2026年配信開始予定!『ハリー・ポッター』ドラマ版について分かっていること

2023年4月に制作されることが正式に発表された『ハリー・ポッター』ドラマ版。ワーナー・ブラザースの動画配信サービス「HBO Max」とDiscovery+を統合した「Max」のオリジナルシリーズとして作られる同作について、様々な噂も含めて現段階で報じられていることをまとめてお伝えしよう。

『ハリー・ポッター』映画シリーズとどう違う?

世界中でベストセラーとなったJ・K・ローリングの児童小説「ハリー・ポッター」シリーズは、2001年から映画化され、原作と同じく大ヒットを飛ばした。そんな映画シリーズは、原作シリーズ最後となる7冊目「~死の秘宝」のみ2本に分けて映像化されたが、それ以外の6冊分はそれぞれ原作をかなり削る形で1本の映画として制作されている。

しかし、今回のドラマシリーズは「原作に忠実に」をモットーに、原作一冊を1シーズンかけて映像化していくという。シーズンごとの話数や一話が何分程度になるかは不明だが、映画版が基本的に一作あたり2時間半前後かけて作られていたことを考えると、ドラマ版ではもっと多くの時間をかけて描くことができるだろう。

ローリングは今回のドラマ化について「Maxが、私の原作の元の形を残すよう注力してくれることは、私にとって重要なことなの。今回の脚色は、長く続けるドラマシリーズだからこそ、より深みがあり詳細まで描くことができるという点でとても楽しみだわ」と述べている。

また、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーのCEOデヴィッド・ザスラフは、同社がハリー・ポッターの世界をMaxのプラットフォームで完全なる形で展開させる予定だと語り、今回のドラマ化以外にもプロジェクトが動き出す可能性を示唆。

ハリー・ポッターの世界は、本家のほか、前日譚を描いたスピンオフ『ファンタスティック・ビースト』シリーズが存在しており、さらにはビデオゲーム、小説のおよそ20年後を描いた舞台版もある。そしてアメリカや日本にこの世界を再現したテーマパークも作られている。ワーナーが今後この世界をどこまで広げていくのか注目だ。

スタッフは?

原作者のJ・K・ローリングの役職は製作総指揮者に決定。彼女はスピンオフの『ファンタスティック・ビースト』シリーズでは脚本にも関わっているが、今回はひとまず脚本に関わるとは報じられていない。

そんな中、英米の脚本家が2024年1月にロサンゼルスへ集まって1回目のストーリーのアイデア出しを行ったという。マーサ・ヒリアー(『ヴェラ ~信念の女警部~』『ラスト・キングダム』)、トム・モラン(『デビルズ・アワー ~3時33分~』)、キャスリーン・ジョーダン(『めちゃくちゃ恋するハンターズ』)、マイケル・レスリー(『アサシン クリード』『ハンガー・ゲーム0』)などがその中におり、フランチェスカ・ガーディナー(『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤』)も候補に加わったと言われている。

ローリングのほかには、ルース・ケンリー=レッツとニール・ブレアも製作総指揮を担う。ケンリー=レッツは、ローリングがロバート・ガルブレイス名義で執筆したハードボイルド小説シリーズのドラマ化『私立探偵ストライク』でともに仕事をした経験がある。もう一人のブレアは、『私立探偵ストライク』のほかに『ファンタスティック・ビースト』シリーズ3作も一緒に手掛けてきた。ただし二人とも『ハリー・ポッター』映画版には関わっていない。

製作総指揮としてはさらに、『ハリー・ポッター』『ファンタスティック・ビースト』両シリーズにこれまでずっと関わってきたプロデューサーのデヴィッド・ハイマンも交渉中だという。

スタジオは、現在ショーランナーを務める人物を探している。

なお、『ハリー・ポッター』シリーズの歴代監督たち――1・2作目のクリス・コロンバス、3作目のアルフォンソ・キュアロン、4作目のマイク・ニューウェル、5作目以降と『ファンタスティック・ビースト』シリーズ3作を担当してきたデヴィッド・イェーツ――がドラマ版に何かしら関わるのかは今のところ報じられていない。イェーツは2023年9月、ドラマ版について話し合ってはいないと話していた

キャスティングは?

