ディズニー作品やマーベル、スター・ウォーズなど魅力的なラインナップで知られるDisney+(ディズニープラス)。本企画では、その華やかな作品群の裏に隠れた知る人ぞ知る傑作をピックアップしてご紹介する。連載第16回となる今回は、2001年9月11日に発生した米同時多発テロ事件から25年という節目に、ナショナル ジオグラフィックが届ける感動のドキュメンタリーシリーズ『9.11 再会:あの日の出来事』を取り上げる。
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2977人が犠牲となった全米史上最悪の惨劇から25年
2001年9月11日、全米を激震させ、2977人もの尊い命を奪った史上最悪のテロ事件。ハイジャックされた旅客機が世界貿易センタービルやペンタゴン(国防総省)に激突したあの凄惨な光景は、21世紀における最もショッキングな出来事として世界中の記憶に刻まれた。
事件から25年の月日が流れ、事件の記憶を持たない若い世代が増えるなか、ナショナル ジオグラフィックが手掛けた全3話のドキュメンタリー『9.11 再会:あの日の出来事』は、今なお風化させてはならない記憶と人間愛の深さを静かに提示している。監督を務めたのは、高く評価された2021年のドキュメンタリー『9/11:アメリカを襲ったあの日』のプロデューサーであるジュリアン・ジョーンズ。9/11メモリアル&ミュージアムの全面協力のもと、惨劇の渦中で奇跡的に繋がった人々の25年ぶりの再会を追っていく。
水切りワイパー1本で壁を削って脱出――極限状態で生まれた救出劇
本作の最大の魅力は、過酷な記憶を単なる歴史的記録として語るのではなく、命を救われた生存者と、彼らの命を繋いだヒーローたちの対面という極めてパーソナルなドラマに焦点を当てている点だ。
劇中では、当時の報道映像や個人のスマートフォンで撮影された生々しい記録とともに、当事者たちの証言が交錯する。北タワーの落下物で背中に重傷を負ったデヴィ・セント・ジョンと、彼女を助け出したステファン・ホーラッハーの再会。あるいは、北タワーのエレベーターに閉じ込められた乗客たちが、窓拭き職人のヤン・デムチュールが持つ水切りワイパーの部品を使って石膏ボードの壁を削り破り、タワー崩壊のわずか5分前に間一髪で脱出した凄惨なエピソードなどが明かされる。

長年の時を経て固い握手やハグを交わし、溢れる感謝を伝える彼らの姿は、どんなフィクションも立ち打ちできない深い感動を観客に与える。
風化する記憶と陰謀論に抗う、生の証言の力
近年、Z世代をはじめとする若い世代の間で事件の記憶が薄れつつあり、ネット上では事件を軽視する発言や陰謀論が飛び交うことも少なくない。しかし、惨劇のなかで2万人以上の命を救うべく階段を駆け上がった消防士や警察官、そして名もなき一般市民たちの行動は紛れもない真実だ。
地政学的な背景説明をあえて削ぎ落とし、目の前の生存者たちの感情と再会の瞬間に徹底して寄り添う本作のスタイルは、だからこそ世代を超えて観客の心に強く響く。演出過剰なドラマティシズムを排し、人間の強さと優しさを浮き彫りにした本作は、今観るべき至高の記録映画と言えるだろう。
『9.11 再会:あの日の出来事』はディズニープラスで独占配信中。(海外ドラマNAVI)



















