Maxオリジナルドラマ『AND JUST LIKE THAT… / セックス・アンド・ザ・シティ新章』シーズン3が、5月30日(金)より本国アメリカと同時でU-NEXTにて独占配信中。それに合わせてキャスト、スタッフの直撃インタビューを6回に分けてお届け! ラストとなる6回目は、クリエイターのマイケル・パトリック・キング。『SEX AND THE CITY』時代から同シリーズに関わる彼に、シリーズやキャリーたちの進化、お気に入りのストーリーラインなどについて語ってもらった。
-
『AND JUST LIKE THAT…』シーズン1〜2をおさらい!キャッチアップ映像が初公開
HBOが誇る大ヒットTVシリーズ『セックス・アンド・ザ・シテ …
『SATC』シリーズは社会の声に答えるために誕生した
――なぜ今、50代の女性が前面に出ることが重要だと思いますか? そして、それに伴う課題は何でしょう?
「1990年代後半に『SEX AND THE CITY』が始まった当時、(登場人物たちの世代である)30代の女性に関して本作が重要だったのは、社会が“もう結婚していて、子どももいるべきだ”と言っていたから。だからこそテレビで取り上げる価値があった。誰かがその声に答える必要があったんだ。そして今、同じキャラクターたちが50代になり、新しいキャラクターも登場したが、社会は依然として“この年齢の女性はもうすべてを手に入れているべきだ”と言っている。“ある一定の格好をすべきで、恋愛に対してそんなに感情的になるべきではない”と。だからこそ、“年齢に関係なく、人間は個人である”と主張する理由があるんだ」
「人は常に進化する必要がある。社会と関わり続けなければならないし、その中にはコメディもドラマもたくさんある。まず、視聴者が一緒に年を重ねたキャラクターたちを描けることにとてもワクワクしている。そしてこの年齢になった彼女たちの“英雄的な一面”も“ちょっとダメな部分”も描くことで、視聴者に“あなたも一日の中でヒーローにも失敗者にもなっていいんだ”と伝えられる。つまり人間性。感情的に多面的なキャラクターは、まだあまり描かれていない。これは女性に限らず、男性も同じで、多面的な姿を見せられるキャラクターが必要なんだ」
「HBOで生まれたシリーズなので、“すべてがコメディであるべき”というルールはなかった。悲劇的でもいいし、ヒーローであり、同時にヴィランでもいい。多面的なキャラクターを描けるのは本当に楽しいよ。もちろん、好きな部分もあるし、これはやめてほしいと思う部分もある。それこそが視聴者の共感を呼び起こすんだ。“彼女、変わるかも”って期待感。それがファン心理の大きな原動力だよ」
――シーズン3に、リサが男性を編集者として雇おうか考えるシーンがありますよね。あなた自身は、5人の強い女性たちを相手に仕事をして、演出もされている男性として、どのように感じていますか?
「まず言いたいのは、彼女たちは本当に素晴らしい俳優たちだということ。だから僕にとって、監督としてはまさに天国のような環境だよ。彼女たちは何でもできるし、僕が望むことはすべてこなしてくれる。そしてその姿も本当に見事なんだ。だから問題はまったくない。僕にとっては全部パーティのようなものだよ」
「そして、このエピソードに関して面白いのは、脚本チームの女性たちがこのストーリーを強くプッシュしたこと。彼女たちは、“結婚していても、自分はまだ生きている”と描きたかったんだ。魅力的な男性が職場に現れることはよくあるし、それにどう向き合うかも含めて描きたかった。なので、このエピソードは既婚女性の視点から“絶対にやるべき”という強い意志で作られた。僕は“なんでこれをやるの?”と思ったけど、彼女たちは“これは描かれるべきことだから”と」
――作家として心からのアイデアを形にして、スクリーンで実現させるには強い信念が必要ですよね。特にこのシリーズにおいて、そのプロセスで一番ワクワクするのはどんな部分ですか?
「最もスリリングなのは、27年間書いてきたキャラクターの新たな一面を見つけること。“まだこんな側面があったのか”と発見することができた時の喜びは格別なんだ。シーズン3に関して言えば、例えばキャリーは、グラマシーにある白くて空っぽのアパートに住んでいる。脚本で描いたその空間を、素晴らしいデザインチームが現実に創り上げてくれた。あの部屋に家具が何もないのは、キャリーが“決めきれていない”状態を表している。これは僕にとって非常に刺激的なアイデアで、今シーズンのコンセプトは、シーズン2のグラマシーパークでの撮影中に“キャリーの下の階には誰が住んでいるんだろう?”と思ったのがきっかけだった。こうした日常の現実から生まれた閃きこそが、脚本を書く楽しさなんだ」
――作品の舞台であるニューヨークは少しずつ変化してきました。『AND JUST LIKE THAT…』において、ニューヨークは何を象徴していますか?
