
12年間続く大人気犯罪捜査ドラマ『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』。昨年末にはアメリカ本国で新スピンオフ『NCIS: ニューオーリンズ』もスタートし、まだまだその人気は衰えることを知らない。この長寿ドラマを支え続ける主演のマーク・ハーモンと制作総指揮のゲイリー・グラスバーグが昨年11月に行われたCBSジャンケットに登場! 長きにわたり世界No.1ドラマを作り続けるための秘訣とは!? そして気になる今後の展開は!? 日本のNCISファンの皆さん、お待たせしました!NCISメンバーの"生"のインタビューを海外ドラマNAVIがお届けします!
−−3つの番組でのクロスオーバーはありますか?
ゲイリー:今シーズンはニューオーリンズ版が始まるから、冒頭はとても興味深いものになった。ギブスとプライド(スコット・バクラ)は、以前から知り合いだから、それを上手く使うことにしたんだ。そして、何人かのキャラを登場させるようにした。ディノッゾ(マイケル・ウェザリー)は、実際にニューオーリンズに行って登場した。アビー(ポーリー・ペレット)とヴァンス(ロッキー・キャロル)はモニターで登場した。そういうのを4話か5話やったけど、今後、またクロスオーバーをするかどうかは分からない。ヴァンスはLA版にも出演したから、あるかもしれないけど、まだ何も決まってない。自然なストーリー展開になるのなら"あり"だよ。つまり、キャラが一緒に仕事をする理由が納得のいくものならやる。でも、単に俳優を共演させるためだけという考えでは絶対に作らない。
−−オリジナル版がほかのNCISシリーズと違うのはなぜだと思いますか?
マーク:私とゲイリーは、当初から「良いエピソードを作っていくようがんばろう」って話してきた。「とにかくベストを尽くして良いエピソードを作ろう」ってね。今シーズンはとても興味深い。さらに複雑な展開になっているんだ。それは、ゲイリーのお陰で、脚本家たちがとてもノっているからなんだよ。ハッキリさせておくけど、ゲイリーも私も、LA版にはノータッチなんだ。あれは、オリジナルのNCISとは別モノ。NCISが母船なら、LA版やニューオーリンズ版は、その足跡から派生したもので、それぞれがそれぞれの方向へと進んでいる。私たちができるのは、正しいキャストと脚本家とクルーを集め、正しい脚本を選んで、彼らに自分たちの仕事をさせるだけだよ。
−−ファンとの交流について教えてください。
マーク:ファンこそが、このドラマを支えている。シーズン4か5か6あたりから、人々はこのドラマにハマりだした。実際、アメリカより海外で先に火が付いた。ファンとの交流体験は、空港でのものが一番興味深いよ。このドラマのファンは、忠誠心がとても強い。いかにドラマを気に入っているかを言ってくるパターンが多いよ。このドラマに長く関わっていて、感謝されるというのはとても素晴らしいことだよ。でないと謝らなきゃいけないからね。でも、このドラマはファンがどんどん増え、視聴率も上がり、人気も出て、ものすごくたくさんの人に観られていて、それが右肩あがりでグラフで見える。とても気分がいいよ。入院している人からのリアクションもよく受け取る。人の生き方にも影響を与えているというのも耳にする。
−−キャラの衣装を着ることで、すぐ役に入れたりしますか?また、衣装について気を配っていることはありますか?
マーク:そんなことはないよ。衣装だけど、最初の段階で本物のエージェントにたくさん会った。それは俳優としての楽しみの一つだよ。彼らからいろいろなアイデアをもらったよ。Tシャツもそうだし、髪型もそう。話し方や動きもね。そうしたアイデアの一つとして、最初はブーツを履いていたけど、それはやめた。なぜなら、撮影をしている時は、1日で100回近く衣装替えをするから、ブーツはものすごく面倒だったんだ。そのほかに気を配っていると言えるのは、毎日のように着るものだから、着心地の良い物を選んでいるということかな。
ゲイリー:衣装について付け加えると、実際のエージェントの給料で払えるものを選んでいるんだ。彼らが払えないスーツは選ばない。実際に彼らが着ているものを選んでいるんだ。
−−ずっとナンバーワンの地位を保っていますが、いつかは終わりが来るものですよね?
