『Mr. & Mrs.スミス』ドラマ版に乗り気じゃなかった!クリエイターが語る

ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが共演して2005年に世界中で大ヒットした同名映画を元にしたドラマ『Mr. & Mrs. スミス』。2月2日(金)よりAmazon Prime Videoにて配信される同作の制作に当初乗り気ではなかったと、クリエイターが語っている。米Deadlineが報じた。

提案されて、冗談を言っているのだと誤解

クリエイター・製作総指揮・監督・主演(ジョン・スミス役)を兼任するのは、俳優・脚本家・監督・プロデューサーの顔を持ち、さらにはチャイルディッシュ・ガンビーノ名義で音楽界でも活躍するドナルド・グローヴァー。共同クリエイターを務めるのは、彼と『アトランタ』でも組み、『FARGO/ファーゴ』の製作・脚本も担当したフランチェスカ・スローンだ。そんなスローンは、ドナルドからこの作品を作りたいかと聞かれた時に、彼がふざけているのだと思ったと振り返っている。

「ドナルドと私が過去にやってきたクリエイティブな仕事からすると、ロマコメ・アクション・スパイスリラーをベースにしたシリーズを書くことは、私たちにとって合わないように感じました。でもドナルドは、これをやるのはすごくワクワクすることだと彼流に表現していましたね」

このシリーズが最初に発表されたのは2021年2月で、その時は『Fleabag フリーバッグ』で製作総指揮・脚本・主演を務めたフィービー・ウォーラー=ブリッジが、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』で共演したドナルドとタッグを組むことになっていたが、のちに降板。後釜に選ばれたのがスローンだった。スローンはまた、“ブランジェリーナ”主演で大ヒットした映画をわざわざドラマ化したがるのか疑問に思う人がいるのも理解できると認めた。「私たち自身と同じく、ネット上の荒らしも疑問を感じました。制作が発表された直後に、"誰がこの番組を必要とするんだ?"というコメントを目にしました。彼らを責めるつもりはありませんでした。リメイクが氾濫する文化において妥当な反応ですから。大ヒット映画をなぞる番組など、誰も必要としないでしょう。そのため、私たちが目指したのは、完全にオリジナルなものを作ることでした」と彼女は付け加えた。

映画でアンジェリーナが演じたジェーン・スミス役に起用されたのは、『オビ=ワン・ケノービ』の日系アメリカ人女優マヤ・アースキン。そのほかにも、ジョン・タートゥーロ(『薔薇の名前』)、ポール・ダノ(『リトル・ミス・サンシャイン』)、パーカー・ポージー(『ロスト・イン・スペース』)などが出演する。

スローンは新しい作品を作るため、登場人物や彼らの関係・結婚に焦点を当てることで、スパイというジャンルを"覆す"ことを考えたという。「創作の旅では哲学的な疑問から始めるのが一般的だと思います。ヒーローが(映画版のように)地球上で最も美しい二人ではなく、孤独な劣等生の二人で、現状以上のものを人生に求めているとしたら、このシリーズはどのようなものになるでしょう。もし誰もがジョンとジェーンになれたとしたら、あなたや私にもなれたとしたら?(『007』の)ジェームズ・ボンドが祖国への忠誠のためにすべてを賭けたとしたら、アメリカでも同じことをする人がいるのかを考えるべきです」と彼女は言った。

スローンによれば、ドラマ版のジョンとジェーンは「不器用な人間」として描かれる。スタイリッシュな服を着て、エキサイティングな銃撃戦を繰り広げる一方で、相手の前でおならをしたり、相手の親と関わり合ったり、最悪の状況下では互いの心の奥底にある弱点を利用したりするという。ブラッドとアンジェリーナ演じる美男美女カップルより親近感が持てそうだ。等身大の二人は、ブルックリンで追いかけられる場面では、最終的に足にマメができたりもする。アルフレッド・ヒッチコックやイングマール・ベルイマンの作品の影響も受けているとスローンは語る。

「私たちの作品では、普通の二人が非凡になるのを見る旅に出るのです。彼らがスパイとして強くなりつつも、人間としては弱くなっていくのを見守ります。この作品を見て、笑ったり何かを感じたりしてもらえれば幸いです。楽しんでください」

『Mr. & Mrs. スミス』(全8話)は、2月2日(金)よりAmazon Prime Video(アマゾンプライム) にて独占配信。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Deadline

Photo:『Mr. & Mrs. スミス』Prime Videoで2月2日(金)独占配信開始 © Amazon MGM Studios