「ニューヨークは確かに変わってきたけど、それでも本質的にはニューヨークのまま。活気に満ちていて、生きていて、前進している。そして僕は、キャラクターたちについても同じように感じている。彼女たちは変化しているけど、本質はそのままなんだ。キャリー、ミランダ、シャーロット――この27年間で、彼女たちはずっと生きていて、活気があって、前に進み続けている」
「ちょうど、ニューヨークの街角を曲がった時に“あれ? こんな建物あったっけ?”と思うような感じ。“あれ、新しい店?”“あのレストラン、前からあった?”という発見は、新しいキャラクターを登場させる自然な方法なんだ。例えば角を曲がったら“シーマがいた”“この人知らない。出してみよう”“LTWも加えよう”…そういう風に、街の進化が番組の進化ともリンクしていて、何よりもキャラクターの進化と繋がっているんだ。キャリー・ブラッドショーが、どんどんより彼女らしくなっていく、進化の物語だよ」
――キャラクターの進化について話がありましたが、その流れで気になったのがミランダです。彼女は、自分のセクシュアリティに気づいてから性格が大きく変わり、かつてのような決断力やタフさを失ったように見えます。ミランダの変化についてどう思っていますか?
「『AND JUST LIKE THAT…』最初の2シーズンにおいて最も興味深くて活気のある部分の一つは、視聴者がミランダにどう反応したかという点。私の考えでは、『SATC』と『AND JUST LIKE THAT…』の間にある年月の間に、多くの人がミランダのことを幸せな既婚女性として記憶していた。なぜなら、彼女はブルックリンに引っ越して、みんなが大好きなスティーヴと結婚し、子どももいたから。人々は忘れていたんだ。ミランダがもともとは“アナーキスト”だったことを」
「彼女は、“なんで私たちはいつも男の話してるの? バカみたい”って言ってた人。デート相手の態度が気に入らなければ途中で立ち去るし、緊急連絡先に登録する相手がいないと嘆くこともあった。だから『AND JUST LIKE THAT…』で彼女が人生を“壊した”ように見えた瞬間――それは実は、新たな人生を“発掘した”瞬間でもあったんだ。これはつまり、自身のセクシュアリティに向き合うことだったし、彼女にとって満たされない関係だったスティーヴとの別れでもあった。そしてその道中で、彼女はいろんな段差や落とし穴にぶつかっていった。そこから活発な議論が生まれ、私はそれを大歓迎した。なぜなら、それだけ多くの人が彼女に注目していたという証拠だから。みんなが彼女を大事にしていたからこそ、“これは私のミランダじゃない”という声もあがった。でも私は思ったんだ。“いや、これが私たちのミランダなんだ”と」
「そして面白いのは、シーズン3で彼女はそのすべてをくぐり抜けてきたこと。今の彼女は再び地に足が着いていて、決断力があり、仕事もしていて満たされている。つまり、真のミランダなんだ。大人になっても、恋愛で居心地の悪さを感じながら、それでも前に進む」
――シーズン3のジュゼッペは、あるシーンではまるで“ミスター・ビッグ”のように見えました。あれは付け物でしょうか? ああいう視覚的ギャグを撮影するのは、どんな感じですか?
「『SATC』は常に“セックスとコメディ”についての作品だった。そして『AND JUST LIKE THAT…』も時々セックスをテーマにしている。彼を“ミスター・ビッグ”にたとえたのは面白いね。文字通り、彼は“ビッグ”なんだ(笑) あれが付け物かどうかは言わないでおくよ。舞台裏を明かすようなものだからね。ただ言えるのは、ジュゼッペは“本物”で、あれも“本物”。そしてそれが、作品の楽しさ、驚き、そしてコメディの一部なんだ。もっと言えば、これからもああいうシーンは登場するよ。私たちは、セックスの描写にも常にコメディ的な切り口を入れようとしている。これはポルノじゃないので、笑いと楽しさのために描いているんだ」
――製作総指揮も務めるサラ・ジェシカ・パーカー、シンシア・ニクソン、クリスティン・デイヴィスとの意見交換はどのように行っていますか? 実際に彼女たちのアイデアを生かしたストーリーラインやシーンがシーズン3にあれば、可能な範囲で教えてください。
「私には、サラ・ジェシカ、クリスティン、シンシアと27年にわたり共同制作を行ってきたという贅沢な経験がある。『SATC』の初期は、私たち全員が手探りで、“このキャラクターたちはどんな人たちなのか”“彼女たちの夢や希望は何なのか”を一緒に探っていた。そうやって彼女たちは私という作家を理解し、私も彼女たちを俳優として理解してゆき、サラ・ジェシカはその後(『SATC』シリーズ途中で)プロデューサーにもなった。今では3人ともプロデューサーだ」
「私にとって大事なのは、毎シーズンの始めにキャリーのアイデアを持って、サラ・ジェシカに“こういう方向を考えている”と伝えること。シンシア、クリスティンにも同じように話し、その反応を受けて採用するかどうかを判断する。彼女たちの反応は、“この方向で進めるべきか否か”を見極める材料になる」
「私たちは非常にリスペクトを持った、協力的なやり取りをしているよ。彼女たちは、私が想像もしなかったような形で台詞を演じてくれる。私も、彼女たちが予想もしていなかったような脚本を書くことができていれば嬉しいね。それは、まさに喜びだ。芸術的であり、同時に家族的な関係でもある。いまだに、彼女たちが台詞に命を吹き込む瞬間に感動させられる。私たちの間にはある種の共通言語があるが、3人それぞれに違いがあるので、演出をする時も全員に同じようには指示しない。それぞれに違ったアプローチが必要なんだ」
「でも素晴らしいことに、キャラクターが成長するにつれて、脚本も成熟し、彼女たちもキャラクターたちをより複雑に、美しく、そして人間らしく演じてくれるようになった。長年一緒に仕事をしてきたことで、キャラクターと俳優の間にあるDNAのようなものが混ざり合っているように感じる。キャリー・ブラッドショーとサラ・ジェシカ・パーカーの間のどこかに、キャリーというキャラクターが存在しているような感じだね」
――先程キャリーのアパートの話がありましたが、彼女はほかにもいろんな場所に登場しますよね。中庭に出たり、州外に出かけたり、地下の住人のシーンがあったり――。なぜ、彼女をこんなにもいろいろな場所に“旅させる”のでしょう?
