世界中を熱狂させた『ゲーム・オブ・スローンズ』。そのおよそ100年前、騎士ダンクと従士の少年エッグの旅路を描く前日譚『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』がU-NEXTで独占配信中。クライマックスに向け加速し始めた第5話「慈母の名において」では、ついにダンク陣営とターガリエン家による宿命の対決が描かれた。手に汗握る死闘の裏で明かされるのは、ダンクのアイデンティティを形作った過酷な幼少期と、愛する者を失った喪失の記憶だ。(※本記事は第5話のネタバレを含みます)
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【ネタバレ】まさかの援軍に驚愕!『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』第4話レビュー
ウェスタロスという架空の大陸を舞台に、“鉄の玉座”をめぐる壮 …
ダンクを突き動かす過去の亡霊
試合会場で、戦術、そして相手はこちらを殺しにくるだろうと皆に忠告するベイラー・ターガリエン。恐怖のあまり馬上から吐いてしまうダンクとレイマン。ベイラーは、“王家の人間は殺してはならない”と言うルールがあることも告げる。ライオネルはベイラーに向かって、「勇敢なのは母に無視された男だ」と意味深なことを言う。それぞれ持ち場につくダンクの一派。不安そうなエッグから槍を受け取った後、「戻ってきた時、ここにいろ」と告げて去っていくダンク。“生きて戻るからまた従士をやれ”との宣言とも取れるダンクの一言に、少しだけ笑顔を見せるエッグだった。
ターガリエンの王族衣装を纏い試合観戦席につくエッグ。鎧を纏ったそれぞれ7名の騎士たち。決戦が始まった! 一人出遅れるダンクだが、なんとか馬を走らせたのも束の間。一瞬で腹に槍を刺され負傷してしまう。なんとか突き刺さった槍を抜き反撃の体制を取ろうするダンクに、エリオン・ターガリエンが武器モーニングスターで一撃を喰らわす。目の前が真っ暗になるダンク。
舞台は変わり、ダンクと思われる少年の姿が描かれる。浜辺に馬と共に倒れる兵士。ダンクは、「母…」と言いながらも助けを求める顔をする兵士の口をふさごうとする。そこに「やめて、何してる?」と少女が声を上げる。人形遣いのタンセルを彷彿させる浅黒い肌と黒い髪の彼女は、兵士が地獄に行かぬよう祈りの言葉を言おうとダンクに語る。
森の中を歩く二人。そこに別の兵士が死体を馬で運びながら向かってくる。茂みに隠れる二人。「戦争は終わった。パンが無料になる」と言うダンクに「バカなの?」と言う少女。純真な少年に用心深い少女は貧しい居住区に戻る。そこで、「レイフ」と声をかけられた少女は、酒を飲みながら寄ってくる騎士の隙をついてダンクと脱げる。騎士の酒をついでに盗んで。そして二人で集めたと思われる鉄屑などを業者に売り高価をもらう。二人はどうやらお金を貯め、いつかこの場所から逃げ出そうとしていたのだった。だがダンクは、別の場所もここよりひどいかもしれないと消極的。その理由は、母親が帰ってくるかもしれないからと言うことだった。だが、母は戻ってこない、家族が欲しいならここから出なければと説得するレイフ。そして「愛している、私は行くよ。だから、あんたも来て」とダンクに告げるのだった。

貯めたお金を持って自由都市までの切符を買おうとするレイフ。だが船賃が倍になったから足りないと言われ、怒りながら店を出る。そこにあの落ちぶれた騎士たちの姿が。レイフに酒のことを問い詰めるも、銀貨を奪い上機嫌になる。だが、すれ違いざま、腹いせにレイフは、騎士の短剣を盗んでいく。すぐにそれに気が付く騎士は、レイフを追いかけ、なんとダンクの目の前で彼女の首を何の躊躇もなく切り付けたのだった。激しく飛び散る血。喉ものと切られ言葉もでないレイフの返り血を浴びながら、騎士に後ろから飛び掛かるダンク。だが小柄な上丸腰の彼に歯が立つわけがない。反撃に出た騎士は槍でダンクの足をひとつきに。叫び声を上げるダンク。その時、ドアからサー・アーランが飛び出してきた。嘔吐しながらも、二人を襲っていた騎士たちに切り掛かる。レイフを切った騎士の首を一切りではねてしまう。レイフの最後を見とるダンクの後ろではまだサー・アーランがもう一人の騎士を格闘している。凄まじい光景に何もできないダンクだが、サー・アーランはこの騎士も短剣で首をひとつきにして殺してしまう。そしてそのまま「どけ!」と言いながらどこかへ行ってしまった。
レイフとの家に戻るダンク。一人で打ちひしがれるダンクだが、あの時戦ってくれた声を耳にし、サー・アーランの寝床までついていく。それからあの馬三頭を連れ旅に出るサー・アーランの後ろを徒歩でひたすらついていき、一定の距離を置きながらもまるで一緒に旅をしているかのような日々を過ごす。酒を飲み、大声で歌い、踊り、剣の練習するサー・アーランの姿を眺めながら、言葉を交わすこともなくただただついていくダンク。そしてついに、野原で寝ているダンクの元にサー・アーランがやってくる。「立て!」と伝えに。
衝撃の結末へ
場面は決戦場に戻る。倒れたダンクはぬかるみで横たわっていた。そこにまた武器で襲いかかってくるエリオンの姿が。お互いもつれあい泥まみれで戦う二人。血だらけになりながら壮絶な闘乱が繰り広げられる。周りでも同じように残りの六人ずつが戦っており、片目も刺されたダンクは、ふらふらになりながらもマスクを取り、エリオンを追い詰める。そしてエッグが兄エリオンにやられたことの仕返しのように、股間を狙い急所を切りつけた。痛みに悶え苦しむエリオン。父メイカー・ターガリエンが「息子よ!」と助けに向かう中で、阻止しようとしたライオネルの馬に槍を突きつける。だが行く手はダンク側陣営に阻まれる。倒れ込むエリオンを追い詰めるダンクだが、口からは血反吐が、左目が潰れて見えず、その場に座り込み目を見開いたまま倒れてしまう。
「立ってください! 立って!」と叫ぶエッグの声が何度も静まり返った会場に響く。もうこれで決着がついたかのように思われたその時。サー・アーランが「立て!」とダンクに告げる。ガッと目を見開くダンク。それを見てエッグは「待て!」と叫ぶ。立ち上がっていたエリオンの後ろで、再び立ち上がるダンク。観衆も一気にダンク側につき沸き立つ。そして“まだやるのか”と言わんばかりのエリオンが振り返りダンクを見る。そして再び戦う二人だが、エリオンに馬乗りになったダンクは素手で顔を何度も殴り倒す。顔面が真っ赤になるエリオン。このまま殴り殺されるかのように見えたその時、エリオンは降参する。そして審判の元へエリオンを連れて行ったダンクは、皆の前でエリオンに敗北宣言をさせる。決戦の幕が閉じる大きな笛の音が響き渡った。

