ディズニー作品やマーベル、スター・ウォーズなど魅力的なラインナップで知られるDisney+(ディズニープラス)。本企画では、その華やかな作品たちの裏に隠れた知る人ぞ知る傑作をご紹介。第13回となる今回は、『アナと雪の女王』で知られるロペス夫妻が手掛けたロマンティック・コメディ『UP! 幸せをつかまえよう』をご紹介しよう。
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自由意志を巡る哲学×SFミステリー|知られざるディズニープラスの傑作ドラマ【第12回】
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恋の邪魔をするのは「頭の中の声」?
『UP! 幸せをつかまえよう』の舞台は1999年のニューヨーク。物語の主人公は、バーモントでの安定した暮らしを捨て、作家になる夢を追いかけてニューヨークへやって来たリンジーと、投資銀行で働きながら成功を夢見るミゲル。偶然出会った二人はたちまち惹かれ合うものの、恋はそう簡単には進んでくれない。

その最大の原因となるのが、二人の「頭の中」に住みついた人々だ。
両親やかつての恋人など、過去に出会った人々がリンジーとミゲルの心の中に現れ、「そんなことをして大丈夫?」「どうせうまくいかない」とあれこれ口を挟んでくる。もちろん実際にそこにいるわけではない。彼らは過去の経験から生まれた不安や恐怖、思い込みを擬人化した存在なのだ。

好きな人ができても、「傷つくかもしれない」と考えて一歩を踏み出せない。やりたいことがあっても、「自分には無理だ」と諦めてしまう。そんな誰もが一度は経験したことのある心の葛藤を、頭の中の登場人物たちとの会話として描いてしまうアイデアが面白い。
原題の『Up Here』が指しているのも、まさにこの“頭の中”。一見すると王道のラブコメディだが、実は「自分自身の思考とどう付き合っていくか」を描いた物語でもある。
心の声がそのまま歌になる!ミュージカルならではの楽しさ
そんな本作をさらにユニークなものにしているのが、物語の随所に盛り込まれたミュージカルシーンだ。
登場人物たちが言葉にできない感情を抱えると、現実はいつの間にかミュージカルの世界へと変化。ニューヨークの街角やオフィスなど日常的な風景を舞台に、周囲の人々まで巻き込んだ歌とダンスが始まる。

単に物語の途中で歌を披露するのではなく、ミュージカルだからこそ描ける心の動きを表現することを徹底しているのが本作の魅力だ。
恋に浮かれているときには世界のすべてが輝いて見え、不安に支配されれば頭の中はネガティブな声でいっぱいになる。普段ならモノローグで描かれるような感情が、大勢のキャストによる歌とダンスへと膨らんでいく。その大胆さこそ本作の魅力の一つと言えるだろう。
舞台が1999年というのもポイント。スマートフォンもSNSもまだ存在しないニューヨークを舞台に、二人がすれ違ったり、偶然再会したりする、昔ながらのロマンティック・コメディの楽しさもしっかり味わえる。

『アナ雪』『ハミルトン』の才能が集結した豪華すぎる製作陣
本作で注目したいのが、その豪華な製作陣だ。オリジナル楽曲を手掛けるのは、『アナと雪の女王』で「レット・イット・ゴー ~ありのままで~」を生み出したクリステン・アンダーソン=ロペス&ロバート・ロペス夫妻。本作のもとになった同名舞台ミュージカルを手掛けた二人が、ドラマ版でも数々のオリジナルナンバーを生み出している。

さらに、『ディア・エヴァン・ハンセン』で知られ、『マスターズ・オブ・セックス』の脚本も担当したスティーヴン・レヴェンソンが製作に参加。監督・製作総指揮には、世界的大ヒットミュージカル『ハミルトン』を演出したトーマス・ケイルが名を連ねている。
つまり本作は、映画やドラマのスタッフがミュージカルに挑戦した作品というより、ブロードウェイをはじめとする舞台の第一線で活躍してきたクリエイターたちが、テレビドラマというフォーマットでミュージカルを作り上げた作品なのだ。

そして主人公リンジーを演じるのは、『グッドガールズ:崖っぷちの女たち』のメイ・ホイットマン。明るく行動力があるように見えて、実際には周囲からどう思われるかを気にしてばかりいるリンジーの複雑さを、コメディからシリアスまで豊かな表情で演じている。
相手役のミゲルには、『THE FLASH/フラッシュ』でシスコ・ラモンを演じたカルロス・バルデス。ドラマファンにはおなじみの二人だが、本作では演技だけでなく歌唱力も存分に披露。特に二人が一緒に歌う場面では、恋に落ちる高揚感と相手に踏み込むことへの恐怖が同時に伝わってきて、ミュージカルならではの魅力を感じさせてくれる。

恋愛だけじゃない“大人の自分探し”に共感
本作はラブコメディではあるものの、描かれるのは「運命の相手と出会って幸せになる」という単純な物語ではない。
リンジーは作家になるという夢を追いかけ、ミゲルもまた仕事での成功を求めて奮闘する。しかし二人とも、自分が本当に望んでいるものが何なのかを完全には理解できていない。恋愛、仕事、家族、過去の失敗――さまざまなものに振り回されながら、「他人から期待される自分」と「本当になりたい自分」の間でもがいていく。
その姿は、人生の正解が分からないまま大人になってしまった人ほど共感できるはずだ。

そして何より、本作は全8話で各話約30分とコンパクト。ミュージカルにあまり慣れていない人でも、ラブコメを楽しむ感覚で気軽に見始められる。
「自分なんか」「どうせ失敗する」「きっと嫌われる」。そんな頭の中から聞こえてくる声に邪魔されながらも、それでも幸せをつかもうとするリンジーとミゲル。二人の恋の行方を追いかけているうちに、自分の頭の中にある“声”にも少しだけ耳を傾けたくなるかもしれない。

王道のラブコメも、華やかなミュージカルも、ちょっぴり不器用な大人たちの成長物語も楽しみたい。そんな人にこそおすすめしたい、Disney+に眠る愛すべき一作『UP! 幸せをつかまえよう』はDisney+(ディズニープラス)で独占配信中。(海外ドラマNAVI)














