大ヒット青春ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』(以下『ビバヒル』)のディラン役で知られるルーク・ペリーが、3月4日(月)に52歳で亡くなった。世界中で愛された『ビバヒル』は、日本でも多くの視聴者を魅了し、元祖海外ドラマと言っても過言でないほどの伝説を築き上げた。その中でも、一匹狼ディランを演じたルークは、当時ほぼ無名だったにもかかわらず一気にスターの仲間入りを果たした。
同作終了後も、ルークは多くの映画やドラマ、ブロードウェイやウェストエンドの舞台で活躍。レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、アル・パチーノら大物俳優と共演のクエンティン・タランティーノ最新作『Once Upon A Time In Hollywood(原題)』(後述)が遺作となってしまったが、TVドラマ『リバーデイル』レギュラー出演に、大作映画出演と、実は今こそがルークの黄金時代でもあった。そんなルークの過去30年における活躍を、今一度ふり返ってみたい。
『ビバヒル』ケリー役でお馴染みのジェニー・ガース主演作。マンハッタンで暮らす完璧主義のキャリアウーマン、バレリー(ジェニー)の元に、ハチャメチャな妹ホリーが越してきて巻き起こるドタバタ姉妹ハートフルコメディだ。
本作では、『ビバヒル』のブランドンことジェイソン・プリーストリーもゲスト出演しているが、シーズン3に数話にわたって登場したルークはなんとケリー演じるバレリーと(久々に!)熱いキスを交わすクールな役を演じている。コメディらしい会話が展開する中で、『ビバヒル』ファンへのサービスとも思えるこの二人のシーンでは、大人になったコミカルバージョンのケリーとディランを想像してしまう。いきなりバレリーの唇を奪うトッドの姿に、ディランを彷彿したファンも多いだろう。
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『LAW & ORDER:性犯罪特捜班』(1999-)ノア・サイバート役
We knew you as Noah Sibert, the world knew you as Luke Perry. #RIPLukePerry pic.twitter.com/4LA5NOtMOf
— SVU Diehards (@SVU_Diehards) 2019年3月4日
アメリカTV最長タイ記録となるシーズン20が米NBCにて放送中の大人気シリーズ。凶悪な性犯罪に日夜立ち向かうオリビア・ベンソンを中心としたニューヨーク市警本部、SVUの活躍とその後の法廷での裁きを描く。20年もの間で数多くの俳優が参加してきた本作の中でも特に印象を残した一人が、シーズン10第1話「直すために」に登場した、ルーク演じるノア・サイバートだ。
ノアは、その魅力的なルックスと紳士的な立ち振る舞いで捜査を欺くキャラクター。女性や子どもに優しく接しつつも裏では異常な行動に出るという、今までのルークとは一味違う役どころを演じた。ルークの穏やかな口調がさらにノアのサイコパス度を高めている。
『クリミナル・マインド FBI行動分析課』(2005-)ベンジャミン・サイラス役
A sad note this afternoon: Actor Luke Perry, who played cult leader Benjamin Cyrus in #CriminalMinds episode Minimal Loss, has passed away after suffering a stroke. He was 52. #RIPLukePerry pic.twitter.com/kMk76lZ1eb
— MorganGarcia Girls (@WedNightGirls) 2019年3月4日
シリアルキラーの次なる犯行を防ぐべく、プロファイリングで犯人像を推理するFBIのエリートチーム"BAU"の活躍を描いた人気犯罪捜査ドラマ。シーズン4第3話「カルト教団の行方」で、ルークはカルト教団リーダーのベンジャミン・サイラスを演じた。
その時モーガン(シェマー・ムーア)たちによって射殺されたはずだが、実は本国で放送中のシーズン14第1話、通算300話目にルークは同役で復帰している。10年もの月日が経った後で、記念すべき300話に再登場するというのは、この長寿番組で記憶に残るキャラクターだったことを意味している。何かに取り憑かれたようなベンジャミンは、同作の悪役にぴったりだ。
