「最初の読み合わせで二人クビになった!」『ゲーム・オブ・スローンズ』インタビュー【7】

米HBOで2011年より始まり、この春放送された最終章をもってついに完結した『ゲーム・オブ・スローンズ』。それを記念して、最終章放送前に行われたキャスト&スタッフのインタビューをお届けしていこう。今回登場するのはニコライ・コスター=ワルドー(ジェイミー・ラニスター役)グウェンドリン・クリスティー(ブライエニー役)。そろって劇的だった始まりや、本作とのお別れについて語ってくれた。

――撮影初日のことを覚えていますか?

グウェンドリン:ええ、あの日はハリケーンに見舞われたの。ベルファストで(ナタリー・ドーマー演じる)マージェリー・タイレルが見守る中、ブライエニーが(フィン・ジョーンズ演じる)ロラス・タイレルに圧勝するシーンを撮影していた時に、ハリケーンに襲われてしまって。それが私の撮影初日で、自分はそれまであまり撮影の経験がなかったから、ひたすら続けなければと思い、甲冑の重みに耐えながら"なんてこと! どうやってこれを何年も続ければいいの?"と考えてた(笑) 殺陣のシーンがあったのに、セットが風で飛ばされてしまって危険だったからどうしても撮影できずキャンセルになった。そして私たちは崖に面したホテルに缶詰状態となり、みんなで一緒に過ごしたことで絆が深まり、有意義な時間の中で友情を育んでいった。極度に緊張していたけど、そのシーンを撮影するために2週間後に再び戻った時にはずっとリラックスできた。撮影初日にハリケーンなんて、凄い始まり方よね。

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――その時点でどんなことを期待されていましたか?

グウェンドリン:それまで私はテリー・ギリアムの作品(『ゼロの未来』)での小さな役や、アーティスト、コラボレーターとともにインディペンデント映画に出演していて、すべて小規模な作品だった。『ゲーム・オブ・スローンズ』が最もシリアスで大規模なプロダクションだったので、慣れなくてはと必死になって、ちゃんとした演技を披露できるようになるまでいろいろ試そうと意識していたの。

ニコライ:僕の初日は思い出せない(笑) もう10年も前のことなんだ。パイロット版の脚本の読み合わせは、カメラがあったので怖かったことを覚えてる。みんなでU字型に座る場所にカメラが3台あり、"変だな。演技をすることになってたっけ?"と不思議に思っていると、「オーディションじゃない。ビッグになってくれればと期待しているドラマの始まりだ」と言われ、"オーケイ。それはいいね"と思って読み合わせをやった。キャストの数人はその場にいなかったけど、中心となる面々は揃っていた。デナーリスの兄(ヴィセーリス・ターガリエン)を演じたハリー・ロイドが自分のキャラクターだけでなく、その場にいない他のキャラクターの箇所も読んでいて、驚異的だったのを覚えてるよ。読み合わせはどこか気が重くなるところがあって、僕はそこに座ってただこなそうとしていた。しかもそこにカメラもあって、「記録用に撮っているだけだから」と言われたけど、そのために二人の俳優がクビになったんだ!

グウェンドリン:本当?

ニコライ:そう。だからその日のことを覚えてるんだよ。そして僕が期待していたものは...エキサイティングだ。当時、ドラゴンやファンタジーの人物が出てくるドラマに出演すると言うと「馬鹿げている」と言われたものだが、本作はHBOブランドのおかげで良いドラマと考えられていた。それでもその時はまだうまくいくのか分からなかったよ。

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――そして月日が流れ、撮影最終日はいかがでしたか?

