ドラマシリーズにとって作品全体の印象を左右することになる重要なシーズンフィナーレ。大ヒットシリーズにもかかわらずエンディングが酷評される作品がある一方で、大絶賛されるシリーズも。
ここでは、IndieWireが取り上げた“今世紀最高のTVエンディング・エピソード”の中から5作品を厳選してピックアップ!
(以下、一部ネタバレが含まれますのでご注意ください)
目次
エンディングが神がかってる海外ドラマ
『シックス・フィート・アンダー』
完璧なシーズンフィナーレと言えば、まず名前が挙がる作品がこちら。家族で葬儀屋を経営するフィッシャー家をとりまく人々をシニカルに描くヒューマンドラマ。テレビ業界のフィナーレに対する考え方を変えたとまで言われ、圧倒的な支持を集める。
「栄光に満ちた、革新的で破滅的な10分間。心にしみるほど美しく、涙をこらえるのは不可能」と評される最終話のラストは、シーアの“Breathe Me”がバックグラウンドに流れながら、各キャラクターの人生と死が映し出される演出になっている。
『ゲーム・オブ・スローンズ』原作者ジョージ・R.R.マーティンは、本作のエンディングについて「テレビ史全体において圧倒的に最高なフィナーレだし、誰がどうやったら塗り替えられるのか想像ができない」と絶賛している。
『シックス・フィート・アンダー』は、U-NEXTにて配信中。
『メディア王 ~華麗なる一族~』
2018年放送のシーズン1から毎シーズン賞レースで話題を集めてきた大ヒットシリーズ。世界的なメディア企業ウェイスター=ロイコ社の骨肉の後継者争いを描く。
最終章となったシーズン4では、ローガン・ロイ(ブライアン・コックス)の後継者争いの渦中にいたケンダル、シヴ、ローマンが、父親/CEOのローガンという絶対的存在を亡くした後、やっと手に入れることができたであろう「自由」をどう生きるが描かれる。
シリーズ最終話は、大小さまざまな驚きと紆余曲折に満ちていて、クリエイターのジェシー・アームストロングは、この三人は誰も幸せにならないことを明言している。彼らは自分の望みを叶えることができず、全員がさまざまな失敗の結果を背負って生きなければならないのだ。
それぞれの思惑が絡み合う重厚なストーリーに、賞レースを席巻した実力派キャストたちによる見事な演技合戦で圧巻のフィナーレを迎えた。大ヒットした作品なだけに、スピンオフや続編の製作に対しては、キャスト、HBO幹部ら共に消極的な姿勢であることが明らかになっている。
『メディア王~華麗なる一族~』は、U-NEXTにて配信中。
『ベター・コール・ソウル』
世界的大ヒットシリーズ『ブレイキング・バッド』に登場する弁護士ソウル・グッドマンを主人公としたスピンオフ。本家に引けを取らない人気ぶりをみせた本作では、ボブ・オデンカーク演じる詐欺師/弁護士ジミー・マッギル(ソウル)と、彼のソウルメイトであるキムとの関係を通して、後悔と贖罪、そして生きる価値とは何かを問いかけていく。
本家キャストも登場したことで話題になったフィナーレ。逮捕されたジミーは自分の過去に向き合い、法廷で全ての罪を認めて86年の服役を命じられることに。
刑務所に面会に来たキムと壁に寄りかかり煙草を吸うシーンから、最後にフェンス越しに別れを告げるシーンまでの一連のシーケンスはドラマ史に残る名エンディングだ。クリエイターによると、煙草のシーンで終了する別のエンディングも検討されていたようだ。
『ブレイキング・バッド』初放送から14年後の2022年に放送された同エピソードをもって物語は完結。しかし、ボブとレアはリブート版へのアイデアを持っており、今後『ブレイキング・バッド』ユニバースがさらに拡大する可能性もあるだろう。
『ベター・コール・ソウル』は、Netflixにて配信中。
『ダウントン・アビー』
20世紀初頭の英国を舞台に、貴族とその使用人たちの複雑な人間模様を描いて大ヒットした時代劇シリーズ。6シーズンにわたってたくさんの視聴者に愛された本作は、キャスト全員にしっかりと区切りをつけるという、一見不可能なことをやってのけ、心温まるハッピーエンディングを迎えた。
90分のフィナーレの中で中心的なストーリーラインになったのは、伯爵の次女イーディスと城の管理人バーティーの結婚。何シーズンも不幸と災難に見舞われた彼女ほどハッピーエンドにふさわしい人物はいないだろう。
また、執事たちの人生も伯爵ファミリーと同じように明るく締めくくられ、侍女アンナと伯爵付の従者ベイツは無事に赤ん坊を授かった。また、この番組で最も悪役に近いキャラクターとして描かれたトーマスでさえ、執事のカーソンがリタイアできるよう、執事として(そして家族の一員として)屋敷に迎え入れられた。
多くのファンがシリーズ存続を願い、その後2作の映画版が製作され、今年後半にはファイナルとなる映画第3弾が製作される予定だ。
『ダウントン・アビー』シーズン1~6は、スターチャンネルEX、Huluにて配信中。
『バリー』
俳優、コメディアンとして活躍するビル・ヘイダー主演で、演技の魅力に取りつかれた殺し屋バリーが、足を洗いたいのに洗えないという苦悩をブラックユーモアを交えて描く。
最終シーズンとなったシーズン4では、バリーと演技クラスで仲良くなったサリーが息子ジョンを育てている様子が描かれる。フィナーレのエピソードでは、波乱万丈なバリーの人生が映画化され、それを10代になったジョンが鑑賞するフラッシュフォワードのシーンがあるが、この映画の中で、殺し屋だったバリーは悲劇の主人公として英雄的に描かれ、彼の被害者だった人はモンスターとして描かれる。
このシーンは、ハリウッドが“暴力的なキャラクターを美化する”ことがよくあることを意図的に伝えた、ブラックコメディー作品の傑作とも言われる同作の完璧なエンディングになっている。
『バリー』は、U-NEXTにて配信中。
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