毎年アメリカのテレビ業界で功績を残した番組を表彰するアワード、エミー賞。その第77回プライムタイム・エミー賞授賞式が本国で9月14日(日)に行われる。それに向けて、作品賞候補がどれほど見られたのかを、ランキング(ニールセン調べ)でご紹介しよう。(※下記ランキングの対象期間は、本年度エミー賞の対象期間と同じく、2024年6月1日から2025年5月31日までの1年間)
-
【第77回エミー賞】ノミネート一覧 投票者の視線はAppleへ!
⽶国テレビ芸術科学アカデミー主催で毎年アメリカのテレビ業界で …
第77回エミー賞作品賞候補の視聴率は?
ドラマシリーズ部門
- 『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』(HBO/HBO Max)…2億1070万時間
- 『セヴェランス』(Apple TV+)…1億5750万時間
- 『THE LAST OF US』(HBO/HBO Max)…1億3710万時間
- 『ザ・ピット/ピッツバーグ救急医療室』(HBO Max)…1億2850万時間
- 『パラダイス』(Hulu)…9740万時間
- 『ザ・ディプロマット』(Netflix)…9500万時間
- 『キャシアン・アンドー』(Disney+)…8800万時間
- 『窓際のスパイ』(Apple TV+)…4940万時間
コメディシリーズ部門
- 『アボット エレメンタリー』(ABC/Hulu)…1億8410万時間
- 『マーダーズ・イン・ビルディング』(Hulu)…1億5910万時間
- 『一流シェフのファミリーレストラン』(Hulu)…1億4110万時間
- 『こんなのみんなイヤ!』(Netflix)…9580万時間
- 『シュリンキング 悩めるセラピスト』(Apple TV+)…7890万時間
- 『Hacks(原題)』(HBO)…5650万時間
- 『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(FX/Hulu)…5560万時間
- 『ザ・スタジオ』(Apple TV+)…1690万時間
リミテッド/アンソロジーシリーズ部門
- 『モンスターズ:メネンデス兄弟の物語』(Netflix)…1億4950万時間
- 『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』(HBO)…1億230万時間
- 『ブラック・ミラー』(Netflix)…9560万時間
- 『アドレセンス』(Netflix)…7850万時間
- 『人生の最期にシたいコト』(FX)…590万時間
ドラマシリーズ部門のトップは、2億1070万時間もの視聴時間を記録した『ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾートホテル』。リゾート地で起きる殺人ミステリーを描く人気のアンソロジーシリーズは前回話題となるが、2025年2月から4月にかけてリリースされたシーズン3は特に、過激なシーンや予想外のラスト表現もあって毎週のように盛り上がりを見せた。過去のエミー賞では、リミテッドシリーズ/テレビムービー部門(当時)だったシーズン1が主要5部門を含む10冠を果たしたものの、ドラマシリーズ部門に移ったシーズン2はより激戦地なこともあり5つの受賞にとどまった。再びドラマシリーズ部門として臨む今回は、いくつのトロフィーを持ち帰ることができるだろうか。
2位は『セヴェランス』。斬新な設定や謎が謎を呼ぶ展開から中毒者続出のSFスリラーは、2025年1月にシーズン2が配信開始となると、その1ヵ月後にはシリーズ通算の視聴時間が、3シーズン分ある『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』を抜いてApple TV+歴代最高となっただけあり、1億5750万時間をマークしている。先週発表されたクリエイティヴ・アーツ・エミー賞で6つの栄冠を手にしていたが、本年度最多ノミネート(27)にふさわしい結果を残せるか、注目したい。