ゲイリー:NCISとニューオーリンズ版を作っているチームは、「良いモノが作れる限り続けていく」というので合意しているよ。私たちは、自分たちが達成したことをとても誇りに思っている。私たちはベストを尽くし、常に新鮮さを保つようもの凄く一生懸命がんばっている。そして、それが続く限り続けていく。変化が必要な時というのは、視聴者が教えてくると私は思っている。でも今は、とにかく最高のドラマを作ることだけに集中しているよ。
−−このドラマを長く続けられている秘訣を教えてください。
ゲイリー:毎日、一生懸命仕事に打ち込んでいる人たちと一緒に働いていることに信じられないほどの誇りを感じている。こうして12年間続けていても尚、毎日みんなが仕事に行くのを楽しみにしていて、情熱を失わずにいる。みんな「ここにいたい」と思っている。それは本当に素晴らしいことだよ。別の仕事をして、これに戻ると、いかにここが素晴らしかったかに気づくんだ。そうした、現場に充満する推進力や配慮がここにある限り、私たちは続けていけると思う。
−−このドラマはセクシーなシーンもなければ、歴史物でもないのに高い視聴率をキープしているのはなぜだと思いますか?
ゲイリー:私たちのゴールは人々を楽しませることだよ。そして、こういうドラマは、ハートとユーモアと悲哀とサスペンスとアクションを42分間にすべて詰め込むというのが目標だ。作品がどういう注目を浴びるかはコントロールできない。私たちは、このドラマを気に入っている視聴者をとても誇りに思っているよ。世界で約5000万の視聴者がこのドラマを見たいと思ってくれている。そう考えるだけで頑張れるんだ。
−−マーク、あなたが降板した後も、ドラマの人気は続くと思いますか? また、降板する可能性はあるのでしょうか?
マーク:私は、どんな作品でも、キャラが降板してもドラマは続くと思っている。このドラマについても、私たちは常にいろいろな可能性がある余地を残している。それは、私がそれまで居た場所とは違う場所に行くことになるかもしれないというのも含めてだ。でも、それはストーリー展開によるんだ。離れたり...
ゲイリー:死んだりね。
マーク:死んでも時々戻ってくるよね。
ゲイリー:確かに!
マーク:この作品の強さは、創造力だと思う。脚本家たちが興奮して仕事をしている限り、新鮮なアイデアを持っている限り......今、私たちが携わっている脚本は、これまでのものと同じくらい挑戦的なものだ。そして、それが今後も続いていく。ランチに行くと脚本家たちが一緒のテーブルでアイデアをあれこれと出し合っている。それはまさにゲイリーのお陰だよ。なぜなら、以前はそうではなかったからね。そういう雰囲気は、『ニューオーリンズ』にも受け継がれている。それがゲイリーが良い仕事仲間であると同時に、良いリーダーである所以なんだ。そして、それこそがみんなが良い仕事をする理由なんだよ。
−−ほかの俳優のように降板を考えたことはありますか?
