【祝・還暦】マッツ・ミケルセン出演映画・ドラマ12選

本日11月22日に60歳の誕生日を迎えたマッツ・ミケルセンを海外ドラマNAVIで特集！　元プロのダンサーで独特の存在感と確かな演技力、気さくな人柄のマッツは、今や母国デンマークだけでなくハリウッドでも引っ張りだこ。彼の出演映画、ドラマ計12作をマッツ視点でレビューしているので、ファンはぜひチェックしてほしい。

マッツ・ミケルセン出演映画・ドラマ12選

『UNIT ONE -特別機動捜査班-』（2000～2004）

デンマークで2000年代前半に放送されていた、昔ながらの刑事ドラマ。当時30代だったマッツはデンマークで起きる様々な事件を捜査する特捜班メンバーの一人、やや強面のフィッシャーを演じる。当初はオールバックで革ジャン姿だったが、シーズンを重ねるうちに髪型や服装が変化するので、そこにも注目してほしい。同僚のラクーアに軽口を叩いたり、同僚の仇を取ろうと熱くなったり、容疑者を張り込んだり、追跡したり、仲間といい警官・悪い警官で取り調べをしたり、華麗なドライビングテクニックを見せたりと、様々なマッツが堪能できる。4シーズン、全32話にわたって演じたキャラクターで、本作の演技でマッツがコペンハーゲンの賞を受賞したこともあり初期の代表作の一つなので、マッツファンならぜひ押さえておきたい。【編集部Rafael】

『UNIT ONE -特別機動捜査班-』はHulu、Amazon Prime Video（アマゾンプライム）内のスターチャンネルにて配信中。

『フレッシュ・デリ』（2003）

ひょんなことから人肉を新メニューとして提供したところ、大人気を博してしまうという、ブラックユーモアに満ちたダークコメディ。マッツは傲慢で内向的、そして病的に汗っかきなスヴェンを見事に演じきっている。特に、彼の特徴的な髪型（かつらを使用するのが嫌で、実際にあのヘアカットにしたそう）と、自信のなさを隠そうとする芝居がかった振る舞いが見どころ。事故を隠蔽するため肉を処理する一連のシーンは、倫理観が麻痺していくスヴェンの滑稽かつ恐ろしい人間性を自然に表現している。

ファン必見なのは、彼が持つ独特の滑稽な惨めさだ。『ハンニバル』で見せた洗練された冷酷さとは正反対で、スヴェンは計画性のない、気の弱い悪党。しかし、食人という題材を扱いつつも、観客にどこか同情心を抱かせるマッツの演技力は圧巻である。本作は、のちに演じるハンニバル・レクター博士の「食」をめぐる役柄のユニークな前哨戦とも言える。マッツが持つ多才なコメディセンスと、常軌を逸したキャラクターを成立させる説得力を存分に堪能できる一作。【編集部AKN】

『フレッシュ・デリ』はAmazon Prime Video（アマゾンプライム）内のBS10プレミアムにて配信中。

『007／カジノ・ロワイヤル』（2006）

マッツが演じたル・シッフルは、単なる敵役ではなく、007シリーズにリアリティと深みをもたらした存在と言える。テロ組織の資金を運用する天才的かつ絶望的な資金調達人である彼は、常に完璧に仕立てられたスーツを着用し、洗練された服装が冷徹さを際立たせている。

その演技は、奇妙な色気と徹底的な威圧感という相反する要素を併せ持つ。見どころは、感情をほとんど表に出さない控えめなアプローチだ。ポーカーの最中に、静かに、そして鋭く相手を見透かす鋭利な眼差しや、敗北に直面しても微動だにしない冷静さが、彼の知性と強大さを物語っている。伝説的な拷問シーンは特に必見。全裸で椅子に縛りつけられたボンドを前に、優雅な仕草で冷静に容赦なく痛めつける姿は、マッツが他の作品で見せる狂気とは異なる、知的で計算された冷酷さの極致であり、彼をボンドシリーズで語り継がれる悪役の基準に押し上げた。

『フレッシュ・デリ』のスヴェンのような滑稽さや、『アフター・ウェディング』のヤコブのような内なる葛藤とは無縁の、純粋な脅威としてボンドの前に立ちはだかるマッツは要チェックだ！【編集部AKN】

