ディズニー作品やマーベル、スター・ウォーズなど魅力的なラインナップで知られるDisney+(ディズニープラス)。本企画では、その華やかな作品たちの裏に隠れた知る人ぞ知る傑作をご紹介。第8回となる今回は、チャールズ・ユウの同名ベストセラー小説を、原作者自らが映像化した異色のメタ・コメディ『インテリア・チャイナタウン』をご紹介しよう。
「背景の男」が主人公になる、新しいメタドラマ
この物語の主人公は、チャイナタウンで聞き込みをするブロンドの美人刑事と筋肉質なイケメン刑事……ではなく、その背景に溶け込む中華料理屋のウェイター、ウィリス。毎日同じルーティーンを繰り返し、誰かの人生の背景として生きる彼。しかし、ある誘拐事件の現場に居合わせたことで、彼の運命は動き出す。「目撃者」という新たな役を手に入れたウィリスは、ミステリアスな刑事ラナに協力することを決意。その一歩が、ただの“モブキャラ”を物語の重要人物へと変えていく。

本作の白眉は、この「ドラマの中のドラマ」というメタ構造の描き方だ。ウィリスの日常は常に誰かのドラマの背景として存在し、彼は「給仕する男」という記号的な役割を押し付けられてきた。勇気を出して新しい役を全うしようとチャイナタウンの外へ踏み出しても、謎の力が彼の活躍を阻むかのように、なぜか警察署の入り口を通り抜けられない――。モブキャラがメインキャラへと成り上がるまでの困難を、虚実入り混じる演出で鮮やかに表現している。
ジミー・O・ヤンが魅せる悲哀とユーモアのバランス
主演を務めるのは、『シリコンバレー』や『ラブ・ハード』で知られるジミー・O・ヤン。コミカルな演技に定評のある彼だが、本作では、優秀な兄の陰で「弟役」として生きてきた男の悲哀を、繊細かつ力強く体現している。
ただし、物語は決してシリアス一辺倒ではない。随所に「刑事ドラマあるある」といったパロディやシュールな演出が仕掛けられ、軽快なテンポで進行する。特に、主役さながらのシリアスな空気で会話するスタイッシュな刑事たちの傍らで、主役らしい動きができずに右往左往するウィリスの姿は、滑稽でありながらも不思議な愛着を感じさせる。

さらに、製作総指揮を務めるタイカ・ワイティティ(『マンダロリアン』、『フリー・ガイ』)の作家性が、作品にさらなる彩りを与えている。ネオンが妖しく光るチャイナタウンの湿っぽい空気感と、突然切り替わるスタイリッシュな刑事ドラマ風の映像。そのギャップが、視聴者を「今見ているのは現実か、それともセットの中か?」という奇妙な境界線へと誘う。

「自分は人生の脇役にすぎない」と感じたことがあるすべての人に捧げられた、野心的でエネルギッシュな一作。ディズニープラスで、その驚きの仕掛けをぜひ自身の目で確かめてほしい。
『インテリア・チャイナタウン』はDisney+(ディズニープラス)で独占配信中。(海外ドラマNAVI)








