玉座に座るべきはブライエニーとトアマンドの子!?『ゲーム・オブ・スローンズ』インタビュー【12】

米HBOで2011年より始まり、この春放送された最終章をもってついに完結した『ゲーム・オブ・スローンズ』。それを記念して、最終章放送前に行われたキャスト&スタッフのインタビューをお届けしていこう。今回登場するのはクリストファー・ヒヴュ(トアマンド役)。愛すべき野人を演じた彼が、野人の世界の常識やアクションについて語ってくれた。(本記事は、ネタばれを含みますのでご注意ください)

――トアマンドはブライエニーのことをどう思っているのでしょう?

狂おしいほど愛してるのさ。野人の世界では、女がつれない態度を見せるというのは相手に興味があるという意味なんだ。剣を抜いてそれで叩かれたら、気があるということなのさ。だからこそ、彼はあのような仕打ちを受けても、彼女に好かれていないということがちっとも分かっていないんだよ。

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――幼稚園児と同じですね。男の子が女の子を叩いたら、気がある証拠だという。

その通り。そんな仕打ちを受けたら、愛されてるということだよ(笑)

――シリーズを通してトアマンドの役はどんどん大きくなっていきましたが、自分の役が重要なものとなっていく体験はいかがでしたか?

シリーズが進んでいくにつれてトアマンドの様々な側面が明らかになっていったのは、とても興味深いことだった。最初は敵対者だったが、ジョン・スノウがチームに加わった時、彼は善人の一人となった。彼については予期できないことがたくさんある。堅牢な家を後にした時に彼は涙ぐむけど、そんなことになるとは予想していなかった。それから、彼が恋に落ちることも考えてもいなかった。あれは(クリエイターの)デヴィッド(・ベニオフ)とダン(D・B・ワイス)が現場で考えたことなんだ。彼らはシーズンごとに毎回新しいアイデアを常に考えついていた。それによってよりダイナミックな演出になっていったんだ。

――あなたにとってのベストエピソードは?

第六章の最終エピソード(「冬の狂風」)だね。すべてのストーリーラインが繋がり始めて素晴らしかった。それから「落とし子の戦い」(第六章第9話)も凄かった。他にもたくさんあるけど、今挙げたようなスケール感のあるエピソードが個人的には良かったよ。

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――撮影が特に大変だったのはどのシーンでしたか?

大掛かりなシーンはどれも撮影が大変なものだ。何カ月にもわたる撮影で過酷ではあるけど、それでも最終的に出来上がったものはそれにふさわしいものとなる。誰もが全力投球するんだ。そこがこのドラマの良いところで、最高のものを創るために何千人もの人々がそれぞれ全力を尽くす。そんな仲間意識というのは素晴らしいものだよ。

――撮影最終日はいかがでした?

撮影最後の日、突然すべてが終わってしまった。第七章のエンディングでトアマンドに何が起きたのかは様々な解釈ができるようになっていた。もし死んでいたとしたらオフスクリーンでの死で、それを見ることはなかった。だからそういう意味では、彼に何が起こったのかが分かることになっていた。最終日に(妻の)グリが泣き始めて、一体どうしちゃったんだろうと思ったよ(笑)

(インタビューに同席していたクリストファーの妻グリ・モルヴェル・ヒヴュが)だって、6年間にもわたるあなたの人生だったんだから。

そう、6年間だった。僕たちには幼い子どもたちがいて、この作品には家族一緒に旅をして参加してきたんだ。子どもたちは(撮影地の)ベルファストで育ったんだよ(笑) 家族全員にとっての旅路だったんだ。素晴らしい体験だったね。

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――第七章でのトアマンドのラストシーンの脚本を読んだ時、それが彼の最期だと思われましたか? シリーズに戻ってこられるかについて、その時点でご存知だったのでしょうか?

トアマンドにオフスクリーンの死を与えるのは不公平だと感じていた。だから、何らかの形でそれについて解明されればとは願っていた。でもそれ以上は話すわけにはいかないよ(笑)

――いえ、聞き出そうとしていたわけではありませんよ(笑) キャストの中で最も剣の腕が立つのは誰ですか?

