【追悼】ルーク・ペリーよ、永遠に。『ビバヒル』『OZ』『クリマイ』『リバーデイル』...その俳優人生をふり返る(前編)

大ヒット青春ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』(以下『ビバヒル』)のディラン役で知られるルーク・ペリーが、3月4日(月)に52歳で亡くなった。世界中で愛された『ビバヒル』は、日本でも多くの視聴者を魅了し、元祖海外ドラマと言っても過言でないほどの伝説を築き上げた。その中でも、一匹狼ディランを演じたルークは、当時ほぼ無名だったにもかかわらず一気にスターの仲間入りを果たした。

同作終了後も、ルークは多くの映画やドラマ、ブロードウェイやウェストエンドの舞台で活躍。レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、アル・パチーノら大物俳優と共演のクエンティン・タランティーノ最新作『Once Upon A Time In Hollywood(原題)』(コラム後編で後述)が遺作となってしまったが、TVドラマ『リバーデイル』レギュラー出演に、大作映画出演と、実は今こそがルークの黄金時代でもあった。そんなルークの過去30年における活躍を、今一度ふり返ってみたい。

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『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』(1990~2000)ディラン・マッケイ役

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この役なくしてルークは語れない、世界中の若者を虜にした青春ドラマ。ビバリーヒルズの高級住宅地に住む高校生たちが恋や友情を通して成長していく様を10シーズンかけて描いたもの。本作とともに自分も成長したという視聴者も多いだろう。

ルークは、一匹狼のサーファーでどこか影のあるディラン・マッケイを演じた。自身がオハイオ州の片田舎出身であるルークは、本作のようなきらびやかな環境とはほど遠い育ちだった。だがそのプライベートを微塵も感じさせることなく、あたかも子どもの頃からサーフィンを嗜んでいるかのようにディランを好演。ブレンダやケリーを見つめる時の甘い視線や、口数は少ないがブランドンやスティーブたちへの熱い友情を表情だけで感じさせるディランは、若くして演技派だったと言えるだろう。

『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー』(1992)オリヴァー・パイク役

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『ビバヒル』で超売れっ子になったルークのスケジュールを優先するため撮影日程が組まれたこのコメディホラー映画は、後にTVドラマ『バフィー~恋する十字架~』を生み出した。女子高生バッフィ(クリスティ・スワンソン)がバンパイアと戦うお馴染みのストーリーだが、コミカル度はこちらの方が高い。ヒラリー・スワンクやドナルド・サザーランド、ベン・アフレックなども出演している中で、ルークはバッフィの恋の相手パイク(苗字で呼ばれる役)を演じている。

『ビバヒル』と同時期作品であるが、こちらでのルークはディランと違い、眉上パッツンで前髪を下ろしているシーンが多く、幼く見える。ちょっとだらしないところのあるオトボケキャラでもあるパイクをお茶目に演じた、ルークの新たな魅力が発見できる作品だ。

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『エイト・セカンズ/伝説の8秒』(1994)レイン・フロスト役

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実在する伝説のロデオ・ライダー、レイン・フロストの半生を描く。ロデオでは8秒が乗りこなした合格ラインと見なされるが、その背中には8秒も乗っていられないとされる猛牛レッド・ロックに挑む主人公レインをルークが演じている。

本作のポイントは何と言ってもルークのカウボーイ姿が似合うこと! 外見的魅力が全開だが、本当の見どころは実在するレインの伝説を壊さず、誇張せず、そしてレインと同化するかのような彼の演技力だ。父親との確執、親友との友情、母親思いのレインの人生を、体を張って生きている。

『OZ/オズ』(1997-2003)ジェレマイア・クルティエ役

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最も警備の厳しい重罪犯用のオズワルド刑務所、通称オズの一画にある「エメラルド・シティ」と呼ばれる最新テクノロジーと24時間体制の監視付き特別区画に生きる囚人を描いた本作。人種差別や暴力、麻薬、同性愛といったタブー視されるような内容が生々しく語られる作品。

シーズン4から5にかけて登場したルーク演じるジェレマイアは、教会資金を横領したキリスト教プロテスタントの牧師という役どころ。囚人の前で神の教えを説き、J・K・シモンズ演じる凶悪な囚人ヴァーノン・シリンガーの心さえも動かすその演技は、人をコントロールできる影響力を持つ人物を完璧に表現していた。過去にないほどのクルクル長髪姿のルークも新鮮。

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『ウィル&グレイス』(1998-2006)アーロン役

(0:45頃からルーク・ペリー演じるアーロンが登場)
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二ューヨークを舞台に、インテリアデザイナーのグレイスと、ゲイの弁護士ウィルが繰り広げるおかしな日常を描いた人気コメディドラマ。現在米NBCでリブート版も放送されている大ヒット作のシーズン7第17話「アブないバードウォッチング」ではルークの珍しい姿が見られる。

ゲイの鳥大好き人間アーロンに扮したルークは、テンポの速い本作のやり取りに軽快に絡んでいる。カレンとジャックがアーロンの鳥を死なせてしまったかもしれないと慌てふためく中、落ち込んだりお金に目がくらんだりするアーロンを小気味よく演じている。珍しく早口のルークを見ることができるのもポイントだ。

『ビバヒル』のケリー(ジェニー・ガース)と再共演した『恋するマンハッタン』をはじめ、『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』『クリミナル・マインド FBI行動分析課』といった人気ドラマにも出演していたキャリア後期を取り上げるコラム後編はこちら

Photo:ルーク・ペリー(C)SNAP Photo/amanaimages 『ビバリーヒルズ高校白書』(C)90-91 CBS Paramount International Television 『バッフィ/ザ・バンパイア・キラー』(C)Mary Evans/amanaimages 『エイト・セカンズ/伝説の8秒』(C)Mary Evans/amanaimages