「今のキャリーは、とても活気ある人生を送っている。ただし、それはどこか“未来”にあるような感じなんだ。シーズン3の脚本で興味深いのは、彼女が“今”を完全には生きていないということ。彼女は、架空の“過去”と現実の“未来”の中間のような場所にいる。豊かな人生を送ろうと必死なんだ。あの家に引っ越した時は、エイダンと彼の子どもたちと一緒に住むつもりだった。でも、彼らはまだそこにいない。ニューヨークで庭のある家を持っていたら、庭に座るよね(笑) でもネズミが出るとは思ってなかった――それがコメディなんだ」
「そして彼女はバージニアまで行って、エイダンとの将来を“リアルに”確かめようとする。彼との未来を模索しているわけで、あの家の隅々まで探検する。そうすると残念ながら、下の階にいる音に敏感な住人から“ヒールを脱いで”と言われたりもする(笑) それが私たちにとっては、とても面白い。誰かがキャリー・ブラッドショーに“ヒール脱いで”と言うなんて、まさにキャラクターとコメディが融合している瞬間だよ。だから彼女が上下左右に動き回る姿を描けるのは、とてもスリリングなんだ」
「シーズン3の第1話で、彼女があの家を走り回るシーンがあるけど、あれは“動き続ける人”の姿なんだ。そして、あの家が鳴らす“存在しない警報”まで、まるでキャラクターの一部のように描かれている。つまり、あの家そのものが活気ある街・ニューヨークの中で、キャリーの一部になっているんだ」
――今シーズンで、あなたが一番好きなストーリーラインは?
「私は、自分の子どもたち(キャラクター)はみんな平等に愛しているつもりだよ(笑) でもあえて言うなら、やはりキャリーとエイダンのアーク(物語の流れ)が一番好きだね。このストーリーはとても難しく、だからこそやり甲斐があったから。私たちは、この二人の関係性を通して、たくさんの感情や多様な視点を探ることになった」
「“あなたはどっちの味方?”っていう問いが常にあるんだ。ある瞬間にはエイダンに共感し、また別の瞬間にはキャリーに共感する。例えば、子どもがいる人は、エイダンの立場を理解すると思う。でも、子どもがいない人にはそれがなかなか伝わらないこともある。“キャリーには何が価するのか?”“私たちは彼女に何を望むのか?”…そういった問いが、視聴者を物語に引き込むんだ」
「この件に関して、かなり活発な“派閥”があるのも知っているよ。キャリーに“シングルでいてほしい”という人たちと、“エイダンと一緒になってほしい”という人たちがいる。だから私にとって、このストーリーはとても楽しく、そして一番のお気に入りだった。なぜなら脚本的に非常に“複雑な挑戦”だったからね」
Maxオリジナルドラマ『AND JUST LIKE THAT … Maxオリジナルドラマ『AND JUST LIKE THAT … Maxオリジナルドラマ『AND JUST LIKE THAT … Maxオリジナルドラマ『AND JUST LIKE THAT … Maxオリジナルドラマ『AND JUST LIKE THAT …ナレーション復活は本人のリクエスト!『AND JUST LIKE THAT…』シーズン3 サラ・ジェシカ・パーカー(キャリー役)直撃インタビュー
印象的だったのはキャリーとの大喧嘩!『AND JUST LIKE THAT…』シーズン3 シンシア・ニクソン(ミランダ・ホッブス役)直撃インタビュー
『SATC』時代を思い出したシーンとは?『AND JUST LIKE THAT…』シーズン3 クリスティン・デイヴィス(シャーロット・ヨーク役)直撃インタビュー
付き合いたいのはキャリーの元カレ!『AND JUST LIKE THAT…』シーズン3 サリタ・チョウドリー(シーマ・パテル役)直撃インタビュー
一緒に夜遊びを楽しみたいのはあのキャラ!『AND JUST LIKE THAT…』シーズン3 ニコール・アリ・パーカー(リサ・トッド・ウェクスリー役)直撃インタビュー
(海外ドラマNAVI)