(ジョラー・モーモント役の)イアン・グレンと(ジョン・スノウ役の)キット・ハリントン、それに僕だろうね(笑) それから(ブライエニー役の)グウェン(グウェンドリン・クリスティー)、(サンダー・クレゲイン役の)ロリー・マッキャンも。シリーズを通してのトレーニングによって、僕たちはたとえ何千年も前の時代に連れて行かれたとしてもうまくやっていけるだろう。

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――共演者とは今でも連絡を取り合っているのですか?

そうだね。僕たちは6年も、そして中には撮影開始当初から8~9年もの間、長い年月をともにしてきたので、ニューヨークでのプレミアでみんなと会えるのを楽しみにしているよ。

――本作の撮影が終わってからどのように過ごされているのですか?

自宅を改装しているんだ。少しお休みをもらってね。あとは『Downhill(原題)』という映画に出演した。これは僕が何年も前に出演した『フレンチアルプスで起きたこと』のアメリカ版リメイクで、その時と同じ役ではなく別の役を演じているんだ。双子をテーマにしたTVドラマ(『TWIN(原題)』)にも出演した。これももうすぐ公開になるよ。

――最終章をどのようにご覧になるつもりですか?

『ゲーム・オブ・スローンズ』はビッグスクリーンで見ることができる数少ないTVシリーズの一つだと思うので、エピソードのいくつかはぜひ大きな画面で見てみたいね。それを実現させることができればと思っているよ。

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――この作品がいかに大きいかを実感した瞬間がありましたか?

僕は第三章から参加したんだが、その時点ではすでに大ヒットしていた。ビートルズの一員にでもなったかと思うくらいだったよ(笑) 第二章のラスト2話を見た数日後には衣装を着て他のキャストと一緒に写真撮影をしていたから、"夢じゃないか?"と思った。それでも5分もするとみんなと打ち解けることができた。とてもオープンな仲間なんだ。

――本作では様々な人が命を落としますが、あなたにとって最も悲しかった死は?

第一章を見始めた頃、ネッド・スターク役のショーン・ビーンにあまりにも感情移入していたので、彼が死んでしまった時は裏切られたと思った。ただそうは言っても、彼の子どもたちが今度は主役になっていった。それは良かったんだが、彼の死はあまりにも予期しないことだったので悲惨だったね。

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この作品が素晴らしいのは、ストーリーラインがどうなるか誰にも分からないことだ。予期せぬ方向に行くことがある。第一幕でこうなって、その後に問題を解決して、アクションシーンもあって、最後に男女が結ばれるという慣れ親しんだ手法とは異なり、この作品ではウエディングといっても普通のウエディングではない。一種のスポーツイベントみたいなところがあるからこそ、ファンがいろんな説を唱えるようになる。どんな方向にだって進む可能性があるわけだからね。それは素晴らしいことだと思うよ。

――「堅牢な家(ハードホーム)」(第五章第8話)や「落とし子の戦い」のような印象深いエピソードに出演されていますが、撮影している時からすでに格別な作品を作っているのだという感触はありましたか?

700人もの人たちと一緒に昼食をとるのは、それだけで大作を作っているという実感を抱かせるものだ。あの時は、次に撮影するシーンを事前にアニメで見せてもらえた。どのように撮影するかを役者が事前に理解できるのは素晴らしいことで、そのようにして前例のないことに挑戦していった。僕たちの想像を超えるものを創ろうとしていたんだ。だから、何かビッグなことをやろうとしている感触はあったね。その後はただ最善を尽くすのみだ。

――先程第一章について話されていましたが、キャスティングされたのでご覧になったのですか?

いや、第一章はそれ以前に見ていたよ。だからどんなドラマかというのは十分理解してた(笑)

――最終章の前に過去シーズンを復習するにあたって、どこに注目して見るべきでしょう?

ノルウェー語を学んで、ポッドキャストでこれまでのすべての章について勉強しよう! ノルウェー語は素晴らしい言語だから、なるべく早く覚えた方がいいよ(笑) 妻と僕も最終章の前にそれまでの章をもう一度見るつもりなんだ。

みんなが過去シーズンに戻って復習するというのは素晴らしいことだと思う。再び見ると、また違った視点で見ることができるものだ。みんなに何度も見てもらえるような作品に参加できて嬉しいね。

――スピンオフについてはいかがですか?