グウェンドリン:嬉しいことに私の最終日はあまり出番がなかったので、自然と考える時間ができたけど、それによって素晴らしい演技だったとか、エモーショナルな演技、もしくは肉体的な演技ができたとか考えながら最終日を迎えることにはならず、私にとってはあまり活動的ではない日だった(笑) 誰もが「これで終わりだ」と寂しそうに言っていたけど、私は割り切って考えていて、ここまで長いことずっと出演し続けることができて光栄だと思った。本当にそう感じたの。翌年も仕事をもらえるかなんて分からなかったし、このドラマの性質上、知らない間に死んだことにされている可能性だってあり得たから、「また戻ってこられるか分からない」なんてよく言っていたものよ。(クリエイターの)デヴィッド(・ベニオフ)とダン(D・B・ワイス)は常に『ゲーム・オブ・スローンズ』で最悪なのはオフスクリーンで死ぬことだと言っていたので、そういう可能性だってあったの(笑)

ニコライ:最終日には彼らが「さあ、みなさん、グウェンドリン・クリスティーはこれでシリーズ最後となります」と言ったんだ。

グウェンドリン:やめてよ。今、泣いちゃうじゃない!

ニコライ:そしてデヴィッドとダンはシリーズを通してずっとやってきたように、素敵なものを持ってきてくれた。お別れになる俳優が演じたキャラクターの絵コンテをね。

グウェンドリン:私のは最終章からのものだった。

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ニコライ:彼女がそれをもらった後、デヴィッドとダンからスピーチがあった。なかなか良い内容で、「グウェンドリン、君はずっと素晴らしかった」とね。

グウェンドリン:とても嬉しいことを言ってくれた。それまで自分は心の準備ができていると思っていたのに、胸の鼓動が高鳴り、怖くなった。割り切っていたのに、突如として感情の波が押し寄せてきたの。"しっかりして"と自分に言い聞かせたけど、彼らが話し始めるや否や、感極まって我慢の限界を超えてしまったのを覚えているわ。姿勢良く立っていたのに突然耐えられなくなり、2時間もずっと泣き止むことができなかった。それは奇妙な感覚で、自分でもそれについて笑っていたし、他の人も笑っていたけど、それでも涙を止められなかった。

こんなキャラクターに出会えるのは一生に一度というくらい、ブライエニーは私にとって大きな意味を持つの。幸運なことに自分の仕事が人々にとって何かを象徴するようになり、女性がより表に出ていった。女性の物語をより掘り下げていくムーブメントの一員となり、それまでは可能だなんて思ってもみなかったことができるようになった。そういったことすべてが身に染みて、とても感動したの。それと、みんなと深い絆を結んだのに、もう定期的に会えなくなるし、仕事を言い訳にあんな風に楽しめなくなるのも寂しかった。彼らと一緒に仕事をするのは喜びの一部だから。

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ニコライ:僕の最終日は素晴らしかった。名シーンだったので幸運だったと思うよ。最終日にプレゼントされた絵コンテは、ジェイミーの手が切断されるシーンだった。ここ数年間、HBOはすべてを記録しておこうとしていて、舞台裏の映像が常に撮影されていた。でもその時、僕は"ここに立っている様子を、このような形で撮影されたくない"と思ったんだ。それはとてもプライベートな瞬間だったので、彼らに遠慮してもらうようにお願いした。

グウェンドリン:私たちの社会ではそういったことがよく理解されている。昨今ではすべてを記録しておこうとするけど、私たちの世代はインターネット以前の時代のことを覚えているわ。若い世代は自分たちがどのように映るかは意識してるけど、ある程度無意識でいるという感覚は失われている。だから私たちは、プライベートであるべき、制御することができない感情というものに純粋さを感じるのかもしれない。同時に恥ずかしいとも感じるもので、私は泣きたくなかった。泣いているところを撮られたくなかったわけでなく、その瞬間をプライベートなものとして欲しかったの。自分の役に対して、そして自分がいかに感謝しているかということに深い感情を抱いているし、これはもしかしたら自分がイギリス人だからなのかもしれないけど、それをプライベートなものとして、その場に一緒にいた人との間だけの親密な瞬間にしたいの。

――原作者のジョージ・R・R・マーティンはエンディングを「ほろ苦い」と表現していましたが、あなたたちはどう表現しますか?

