ディズニー作品やマーベル、スター・ウォーズのイメージが色濃いDisney+(ディズニープラス)。そんな話題作の陰に、珠玉の海外ドラマが隠れいるのをご存じだろうか? この連載では、そんな”知られざる傑作”を海外ドラマNAVI編集部員がピックアップ! 第3回目は『コンビニ・ボーイズ』を紹介する。
突然の父の死、そしてコンビニの裏に隠された巨大な帝国
「もし『ファーゴ』の世界におバカなコンビが迷い込んだら?」そんな突飛な想像を、刺激的なマサラの香りと共に実現したのが、ディズニープラスで独占配信中の『コンビニ・ボーイズ』だ。まるで『ブレイキング・バッド』のように、平凡だった(あるいは単におバカだった)人間が、一度足を踏み入れたら最後、二度と引き返せない悪の道へと転落していくプロセスを、極上のユーモアで描き出している。

物語の中心は、対照的な二人の兄弟。一人は派手好きで無鉄砲、もう一人は世間知らずだが野心だけは人一倍。コンビニビジネスで成功を収めた父は、息子たちを自らの帝国からあえて遠ざけていたが、その父が急死したことで事態は一変する。二人が相続したのは、輝かしい遺産だけではなかった。その裏に隠されていたのは闇の取引の数々。法的な混乱や財政難に翻弄される兄弟の前に、クセの強いキャラクターたちが次々と現れる。FBI、イタリア系マフィア、薬物ジャンキー、スピリチュアル信者……。中でも、叔母のラッキー(プールナ・ジャガナサン『私の“初めて”日記』)の圧倒的な存在感は、登場する全てのシーンを盗んでいくほどの輝きを放っている。
23分間に凝縮されたリアル」と笑いの黄金比
本作が他の配信ドラマと一線を画すのは、1話約23分というタイトな構成だろう。冗長な説明を削ぎ落としたテンポの良いストーリーテリングは、今の時代の視聴者にとって極めて心地よい。特筆すべきは、南アジア(特にパキスタンやパンジャブ)の文化に根ざしたユーモアの質である。内輪ネタをあえて過剰に説明せず、英語とウルドゥー語が自然に混ざり合う会話劇は、まさに名作『シッツ・クリーク』にパキスタン流のバイタリティを掛け合わせたような、知的で温かみのある笑いだ。
また、本作の面白さは何よりもそのキャラクター造形にある。『コミ・カレ!!』や『ジ・オフィス』を彷彿とさせるシュールで変わり者揃いの登場人物たちが、裏社会のシビアな状況下でおバカを炸裂させるギャップこそが醍醐味だ。世間知らずな兄弟が、右も左も分からぬままパキスタン・マフィアと渡り合う姿は、滑稽でありながらも不思議な緊張感を生む。彼らが繰り広げるどんな手を使ってでも生き残るという泥臭い商売魂や、したたかな交渉術は、イマドキのスタートアップ的なドタバタ感、家族経営の奮闘記を彷彿とさせ、観る者の心を掴んで離さない。

『コンビニ・ボーイズ』は家族の絆、アイデンティティ、そして「生き抜くための知恵」を、笑いというスパイスで包み込んだ新境地の傑作! 一度このリズムにハマれば、次のエピソードを再生する手は止まらないはずだ。
『コンビニ・ボーイズ』はDisney+(ディズニープラス)で独占配信中。第1回『マーダー・イン・ザ・ワールドエンド』、第2回『私のスーパーパワー』も併せてチェックしてみてほしい。