マーク:私は契約をしていて、その契約を栄誉だと思っている。私が降板するという噂が回っているかもしれないけれど、それは私が発したものではない。全てがうまくいってはいても、この仕事はとても大変だ。このドラマは何年もかけて発展してきたものだから、最初からずっといる人なら、「良い時もあれば悪い時もある」というのを知っている。それは普通だよ。12年経ってもこのドラマが人気だというのは普通じゃないかもね。私は終わるまで付き合っていくと思っている。感謝の心を持つことが大事だよ。これまでほかの作品もやってきたけど、感謝の心というのがこの作品のようにはなかった。ゲイリーも言っていたように、そういうのを知っている人が集まったドラマなんだ。
ゲイリー:私の視点から"目標"について言うと、これまでずっと一緒にやってきたすべてのキャストをキープしながら、彼らを常に驚かせるのが目標だよ。脚本家として、あらゆる方向性をみんなと一緒に探りながらあれこれと話し合う。それこそがこのドラマを常に新鮮に保ち、仕事に行くのを楽しみにさせているんだ。
−−お二人が知っている共演者たちの酷いエピソードや秘密を教えて下さい。
マーク:マイケル・ウェザリー、ポーリー・ペレット、ショーン・マーリーたちからも私からもそういうのは出てこないよ。なぜなら、彼らは本当に素晴らしい才能の持ち主であり、我々はお互いを信頼しているからね。劇中に漂う雰囲気は、長年培ってきた本物の土台があるからこそ滲み出ているんだ。でもそれぞれの話はそれぞれに聞いてくれ。
ゲイリー:汚い秘密というのはね......ないんだ。本当だよ。これまで一緒に仕事をしたなかで、本当に素晴らしく、そして、勤勉で仕事熱心な人たちだからね。だから誰も降板したり、辞めたりしないんだ。プロデューサーも脚本家も辞めようとしない。ほかに最悪な職場がたくさんあるからね。この作品はそれらの番組とは違うんだ。
マーク:マイケルやポーリーやショーンに会えば分かるよ。性格はそれぞれ違うけど、みんなお互いウマが合っていて、うまくいっているんだ。
−−ギブスの掟(ルール)の中で、どれが一番好きですか?
マーク:覚えているヤツを言うよ。「常にナイフを携帯しろ」だったかな。違うか......。とにかく、彼の掟は、経験上得たものに基づいていて、それをネタにすることもある。今、クリスマスのエピソードを撮影しているけど(取材は2014年11月)、それは掟についてだよ。
ゲイリー:そう、フラッシュバックの映像を交えながら掟についての話が展開する。とても面白いよ。
−−ギブスの元妻たちの一人、レベッカ役でジェリ・ライアンが登場しますが、彼女との共演について教えて下さい。また、ギブスと元妻たちとの関係がこれから変化する予定はありますか?
ゲイリー:レベッカが登場するエピソードを今まさに撮影中だよ。ジェリとは素晴らしい時間を過ごしていて、(サマンサ役の)ジェイミー・リー・カーティスとは違うエネルギーが働いている。元妻たちはみんな性格が違うから、それぞれとの関係性は全く異なっている。ジェリとマークの共演シーンはユニークで、ほかの元妻とのシーンとは違う。でも、ギブスがほかの元妻たちとの間に醸し出すケミストリーは同じなんだ。ただ、今後どうなるかはまだ分からない。サマンサが再登場するかも分からないよ。
マーク:興味深いのは、この12年間ギブスを演じていて、彼が絶対に口にしなかったジェリのキャラ(レベッカ)が急に登場することだよ。彼女こそがギブスが話題を避けてきた人物なんだけど、今シーズンはその理由が分かる。元妻たちはそのうちまたみんな出てくるんじゃないかな。
−−ゲイリーに質問です。マークの好きな点、嫌いな点を教えて下さい。
マーク:部屋を出て良いかな?(笑)
ゲイリー:私はシーズン7から関わっているけど、マークはこれまでTVで仕事をした相棒の中で最高だよ。私がこの作品に参加した時、みんなに「私の部屋のドアはいつでも開いているから、誰でも入って、何を話してもいいよ」って言った。そうしてみんなとキャラについて、ストーリーについて話してきた。正直言って、毎日マークがいるというのは素晴らしい贈り物って感じだよ。それを有効に活用して、ニューオーリーンズ版のアイデアが出た。あのアイデアは、私が家族と休暇を過ごしていた時にマークからかかってきた電話が始まりだったんだ。話を聞いて、「すごいぞ、すぐに戻って考えをまとめなきゃ」って言ったんだ。そうして、1年後にニューオーリンズ版ができた。マークとの仕事は真の喜びであり、大切な大切なものなんだ。
Photo:『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シーズン14(c) 2010 CBS Broadcasting Inc.All Rights Reserved.jpg