グウェンドリン:とても良い終わり方ね。無秩序に広がった複雑な地図にもかかわらず、未解決のところをうまく解決できたと思う。中には驚きもあったし、そうではないものもあったけど、オーディエンスにとってはビックリでしょうね。全員が納得のいくドラマのエンディングというのはあり得ない。すべての人を満足させることなんてできないもの。私がとてもありがたいと思うのは、デヴィッドとダンがブライエニーの物語について私の考えに耳を傾けてくれたことで、自分が少しでも関与できたと思えて嬉しかった。

ニコライ:彼らは素晴らしい仕事をした。『ゲーム・オブ・スローンズ』、そしてウェスタロスの世界に忠実だったと思う。まだ出ていなかったかなり多くの答えを出したわけだが、すべての答えを出すことは不可能だ。あれ以上のことはできなかっただろうね。

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――本作の一員となったことがあなた方の人生を変えたのは明らかですが、どんなものが得られましたか?

ニコライ:それは今から5年先、それについての見方が確立して初めて答えられると思う。今はまだ、「僕の人生を変えた」という見方に自然と抵抗してしまうんだ。

グウェンドリン:私もそれにずっと抵抗してきたから、それが二人の共通点ね。

ニコライ:時は人を変えるものだ。もし本作に出演していなかったら、きっと別のことをしていただろう。僕が言いたいのは、人生が人を変えるということだ。『ゲーム・オブ・スローンズ』によって影響を受けたかと聞かれれば、もちろんそうだし、その代わりに別のことをしていたとしたらそれにもまた影響されただろう。本作出演中に12本の映画に出演し、それらにも影響を受けた。さらに家族からは仕事以上に影響を受けているはずだ。とはいえ、5年後、10年後には、本作のおかげでここまで来られたとか、これで成功したからこういうことができるようになったという風に振り返れるだろうね。

グウェンドリン:私は本作をずっと仕事と見なし、仕事場に行って仕事をし、仲間意識を持って過酷で親密な体験をするという不思議な不調和を経験してきたけど、これは私にとってとてもパワフルなものなの。そこから一歩離れて、自分を批評し、どのようにして向上させることができるかに集中したけど、人々がこのドラマを見てくれているということにはいつもショックを受けていた。それは私が本作のクオリティを信じていないからではなく、他に類を見ないものだと思ってはいるけど、私自身はそういう風に見ていないからなの。この歳になって、『ゲーム・オブ・スローンズ』を経験した今でもまだ、人々が見てくれたと聞くと驚いてしまう。私は仕事以外でとてもしっかりとした、彩り鮮やかで満足のいく人生を送ってきた。友達の多くとは成人して以来ずっと友達だから長年の物語があり、年月で言うと本作を上回る。そんな友人たちは、いつでも概念的なことでなく実際に人と人との間に何が起こっているのかということに私を引き戻してくれるの。

――これからまだプレミアやプレスツアー、そしてブルーレイ&DVDリリースもありますから、まだ『ゲーム・オブ・スローンズ』が続いているように感じるかもしれませんね。

ニコライ:そうだね。本作がエミー賞に初めてノミネートされた年(2011年)、最終シーズンを迎えていた別の番組の出演者たちが授賞式の後で落ち込んでいたことを覚えているよ。その時、"うわ、これが彼らにとって最後の瞬間なんだ"と思ったけど、僕たちもそうなるのかもしれないね(笑)

<『ゲーム・オブ・スローンズ』リレーインタビュー>
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「シリーズ完結は新たな始まり...」作品担当者が語る、本作の日本上陸と鉄の玉座が生まれた経緯

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■商品情報
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※R-15:本作には一部に15歳未満の鑑賞には不適切な表現が含まれています

発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

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『ゲーム・オブ・スローンズ』
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