく...。
栄華を極めた生活から一転、傷つき、落ちぶれる、ベネディクトの振り幅の大きなドラマ性のある演技が今から実に楽しみです。
"Teach me..."
おしえてくれ...
知的なエリートが、脆さを見せ、崩れかけた時にすがったのは、いかなる傷をも治癒できるという「魔術(mystic arts)」の力でした。
彼を取り巻くキャラクターおよびキャスト陣
彼の師(mentor)となる魔術のエンシェント・ワン(The Ancient One)役にティルダ・スウィントン。
ストレンジにとって兄弟子的な存在となるモルド(Karl Mordo)役に、『それでも夜は明ける』のチュウェテル・イジョフォー。
彼らに立ちはだかる(?)謎の強敵に『ハンニバル』のマッヅ・ミケルセン(※ 米語ではマッヅに近い音で発音されていますが、日本の表記ではマッツが一般的)。彼の役名は米国内のネットではすでに判明していますが、今は伏せておきます。
そして、ストレンジ医師の同僚であり恋人(love interest??)であるらしいクリスティン役に『スポットライト 世紀のスクープ』のレイチェル・マクアダムス。さらにモルドーと共にストレンジを指導する立場にあるらしいウォン役に、『オデッセイ』のベネディクト・ウォンという、非常に豪華な布陣が今回の最新予告編にも登場します。
コミコンにて公開された予告編
コミコン会場のファンと、ネットユーザーを歓喜させた予告編。(会場のファンには極秘で、ある場面のクリップも披露されたらしい)
キャストたちも、仕上がった映像を初めてこの日に目にしたらしく、主演のベネディクトは、まるで、役が抱えていた事故の後遺症のように、本当に右手を震わせながら、
I got.. I got this strange shake back again. Heart-pounding... wow.
また、この不思議な震えが起こってるよ。胸が高鳴ってる...ワォ
と、感激しながら語りました。
名言登場?全セリフに迫る!
来年のお正月(日本公開)まで待てない!!というマーベルやカンバーバッチ・ファンの方は、是非下記の全英語セリフと共に、この予告編の一部始終をお楽しみ下さい!!
※ 大文字の英語のフレーズは、映像の途中に出るテロップです。
ワン:Doctor Strange.
ドクター・ストレンジ。
You think you know how the world works?
世界がどう動いている(機能している)のか、わかっているつもりなのだろう?
What if I told you the reality you know is one of many?
だがもしあなたが知っている「現実」が、数多く存在するうちの1つだとしたら?
こんなことはあり得ない(理にかなわない)。
ワン:Not everything does.
すべてが理にかなうとは限らない。
Not everything has to.
すべてが理にかなわずともよい。
Through the mystic arts, we harness energy
魔術をもって、我々は力とつながり、
and shape reality.
現実を生み出す(形作る)。
We travel great distances in an instant.
果てしない道のりを越える、一瞬にして。
ここから、そこへ、どう行けば?
あなたは、どのように医者に成った?
学びと鍛錬に、長い年月をかけて。
なんだ、いったい...
彼には力が在る。
しかし、彼はまだ(未熟)では?
ウォン:Be careful which path you travel down, Strange.
どの道のりを往くのか、気をつけよ、ストレンジ。
Stronger men than you have lost their way.
お前以上の強者どもが、道を見失ったのだ。
THIS FALL
この秋(日本版は"この冬")
敵役:I am death,
我は、死であり、
and pain.
そして痛みだ。
You'll die protecting this world.
お前はこの世界のために、死ぬ。
私にはできない。
他に道はない。
QUESTION REALITY
現実を疑い(問いかけ)、
CHANGE YOUR DESTINY
運命を変えよ
ワン:I've spent so many years hearing through time,
私は、幾年もの間、時を超えて耳を澄まし、
looking for you.
あなたを探していたのだ。
これは?私の呪文か?
ここでモルドーがストレンジに手渡す紙きれに"shamballa"の文字。
shamballaとは、原作コミックにも出てくる言葉ですが、ここではネタバレの無いよう、明かさずにおきます。
モルドー:The Wi-Fi password.