『007／カジノ・ロワイヤル』はHuluにて配信中。

『アフター・ウェディング』（2006）

本作でマッツが演じるヤコブは、インドで孤児院の運営に情熱を注ぐ理想主義者だが、自らの過去と向き合うためデンマークへ戻り、予期せぬ人生の秘密に直面する。この作品の最大の魅力は、マッツが繰り出す抑制された感情の演技にある。一見冷静で口数が少ないヤコブだが、抱える葛藤は、細かな動作や、感情を押し殺した深い眼差しにすべて現れる。言葉ではなく、微かに歪む口元や瞬き一つで心の痛みを表現。驚愕や苦悩を飲み込む瞬間の「目の演技」はまさに至芸だ。

必見なのは、人生の真実を知らされる決定的なシーンだ。言葉を失い、静かに感情を押し殺すその表情は、観る者の胸を打つ。インドでのカジュアルな服装と、デンマークでのスーツ姿のギャップも、彼の内面の変化を象徴する視覚的な見どころとなっている。等身大の、傷つきやすい人間としてのマッツが堪能できる。【編集部AKN】

『アフター・ウェディング』はAmazon Prime Video（アマゾンプライム）内のBS10プレミアムにて配信中。

『偽りなき者』（2012）

マッツが演じるのは、子どもたちから懐かれている幼稚園のスタッフだったが、園児に性的虐待を働いたと誤解され小さな町で虐げられてしまう普通の男ルーカス。優しいルーカスに淡い恋心を抱くもフラれた幼い少女が、その腹いせで彼のことを悪く言い、その際に兄と友達の会話で耳にした卑猥な言葉を使って一つの嘘をつく。それによって変態扱いされるようになったマッツは、長年の友人たちにも話すら聞いてもらえず、仕事をクビになり、近所のスーパーで買い物することも断られた末に周りから暴力も振るわれ、とにかく不憫…。しかし、ほとんどの人から信じてもらえなくても、自分は何も間違ったことはしていないのだからと、次々と襲いかかる不当な扱いにも屈することなく、ただひたすらに前を向く姿に心を揺さぶられる。

その演技力でシリアルキラーや魔法使いなど様々なキャラクターを説得力たっぷりに演じるマッツだが、極限状態に置かれたこの普通のはずの男こそが、最も難しい演技と言えるかもしれない。教会やラストシーンで見せる表情は圧巻。カンヌ国際映画祭主演男優賞をはじめいくつもの賞を獲得したのも納得だ。ちなみに本作のマッツはメガネ男子。【編集部Rafael】

『偽りなき者』はAmazon Prime Video（アマゾンプライム）内のBS10プレミアムにて配信中。

『ロイヤル・アフェア　愛と欲望の王宮』（2012）

18世紀のデンマークを舞台に、王妃と王の主治医ストルーエンセの禁じられた恋を描く歴史ドラマ。マッツが演じるストルーエンセがとにかく素敵！　知的で落ち着いた医師としての品の良さと、許されない恋に踏み込む時の情熱のギャップがたまらない。そのどちらも自然に感じられるし、目線一つで気持ちが揺れ動いていくのが伝わってきて、表情で語るマッツの真骨頂を味わえる。歴史の荒波に翻弄されながらも、自分の信念と愛を貫こうとする姿が切なく美しい。派手さはないが、マッツの魅力がじんわり迫ってくる良作だ。【編集部Sherry】

『ロイヤル・アフェア　愛と欲望の王宮』はAmazon Prime Video（アマゾンプライム）内のBS10プレミアムにて配信中。

『ハンニバル』（2013～2015）

トマス・ハリスが生んだ連続殺人犯、ハンニバル・レクターを新解釈で描いたサスペンスドラマ。『刑事グラハム／凍りついた欲望』でブライアン・コックスが、『羊たちの沈黙』シリーズでアンソニー・ホプキンスが演じたものよりも、マッツのハンニバルはよりエレガントで恐ろしい美しさがあり、やっている行為は身の毛がよだつようなものにもかかわらず目を奪われてしまう。元ダンサーのマッツらしく動きの一つひとつ、表情の一つひとつが芸術性を感じさせ、絵画のようなビジュアルは見ごたえたっぷり。『フレッシュ・デリ』で経験済だからか、カニバリズムの演技もお手のもの。（食材はともかく）料理するマッツが見られるのもたまらない！【編集部Rafael】

『ハンニバル』はU-NEXT、Hulu、Amazon Prime Video（アマゾンプライム）内のBS10プレミアムにて配信中。

『ローグ・ワン／スター・ウォーズ・ストーリー』（2016）

父性あふれるマッツならこちら。『スター・ウォーズ』作品だが本編のスピンオフなので、シリーズを詳しく知らない人でも楽しめる。マッツ演じるゲイレン・アーソは、帝国軍の科学者。自身の研究が悪用されていることに気づいて逃亡を図るも失敗し、妻を殺され娘のジンとは生き別れに…。その後、超兵器を搭載した宇宙要塞「デス・スター」の開発を強要される。