レイマンたちに手当をされるダンク。死傷者はいたかと周りを気遣うダンクだが、彼もまた一歩間違えば死ぬかもしれないような状況にある。そこに、傷口の処置には油でなくワインでやれと言いながら現れるベイラーの姿が。ベイラーの前にひざまずくダンク。「優秀な奴が必要だ」とダンクに向かって話すベイラーに感謝の気持ちでいっぱいのダンクだが、倒れてしまう。そんなベイラーもレイマンに、手が動かないので兜を脱がせる手伝いをするよう頼む。兜を取ったベイラーの後頭部は、砕け、脳が半分えぐり取られていた。自分の手でそれを確認した後そのままダンクの腕の中で倒れ、ベイラーは息を引き取る。自分のせいでベイラーの命を奪ってしまった責任を感じたダンクは、泣きながらベイラーの遺体に謝罪をするのだった。
継承される悲しみ、そして最終話へ
第4話のベイラーの登場に沸いた視聴者だったが、今回はベイラーの突然の最期というショッキングな形で幕を閉じた。このエピソードはなんと言っても、泥まみれの中でのアクションシーンが見どころだっただろう。甲冑を着て馬に乗っての撮影は容易ではなかったことが想像できる迫力満点のエピソードだった。

そしてダンクの生い立ちとサー・アーランとの出会いがわかる重要な回だった。一緒に暮らしていたレイフは、人種的にはダンクが救ったタンセルに似ており、そういう意味でも彼はタンセルにレイフを重ねて見て惹かれたのかもしれない。目の前で騎士に殺されたレイフを救えなかった自分への怒りや不甲斐なさをずっと抱えていたに違いないダンクは、あの時どうしてもエリオンからタンセルを救いたかったのだろう。それはただ単に騎士としての務め以上のものがあったのかもしれない。また、サー・アーランとの出会いも偶然で、“弟子入りさせてほしい”と言うようなやりとりがあったわけでもなく、自然の流れでこうなったことも興味深かった。
今回のタイトルには、「母」と言う言葉が登場する。サー・アーランのセリフにも、戦いの前にライオネルがベイラーに話しかける際にも、そして何よりダンクは「母」の帰りを待っていたと言うことで、「母」と言う存在がキーワードになっていると感じた。今後それがまた何か意味するものになるのかはわからないが。血みどろの戦いが、いかにも『ゲーム・オブ・スローンズ』の世界だと実感できる今エピソードだったが、やはりベイラーが美味しいキャラで、その美味しいキャラのまま退場してしまったのは非常に残念だ。そしてあの最期の戦いで着ていた甲冑は、息子のものだった。ということは、参戦する予定はなかったものの、急遽騎士としてどうあるべきかギリギリのところで思い出しダンクを支援したことになる。ベイラーは「ターガリエンは撃たれない」と言っていたのに、突然父を亡くしたヴァラールがダンクにぶつける悲しみも理解できる。ターガリエン家の中でも、これを期にますます混沌とした王族関係が生まれそうだ。
残りあと1話となったシーズン1。戦いには勝利したダンクだが、果たして彼の騎士道の旅路はどうなるのだろうか。
『ナイト・オブ・ザ・セブン・キングダムズ』シーズン1はU-NEXTで独占配信中。毎週一話ずつ配信となる。杉田智和&釘宮理恵による吹替版は、2月23日(月・祝)に全6話が一挙配信。
(文/Erina Austen)