映画版から一新されると伝えられているキャスティング。いまだに誰の名前も発表されていないが、すでにメディアやファンの間で噂はいくつか上がっている。映画シリーズでは基本的にイギリス人俳優が起用されていたが、ドラマ版はもう少し国際色が出るかもしれない。

ハリー役

主人公ハリー役として名前が挙がっているのは、イギリス人の子役トビー・ウールフ。2008年生まれの彼は10歳になる前から子役として活動し、映画やドラマに出演してきた。『ハリー・ポッター』シリーズでピーター・ペティグリューを演じたティモシー・スポールと共演した英BBC『サマー・オブ・ロケット ~スパイにさせられた男』では、ヤング・アーティスト・アワードの候補になった。ダニエルがハリー役に決まったのは11歳になった直後であったことを考えるとトビーはかなり年上だが、10年続く想定のドラマ版で主演を務めるとなるとより厳しい撮影となることが予想されるので、年齢の割に童顔で、ある程度経験を積んでいる彼のような人の方が製作する上では好都合かもしれない。

ロン役

ハリーの親友ロンの候補と見られているのは、同じくイギリス出身で2012年生まれのジョセフ・ピッカリング。2020年のファンタジードラマ『ディスカバリー・オブ・ウィッチズ ~第2章 魔女の契り~』に出演したほか、Disney+の映画『ピーター・パン&ウェンディ』でウェンディの弟ジョンを演じている。

ハーマイオニー役

ハーマイオニー役として噂されるのは、トビーと同じく子役としてある程度の実績を積み重ねてきたブロンテ・カーマイケル。2018年の映画『プーと大人になった僕』で演じたマデリン・ロビン役を覚えている人もいるのではないだろうか。その後は『ゲーム・オブ・スローンズ』に端役で出演したほか、2022年にはDisney+のドラマ『キャシアン・アンドー』にも参加。イギリス出身のブロンテも2009年生まれと、トビー同様に映画版のキャストに比べると実年齢は少し上だ。

ルシウス・マルフォイ役

映画版からキャストが一新されると言われる中、オリジナルでドラコ・マルフォイを演じたトム・フェルトンがなんと父親ルシウス・マルフォイ役でカムバックするという話も。1987年生まれのトムは2023年9月で36歳と、幼い子どもがいても決しておかしくはない年齢だが、ファンにとって嬉しいこの噂は実現するのだろうか。トムは今でもハリー・ポッター関連の場所を訪れて「家より素敵な場所はない」と綴ったり、ドラコのレゴ人形写真を投稿したりと、シリーズに寄せる思いはいまだに熱いようだ。

ルシウス役にトム以外で名前が挙がっているのは、スウェーデン出身のアレキサンダー・スカルスガルド。『ターザン:REBORN』や『ゴジラvsコング』でワーナーと、『トゥルーブラッド』や『ビッグ・リトル・ライズ』でHBOとすでに仕事をしていることが功を奏すか。

スネイプ役

もはやアラン・リックマン以外の人が演じる姿が想像できないスネイプ役候補に挙がっているのは、アメリカ人のアダム・ドライヴァー。『ブラック・クランズマン』と『マリッジ・ストーリー』で2度アカデミー賞にノミネートされた彼は、『スター・ウォーズ』シリーズのカイロ・レン役で有名だが、2012年から全6シーズンにわたってHBOのコメディドラマ『GIRLS/ガールズ』に出演していた。配信元と以前から繋がりがあり、演技力にも文句のない彼の起用は「納得できる」と米Hello!は伝えているが、この読みは当たるのだろうか。

マクゴナガル役

ホグワーツ魔法魔術学校の副校長(のちの校長)マクゴナガルを映画版で演じたのは名女優のマギー・スミスだが、その後任も大物かもしれない。2006年の映画『クィーン』でエリザベス2世を演じてアカデミー賞をはじめ賞レースを総ナメにしたヘレン・ミレンだ。マギーより11歳下のヘレンは、70代後半となった現在も精力的に活動。2021年に『ハリー・ポッター』映画シリーズ20周年記念で放送されたクイズ番組のホストを務めたヘレンは、当時「いつか『ハリー・ポッター』で出番を得られると思っていたわ」と話していた。主要キャラの一人であるマクゴナガルを演じるとなると、10年続く想定のシリーズ終盤には90歳近くになりそうだ。