3位は1億3710万時間の『THE LAST OF US』。2025年4月に解禁となったシーズン2は序盤に衝撃的な展開を迎えたからか、賛否両論が巻き起こることに。シーズン最終話が放送されたのは5月25日と、対象期間が残り1週間を切っており追っかけ視聴をする余裕がほとんどなかったことも数字に影響したかもしれない。ちなみに、同じく対象期間の終了間際に新シーズンがお披露目された『キャシアン・アンドー』(2025年4月から5月にかけて公開)も、全8作品中7番目の8800万時間だった。
コメディシリーズ部門の首位は、1億8410万時間の『アボット エレメンタリー』。同作の場合、今回取り上げた21作品の中で唯一、地上波(ABC)で放送されていることも大きかったと思われる。また、新シーズンの話数(全22話)もシリーズ通算の話数(全71話)も21作品の中で最多だ。このランキングは同期間に放送・配信された過去シーズンの数値も含まれるため、シリーズ全体の話数が多ければ多いほど有利と言える。エミー賞に関しては、シーズン1が3冠、シーズン2は1冠で、シーズン3は無冠と徐々に勢いを失っている印象だが、シーズン4はどう評価されるのだろうか。
ABCで放送されたほか、Huluにて配信されていた『アボット エレメンタリー』と同じく、Hulu配信作品がトップ3を独占。2位の『マーダーズ・イン・ビルディング』は最新シーズンのお披露目が2024年8月から10月、3位の『一流シェフのファミリーレストラン』は6月下旬の全話配信が恒例と、早々に完了していることも関係していそうだ。
平等という意味で最も判断しにくいのは、リミテッド/アンソロジーシリーズ部門。話数が大きく異なっていたり(全9話の『モンスターズ:メネンデス兄弟の物語』に対し、『アドレセンス』は全4話)、各エピソードが独立したアンソロジー形式(『ブラック・ミラー』)なので全話視聴の可能性が低かったりと、それぞれの作品に特徴があるからこそ、今回のランキングだけで判断するのは難しい。その分かりやすい例が『アドレセンス』。総視聴時間で見れば5作品中4番目の成績だが、全4話の尺がわずか3時間50分であることを考えれば無理もない。実際、Netflixが採用している計算方法――各作品の尺に比例して視聴された率が分かる――に照らし合わせると、『アドレセンス』は2025年上半期にNetflixで最も見られた作品となり、歴代ではなんと2位につけているのだ。昨季(2024~2025年シーズン)の視聴者数を基準にしたランキングでも、『イカゲーム』に次ぐ2位(1900万人)という好成績。ちなみに、今回のランキングでトップの『モンスターズ:メネンデス兄弟の物語』は、そちらでは8位タイ(1570万人)となっている。
同じようにエミー賞の予想も、一筋縄ではいかない。3作品(『THE PENGUIN-ザ・ペンギン-』『アドレセンス』『人生の最期にシたいコト』)は新シリーズだが、残る2作品(『モンスターズ:メネンデス兄弟の物語』『ブラック・ミラー』)はアンソロジーシリーズなので過去シーズンがエミー賞を受賞したこともあるものの、当時とは設定やキャストが一新されているため、今年も有力候補と断じる根拠にはならない。ただし見方を変えれば、最も予想しがいのある部門だろう。
昨年、真田広之主演の『SHOGUN 将軍』が最多18冠を達成したことから、日本でも大きく取り上げられたエミー賞。今年はどの作品が歓喜することになるのだろうか。
第77回エミー賞の模様(レッドカーペット&授賞式)は、U-NEXTにて9月15日(月・祝)7:30よりライブ配信。(海外ドラマNAVI)
米国テレビ芸術科学アカデミーが毎年主催する、アメリカのテレビ … ドラマ『ER 緊急救命室』で知られるノア・ワイリーが、HBO … 大ヒットシリーズ『ブレイキング・バッド』のウォルター・ホワイ …巨匠マーティン・スコセッシが感無量!第77回エミー賞にノミネートされた人々の反応とは?
『ER』ノア・ワイリー、26年ぶりのエミー賞ノミネートに感激「もう望みはないと思っていた」
『ブレイキング・バッド』ブライアン・クランストン、コメディ部門で初のエミー賞受賞