ラース&マッツ・ミケルセン出演作も!見ないともったいない北欧ドラマ【5選】

スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンによる「ドラゴン・タトゥーの女」(「ミレニアム」3部作)やデンマークの作家ユッシ・エーズラ・オールスンの「特捜部Q」シリーズなど、近年ミステリーを中心に北欧作品の活躍が目覚ましい。そんな北欧ドラマの中でも特に見逃せない5本がLeminoで配信中だ。

『THE KILLING/キリング』(デンマーク)

北欧ドラマを語る上で欠かせないのが『THE KILLING/キリング』。2007年にデンマークで誕生したこの作品は北欧ブームの火付け役だ。殺人事件の捜査過程を一日=一話として描く(時に日付をまたぐこともある)リアルタイム型サスペンスは3シーズン続き、ハリウッド版リメイクも4シーズン分作られた。

コペンハーゲン警察殺人課の女性刑事サラ・ルンドが担当した殺人事件の捜査過程を丁寧に追うとともに、愛する者を殺された遺族の悲しみや事件に関与していると見られる政府関係者の思惑も描く。『24 -TWENTY FOUR-』『ツイン・ピークス』好きには特におすすめだ。主演のソフィー・グローベール(『フォーティチュード/極寒の殺人鬼』)が着ていたセーターが売り切れになるなど社会現象を巻き起こした。シーズン1の市長選を控える政治家役で、マッツ・ミケルセンの兄であるラース・ミケルセン(『ハウス・オブ・カード 野望の階段』)も出演。

11月3日月曜日。殺人課の刑事サラ・ルンドは、息子とともに恋人のいるスウェーデンへ移住するため、コペンハーゲンでの勤務最終日を迎えていた。後任のイエン・マイヤ刑事に引き継ごうとしていたところへ、事件の一報が入る。当初は単純な事件かと思われたが、これは20日間にわたる捜査の幕開けだった…。

『THE BRIDGE/ブリッジ』(デンマーク、スウェーデン)

北欧ならではのミステリードラマの決定版! スウェーデンとデンマークを結ぶ橋の国境線上で遺体が発見されたことをきっかけに、双方の国の刑事がコンビを組み、二つの国にまたがる事件を追う。

2011年に作られ、4シーズン続いたこの作品はデンマークとスウェーデンの共同制作。車や列車ですぐに行き来できる隣国であり言葉や文化、通貨もどこか似通っているデンマークとスウェーデンの違いも浮き彫りに。国境をまたいで起きた事件という点も興味を引くこの作品は、アメリカ版リメイク(『ブリッジ ~国境に潜む闇』)だけでなくイギリス/フランス版リメイク(『トンネル ~国境に落ちた血』)も作られた。キャラクターも個性的で、特にスウェーデン側の刑事サーガは、優秀な捜査官ながらも人間味に著しく欠ける点が目を引く。

スウェーデンとデンマークを結ぶ橋の国境線上で、ウエスト部分で切断された遺体が発見された。被害者は当初スウェーデンの政治家と考えられたが、下半身は行方不明だったデンマークの娼婦と判明。政治家は死後数時間だが、娼婦の方は1年間凍らされていたことも分かり、両国の刑事が共同捜査を行うことに。不可解な事件を追う中、犯人からの犯行声明が届き、橋の遺体は始まりに過ぎないと告げる…。

『ステラ 黒い捜査ファイル』(アイスランド)

北欧ドラマというとデンマーク、スウェーデンの印象が強いかもしれないが、ここ数年はアイスランドの作品も増えてきている。その代表格が、2017年に始まり、シーズン2も制作された『ステラ 黒い捜査ファイル』。『FBI:インターナショナル』のジェイミー・ケレット役で知られるアイスランド出身のハイダ・リードが、タフでセクシーな弁護士ステラを演じる。

周りから手を引くように言われても真実を追い求める主人公ステラがとにかく魅力的。やや猪突猛進なところはあるが、顔が広く、直感が働き、何者にも臆さない。彼女を支える猫マニアのハッカー、グンナの存在も光る。

真実を暴くためなら強引な手段もいとわず、権力にも屈しない孤高の弁護士ステラ。彼女は首相府で首相補佐官を殺した容疑で逮捕された若者を弁護することになるが、首相の姉である大物弁護士が強引に彼の弁護を請け負おうとしたことから事件に裏があるとにらむ。関係者に話を聞くうち、被害者が首相と取り巻きのために開いたいかがわしいパーティの内容をひそかに録画していたという情報を入手し…。

『UNIT ONE -特別機動捜査班-』(デンマーク)

デンマークの至宝、マッツ・ミケルセンが若き日に出演した犯罪捜査ドラマ。デンマーク各地を飛び回り、難解な殺人事件を捜査する精鋭ぞろいの特別機動捜査班(特捜班)の活躍を描き、2000年から4シーズンにわたって続いた。北欧ドラマの多くが1シーズンかけて一つの事件を追う中、本作は基本的に一話完結型なので、北欧初心者には見やすいだろう。

特別機動捜査班のモデルは、デンマークで1927年から2002年まで実在した警察チーム。さらにシリーズで描かれる事件は、制作当時の過去10年以内に実際に起きた事件に基づく。そうしたリアリティあふれる設定も評価されたのか、2002年にデンマーク作品として初めて国際エミー賞の作品賞に輝いた。肉体派の正義漢フィッシャーを演じたマッツも国内アワードで賞を受賞。シーズン3ではマッツとラースの兄弟共演も実現している。

デンマーク各地を飛び回り、難解な殺人事件を捜査する精鋭ぞろいの特別機動捜査班(特捜班)。そのリーダーが殺され、内部調査を担当してきた女性警察官イングリッドが暫定リーダーに。正義漢のフィッシャー、観察眼の鋭いラクーア、人情派のIP(イーピー)らチームメンバーは、無遠慮なイングリッドに最初は反感を覚えるものの、彼女の有能さを目の当たりにして信頼するように。新たなリーダーを迎えた特捜班は、トレーラー型の移動式オフィスを拠点に、各地で起こる難事件の捜査に心血を注いでいく。

『刑事アニタ~ブラックサンド殺人事件』(アイスランド)

『ステラ 黒い捜査ファイル』に続いてアイスランドから2021年に届いたのが『刑事アニタ~ブラックサンド殺人事件』。アイスランドの観光地ブラックサンドビーチを舞台に、暗く寒々とした風景や、欠点や問題を抱えた登場人物、地域社会の問題といった「北欧ノワール」の特徴を備えたミステリーだ。

主人公のアニタを演じるアルディス・ハミルトンが脚本も担当。デヴィッド・フィンチャー監督の映画『セブン』に大きな影響を受けたという最終話は必見だ。

十数年ぶりに母の暮らす故郷に戻ってきた刑事のアニタ。その途中、海岸で若い女性の遺体が発見されたとの連絡を受けて現場に向かう。被害者は崖から落ちたらしく事故かと思われたが、同じような形で傷だらけとなった別の女性も見つかり…。

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今回紹介した5作品はすべてLeminoで配信中(※『UNIT ONE -特別機動捜査班-』はレンタル、『刑事アニタ~ブラックサンド殺人事件』はLeminoチャンネルのため追加料金が必要)。同プラットフォームでは、北欧のドラマ、映画はもちろん、マッツ・ミケルセン出演作も多数配信中だ。ミステリーファンにとっては、英国をはじめとした他国のミステリー作品も充実しており、日本ではここだけで見られるタイトルもあるので、ぜひチェックしてみてほしい。

(海外ドラマNAVI)

Photo:『UNIT ONE -特別機動捜査班-』© DR 2000 all rights reserved