幼いジンを「私のスターダスト」と呼んで可愛がるゲイレンの姿を見て、マッツファンはこんな人が父親だったら…と想像してしまうはず。大人になったジン役のフェリシティ・ジョーンズはマッツについて「実生活でも父親だし、父性にあふれていた」と語っており、カメラの外でも仲が良かったようだ。13年ぶりの再会を果たす父娘のシーンは涙なしには見られない。【編集部Lena】

『ローグ・ワン／スター・ウォーズ・ストーリー』はDisney+（ディズニープラス）にて配信中。

『ドクター・ストレンジ』（2016）

ベネディクト・カンバーバッチ演じる天才外科医スティーヴン・ストレンジが、魔術を操るヒーロー、ドクター・ストレンジになるまでを描く。『ドクター・ストレンジ』シリーズの1作目で、マーベル映画を一切見たことがない人でも楽しめるのでご安心を。

マッツが扮するのは、ストレンジと対立するカエシリウス。肩につく長さの髪を編み込み、一つに結った姿が見られるのは本作だけ！　ヴィランであるものの、元はストレンジと同様エンシェント・ワンに師事していた過去を持つ。亡くした最愛の家族を生き返らせるため、闇の魔術に手を染めてしまったのだった。根っからの悪人でないところが、他作品の悪役マッツとは一味違うところ。拘束具をはめられてしまうコミカルなシーンは見逃せない！【編集部Lena】

『ドクター・ストレンジ』はDisney+（ディズニープラス）にて配信中。

『アナザーラウンド』（2020）

“お酒で人生ちょっとマシになるんじゃない？”という仮説を試す中年教師4人の物語。シリアスなのにどこかユーモラスで、人生の迷いを優しく包み込むような作品だ。マッツは冴えない教師マーティンを繊細に演じ、普段の無気力さと酒が入った時の自由や葛藤がすごくリアルで胸に刺さる。特にラストのダンスシーンは圧巻！　マッツのキレキレな動きとキャラの感情が一気に高ぶる瞬間が重なって解放感が凄い。それをこんなに軽やかで切なく魅せられるのはマッツだからこそ。【編集部Sherry】

『アナザーラウンド』はU-NEXT、Hulu、Amazon Prime Video（アマゾンプライム）内のBS10プレミアムにて配信中。

『カオス・ウォーキング』（2021）

悪いマッツが見たい人におすすめなのが本作。遠い未来を舞台にしたSF映画で、男性しかいないプレンティスタウンに宇宙船が墜落するところから物語は始まる。トム・ホランド＆デイジー・リドリーのW主演と、キャストの豪華さもポイントだ。

マッツはプレンティスタウンの首長であるデヴィッド・プレンティスを演じている。この世界の男性は、心の中で考えていることが周囲に筒抜けになってしまう「ノイズ」という現象に悩まされているのだが、デヴィッドはそれを制御できるチートぶり。モフモフした毛皮の上着にテンガロンハットを被り、馬にまたがるという西洋劇風な姿が見れる。ただし、動物が好きな人にはショックなシーンもあるので要注意。【編集部Lena】

『カオス・ウォーキング』はAmazon Prime Video（アマゾンプライム）内のkino films+にて配信中。

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』（2022）

魔法界の闇の魔法使い・グリンデルバルドとダンブルドアの因縁に迫る『ファンタスティック・ビースト』シリーズ第3作。ジョニー・デップから引き継いだマッツ版グリンデルバルドは、“危険なカリスマ性”を完全に再構築していて最高！　狂気的なのに惹かれてしまう独特の魅力は、まさにマッツにしか出せない雰囲気だと思う。ジュード・ロウ扮するダンブルドアとの繊細な距離感も絶妙で、二人の過去にある痛みや深い絆を自然と想像させる。マッツの佇まいが入ったことで物語全体の深みが増した感じがあり、その圧倒的な存在感はシリーズのハイライトと言える。【編集部Sherry】

『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』はHulu、Amazon Prime Video（アマゾンプライム）にて配信中。

未見の作品はあっただろうか？　現在、マッツの出演作がまとめて劇場公開されたり放送・配信中だったりで、12月の東京コミコンで再び来日する彼を予習・復習しておくにはぴったりのタイミングだ。もし既に見た作品でも、マッツの演技に集中して見直すことで満足感を得られたり、新たな発見があったりすると思うので、マッツ祭りをぜひ楽しんでほしい。

（海外ドラマNAVI）