そんな年齢の考慮もあってか、1963年生まれとかなり年下のイーディ・ファルコを推すファンも。数々のドラマでレギュラーを務めてきた彼女は、『OZ/オズ』や『ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア』でHBOと関係を築いてきた。『アメリカン・クライム・ストーリー』では元ファーストレディのヒラリー・クリントンという大役もこなしている。ニューヨーク出身の彼女にとっての課題は、イギリスのアクセントをきちんと身に着けられるかどうかだろう。

ダンブルドア役

映画のダンブルドアは、『ハリー・ポッター』シリーズではリチャード・ハリスとマイケル・ガンボンが、『ファンタスティック・ビースト』シリーズではジュード・ロウが演じている。そんな重要なキャラクターとして噂されているのは、アメリカ人のブレア・アンダーウッド。1964年生まれと、150歳で白髪白髭のダンブルドア校長役には少し若い気もするし、イーディと同じくアクセントの問題もあるが、これまで多くのドラマや映画で善人、悪人の両方を演じてきているので、ダンブルドアという複雑な役柄をうまく演じられるかもしれない。

一方、イギリス人でダンブルドア役候補となっているのはパディ・コンシダイン。こちらは1973年生まれと、ブレアに輪をかけて若いが、HBOの『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』でヴィセーリス・ターガリエンを演じるなど渋みも出てきている。同役などで子どもがいる役柄も経験しているので、ハリーたちを父親のように見守るダンブルドアを演じるのも苦ではないだろう。

ハグリッド役

スネイプ役のアランに続いて、映画シリーズでハリーたちの良き友ハグリッドを演じたロビー・コルトレーンも2022年に帰らぬ人となってしまった。そんな彼に代わって二人の俳優の名前が挙がっている。

一人はイギリス人のニック・フロスト。『ショーン・オブ・ザ・デッド』をはじめサイモン・ペッグとともに様々なコメディ作品に出演している印象が強いが、アクションドラマ『バッドランド ~最強の戦士~』などにも姿を見せている。コミカルで立派な自前の髭を生やすこともできる彼がハグリッドを演じるのはありそうな話だ。

もう一人の候補、アメリカ人のニック・オファーマンも、7シーズン続いたコメディドラマ『Parks and Recreation(原題)』のレギュラーだったためコメディ俳優という印象が色濃い。だが、HBO Maxで今年始まったシリアスドラマ『THE LAST OF US』のビル役がキャリア最高の演技とも言われるほか、2022年の伝記ドラマ『パム&トミー』でハグリッドを彷彿とさせる長髪&髭姿を披露しており、これらがホグワーツへの扉を開くきっかけとなる可能性もある。

また、キャスト一新と言われているものの、映画シリーズのキャストたちがドラマに出演する可能性もゼロではないかもしれない。米Deadlineは「ドラマ版のPRにもなる」ため、懐かしの顔ぶれが例えばフラッシュバックなどで映り込むことはあり得ると論じた。ただし、ハリー役のダニエル・ラドクリフは、ドラマ版は新しいスタートを切ろうとしているのだから、そこに自分が入るつもりはないと、参加する意向はないことを明らかにしている。

配信日は?

ワーナー・ブラザースの動画配信サービス「HBO Max」とDiscovery+を統合した「Max」のオリジナルシリーズとして、本国で2026年の配信開始を目指しているとザスラフが2024年2月に述べた。米HBOおよびMaxのCEO兼会長を務めるケイシー・ブロイズが「10年継続する」と言っており、その言葉通りなら終了は2036年頃になるはずだ。

なお、10年継続が1年で1シーズン計算=計10シーズン想定だとしたら、ハリー・ポッターの原作は7冊=7シーズン分となるため、残る3シーズン分をどう描くのかが気になるところだ。ワーナー側は『ファンタスティック・ビースト』シリーズをこのシリーズに含めるつもりはないと話している。

(海外ドラマNAVI)

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(2023年4月時点での情報です)

Photo:『ハリー・ポッターと秘密の部屋』©GIG/FAMOUS