『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』が『SHERLOCK』より優れている2つのこと

アーサー・コナン・ドイルの名作探偵小説シリーズは数多くの翻案作品が誕生しているが、ここ近年で特に人気が高いのが、英BBC製作の『SHERLOCK/シャーロック』と米CBSの『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』だろう。両シリーズどもに秀作だが、米Screen Rantが、『SHERLOCK』よりも『エレメンタリー』が優れている点を挙げているので紹介したい。

 

どちらも高評価を得ている「シャーロック・ホームズ」現代版ドラマ

『SHERLOCK』は、現代のロンドンを舞台に、シャーロック・ホームズ(ベネディクト・カンバーバッチ)が、ルームメイトの医師で友人でもあるジョン・ワトソン(マーティン・フリーマン)と一緒に難事件を解決していく物語。

対する『エレメンタリー』は、スコットランドの顧問刑事でありながら薬物依存症の問題を抱えているシャーロック・ホームズ(ジョニー・リー・ミラー)がニューヨークへ移住し、事件解決のためにニューヨーク市警に協力するようになる。しかし、依存症から回復過程にあるシャーロックはジョーン・ワトソン医師(ルーシー・リュー)を同行者として雇い、彼女は後に彼の仕事上のパートナーとなる。

Screen Rantは、両シリーズともに「シャーロック・ホームズ」の現代版として素晴らしい作品だが、『エレメンタリー』にはより一貫性があると評している。『SHERLOCK』は、シーズン2第3話「ライヘンバッハ・ヒーロー」までは絶好調だったが、その後はホームズの偽装死という展開から失速し、質が大きく低下した。

一方の『エレメンタリー』は1話完結式を採用したため脚本やトーンに一貫性があり、シーズンを通して視聴者と批評家から安定した評価を得た。登場人物や原作からの改変も作品の世界観にうまく溶け込み、最後まで魅力を維持した点が成功の大きな理由だと論じている。

『SHERLOCK』の失敗とは?

また、『エレメンタリー』の成功のもう一つの重要な要因は、『SHERLOCK』を失速させた過ちをすべて回避した点にある。前述のとおり、『SHERLOCK』の衰退はシーズン3から始まった。シャーロックがセント・バーソロミュー病院の屋上から飛び降りて死を偽装した後、シーズン3ではそのトリックの説明がなく、代わりに視聴者のファン理論を茶化すような描写がなされ、視聴者への不誠実さが感じられた。

一方で、『エレメンタリー』もシャーロックの偽装死という展開を用いたが、それは最終話近くになってからで、戻って来たシャーロックが自身とジョーン、そしてドラマ全体の物語にきちんとした終止符を打つためだった。

また『エレメンタリー』は、『SHERLOCK』最大の失敗の一つである“シャーロックの妹”を登場させることもなかった。『SHERLOCK』では、最終シーズンに最年少にして最も危険な妹ユーラス・ホームズを登場させたが、彼女に関する設定はどれも納得のいかないものだった。したがってScreen Rantは、『エレメンタリー』は全体的に一貫した方向性とクオリティを維持し、テレビ番組の現代版「シャーロック・ホームズ」として、より優れた作品となったと締めくくっている。

Instagramアカウント@thecwより

なお、「シャーロック・ホームズ」に関連する翻案作品としては、『エレメンタリー』製作陣による米CBSの『Watson(原題)』がシーズン2へ更新され、シャーロックが、彼の娘かもしれないアメリアを相棒に事件を解決していく米CWの『Sherlock & Daughter(原題)』が放送中。そのほかにも、シャーロックの若かりし頃を描く『Young Sherlock(原題)』が待機中だ。

過去には別の視点から『エレメンタリー』のほうが良い点4つを紹介しているので、こちらも併せてチェックしてみてほしい。

『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』はHuluで配信中(海外ドラマNAVI)

参考元:Screen Rant

 

Photo:『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』(C) MMXVIII CBS Broadcasting Inc. All Rights Reserved.