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『ボディ・オブ・プルーフ/死体の証言』(2011-2013)チャーリー・スタッフォード役
Gotta be honest, I did not see a lot of his work. But I did watch Body Of Proof, and he was an absolute rockstar in it. Thank you for everything. Fly high. rip Luke Perry pic.twitter.com/fd8zzZk3nR
— olivia / #renewodaat (@katicatparril) 2019年3月4日
有能な検死官ミーガン・ハントが犯罪現場に残された被害者の「死体」を頼りに、ずば抜けた直感と医学知識で事件の謎を解いていく検死クライム・ミステリー。
シーズン2から3にかけて登場したルークは、疫病予防管理センター(CDC)出身で衛生局長官となるドクター・チャーリー・スタッフォード役。ドクターであり、かつ政府管理職でもあるという、これまでにない役どころだ。犯罪捜査ドラマで難しい医学用語を語るルークのドクター役は貴重。政府の人間でありつつもミーガンとコミカルなやり取りを見せて親密になる一人の男性を大人の魅力で演じている。
『リバーデイル』(2017-)フレッド・アンドリュース役
一見平和な町リバーデイルを舞台に起こる事件や秘密を描いたサスペンス。ドラッグとセックス、犯罪やバイカーギャングの抗争が取り上げられることから、『ツイン・ピークス』を彷彿させるとも言われている。
ルークは、主人公アーチーの良き父親、フレッド・アンドリュースでレギュラー出演。高校生たちを中心に描かれるが、フレッドも重要なキャラクターで、その過去やギャングとの関係、ビジネスや恋愛といった諸事情を抱えた大人の男性をルークが演じている。ディランが父親になったらこんな感じなのだろうかと想像させるような男前の生き様を見せる寡黙な父親だ。ちなみに、ルークの娘ソフィーは本作に父親が出演していることをとても喜んでいたという。
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『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』スコット・ランサー役
クエンティン・タランティーノがメガホンを取り、レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、アル・パチーノらが出演する本作は、1969年にハリウッド女優シャロン・テートがカルト集団に殺害された事件を背景に、ハリウッド映画界を描くサスペンス映画。すでに撮影は終了しており、これがルークの遺作となる。
彼が演じたのは、『猛将カスター』のカスター将軍役で知られる俳優ウェイン・モウンダー主演のTVドラマ『対決ランサー牧場』から来ていると思われるスコット・ランサー役。本作の詳細は明らかになっていないが、Aリストの映画俳優陣に囲まれながらも抜擢されたルークの実力が伺える。共演したレオナルド・ディカプリオからは、「ルーク・ペリーは心の優しい、そして信じられないほどに才能豊かなアーティストでした。彼と共に仕事ができたことを誇りに思います」と追悼コメントが発表されていた。
Family pic.twitter.com/xYbiANTvpw
— Luke Perry (@LukePerryIII) 2018年5月24日
今回ご紹介したのはルークが活躍したほんの一部の作品にしか過ぎない。また、映像の世界以外でも、2001年にはリバイバル版の『ロッキー・ホラー・ショー』ミュージカルのブラッド役でブロードウェイデビューを、そして2004年には映画『恋人たちの予感』の舞台版で主役ハリーを演じてウエストエンドデビューも果たしていた。
『ビバヒル』で世界のアイドルになってからも、高飛車になることなく謙虚に、地道にそしてチャレンジし続けたルーク。一生言われ続けた"ディラン"という名を大切にしつつ、徐々に広くなる自分のおでこを自虐ギャグにさえもする彼のTwitterを見れば、その気さくな人柄は一目瞭然だった。30年もの間、私たちに多くの愛と希望と笑いを届けてくれたルークは、世界中の人々の心で永遠に生き続けることだろう。
Photo:『リバーデイル』© 2018 Warner Bros. Entertainment Inc. & CBS Studios Inc. All rights reserved. ルーク・ペリー(C)FAM020/FAMOUS