Wi-Fiのパスワードだ。
We're not savages.
未開人ではないんでね(=ちゃんと"文明"が在るのさ)。
『ドクター・ストレンジ』の映像にはかなりの視覚効果が使用されていますが、登場するキャラクターたちが次元や時空を操れることから、これまでのMCUでは観られなかったような驚異的で斬新なVFX映像が体験できる予感がします。おそらく3D版の効果は、近年のハリウッド映画でも突出したものになるでしょう。
さらに、前作『キャプテン・アメリカ/シビル・ウォー』の時のケースでもわかるように、真のクライマックスはまだまだ予告編の中では見せていないはずですから、本当の"驚き"は公開時にすべて明らかになると考えていいでしょう。予告編とは、そういうもの。最高の見せ場はスクリーンでしか見せません。
クロスオーバーやイースター・エッグに期待
今回の予告編では、後半よく見てみると、のめり込むように落ちていくNYの高層ビル群の中に、◯◯◯◯◯◯◯のタワーが建っています。
また、熱烈な本ユニバースのファンの皆さんはご存知かと思いますが、『キャプテン・アメリカ/ウインター・ソルジャー』(2014)の中で、キャップやナターシャ・ロマノフがビルの屋上で、悪の結社HYDRA(英語発音はハイドラ)に寝返っていたエージェント・スィットウェルを厳しく尋問した際に、彼は「HYDRAにとって、将来、脅威となりうる人間たち」の一人として、"スティーヴン・ストレンジ"の名前を暴露しています。それだけ傑出した"天才"的な名医であると、世の中やハイドラに知られていることが、この時点でも見てとれるのです。(※国際平和維持組織 S.H.I.E.L.D. を裏切ったエージェント・スィットウェルの日本での表記は、ジャスパー・シットウェル)
果たして、最新作『ドクター・ストレンジ』の中でも、MCUの他の作品とのクロスオーバーやイースター・エッグ(Easter Eggs:隠された小ネタの数々)が見られるのかも、期待したいところです!!
音楽を担当したのは?
本作の音楽を手がけたのはマイケル・ジァッキーノ。(『ミッション:インポッシブル3』など、これまで多くのJ・J・エイブラムズ関連作を手がけ、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』ではすでにカンバーバッチとの相性も証明済み。ドラマ『フリンジ』の頃から、僕も好きな作曲家です♪)
さらに彼は、今回のコミコンで初披露されたマーベル・スタジオの新たなロゴとともに流れるファンファーレ(Marvel Studios Fanfare)の作曲も担当しており、今後このユニバースを背負って立つ音楽家の一人となるのかもしれません。
様々に想像できるPossibilityに期待!
この映画は、『アイアンマン』『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』『アントマン』といった人気作のように、ヒーローの誕生の物語(an origin story)となります。どん底から復活していく、ストレンジの「成長」の歩みが描かれるはずですから、多くの観客が感情移入しやすいものになるのではないでしょうか。
予告編は、一見するとダークな作風に映りますが、コミコンに出席した米国リポーターたちの感想によれば、劇的なシーンの中にも、かなりコミカルなやりとりも観られるそうです。
そこはマーベル!
様々に想像できる「Possibility」 に期待しながら、MCUの第14作目がやってくる「未来」を待ちましょう。
(※注意:このコラムの文中のキャラクターの名称や、監督名・俳優名・女優名などは、"英語のコラム"という主旨から、原語または米語の発音に近いカタカナ表記で書かせて頂いています)
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Photo:『ドクター・ストレンジ』 (C) 2016 Marvel. ティルダ・スウィントン (C)Megumi Torii/www.HollywoodNewsWire.net チュウェテル・イジョフォー (C)Izumi Hasegawa/HollywoodNewsWire.net レイチェル・マクアダムス (C)Manae Nishiyama/www.HollywoodNewsWire.net マイケル・ジァッキーノ (C)Kazuki Hirata / HollywoodNewsWire.net