様々な噂があり、いろいろなプロジェクトが進められているところだ。その中のどれに自分は関与していくのかを考えなければならない。『ゲーム・オブ・スローンズ』はあまりにも大きな世界なので、素晴らしいスピンオフを創る余地がたくさんあると思う。どんどん持ってきてくれ(笑)!

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――トアマンドには戦いのシーンがたくさんありましたが、お怪我をされたことは?

僕のスタントに聞いてくれ。それは彼らの領域だから(笑) 冗談はともかく、暑くなりすぎたり、剣が頭をかすめたことは何回かあったけど、大怪我をしたことはないよ。ただ合戦でかすり傷一つないというのは、ちゃんと戦っていないことを意味するけどね。

――これでトアマンドとはお別れになりますが...。

トアマンドは機知に富んだ、心温かい男なのだと思う。このキャラクターは常に生死を問われるような状況に直面していたから、それによって人となりがはっきりするんだ。僕が実際にトアマンドに出会ったとしたら、親友になるだろうね。

――『ゲーム・オブ・スローンズ』は全話一挙配信でなく毎週放送される形でしたが、次のエピソードまでの1週間で人々が前話の感想を言い合ったり次の展開を予測できるというのも、ヒットした要因の一つだと思われますか?

そのような形だったのは素晴らしいことだね。それがさっきのスポーツの要素があるという話につながるんだ。作品によっては数日かけてイッキ見するのに向いたものもあるが、本作に関しては人々が新しい説を思いついたり、次のエピソードを楽しみにしたりする時間が必要なのだろう。本作に関してはすべてのエピソードを一気に消化しなければならないのは少し重すぎると思うよ(笑) 1週間は必要だね。

――この世界でトップ3のファイターは、あなたの意見では誰ですか?

この世界だと、ジョン・スノウ、ある女性、そして僕だ(笑)

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――野人ではなくウェスタロス人の役ができるなら、どんな役を演じたかったですか?

トアマンドで大満足だが、別の役ならジョフリーかな(笑)

――なぜですか? サディスティックな感じがいいのでしょうか?

まあ、そんなところだ(笑)

――あなたご自身のどのくらいがトアマンドに反映されているのでしょう?

49%だ(笑)

――結構入っていますね(笑)

身体も同じ。顔も同じ。髭も同じだからね(笑)

――それならもっとじゃないですか?

そうかもな(笑) なら、70%くらいかな?

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――最後に玉座に座ってほしいのは誰ですか?

全章を通して誰が玉座に座ることになるのかについて様々な説があった。玉座というのは、この物語を通して争い続けた、権力の探求のエッセンスだった。それを手に入れるにふさわしい人物などいるのだろうか? 僕には分からない。ブライエニーとトアマンドにもし子どもが生まれたら、どうか分からないけどね(笑)

――本作のキャラクターグッズがたくさん出ていますが、ご自宅に何かありますか?

子どもの頃は『スター・ウォーズ』などたくさんのフィギュアを持っていて、そういうので遊ぶのが大好きだった。トアマンドのアクション・フィギュアが初めて出た時、店に行って7つくらい買って帰ったよ(笑) 「そういうのはもらえるんじゃないの?」と言われたけどね。それが7つあるほかに、レゴのフィギュアもあったけど、そっちはどこかに行ってしまった。ただし、子どもたちはまだこのドラマを見るような年齢ではないので、そういうので遊ぶのは大人だ。子どもの頃の夢が叶った瞬間だったね。

――何か本作の現場から持ち帰ったものはありますか?

いや、そうするのを忘れてたんだ(笑) 盗んでくれば良かったけどね。残念ながら何もないよ。

<『ゲーム・オブ・スローンズ』リレーインタビュー>
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「死んだあのキャラが再登場したのは、その俳優に会いたかったから」【13】デヴィッド・ベニオフ&D・B・ワイス(クリエイター)
「シリーズ完結は新たな始まり...」作品担当者が語る、本作の日本上陸と鉄の玉座が生まれた経緯

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■商品情報
・『ゲーム・オブ・スローンズ<第一章~最終章>』
12月4日(水)ブルーレイ&DVD発売
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※R-15:本作には一部に15歳未満の鑑賞には不適切な表現が含まれています

発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

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『ゲーム・オブ・スローンズ』
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