2010年代は、アーサー・コナン・ドイルの不朽の名作をベースにしたドラマが二本、大ヒットした。それが、ベネディクト・カンバーバッチ主演の英BBC『SHERLOCK/シャーロック』と、米CBSの『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』。原作と同じ英国を舞台に、シャーロック・ホームズの類まれな才能を視覚的に示した前者に対し、後者は舞台をアメリカに移し、女性版のジョン・ワトソンを登場させ、さらにホームズがより人間らしく描かれている点が特徴的だ。
今回は7シーズン続いた『エレメンタリー』の魅力を、同じ題材を取り扱った不動の人気作『SHERLOCK』と比較しながら紹介したい。(米Screen Rantより)
◆ワトソンがより面白いキャラクターになった
ワトソンはシャーロック・ホームズの人生においてとても重要な人物であり、『SHERLOCK』で同役に扮したマーティン・フリーマンは、伝説の探偵の相棒を見事に表現した。
しかしながら、『エレメンタリー』でジョーン・ワトソン役を演じたルーシー・リューは、‟ワトソン“というキャラクターを自分のものにし、女性視点でホームズの物語を見ることを教えてくれた。ホームズの父の命を受けて彼の元についたワトソンが、次第にその命令とは関係な彼のそばに寄り添い続けるようになる姿を描くことで、登場人物たちの関係性にも変化をもたらした。
正統派ワトソンでないことは確かだが、原作小説の中から飛び出してきたようなキャラクターに仕上がっているのが不思議である。
◆変わらないクオリティを維持
BBCの『SHERLOCK』は現時点(2023年11月)で4シーズンに留まっているが、後半の2シーズンについては、そのクオリティが著しく低下したという声がある。一方で、『エレメンタリー』は7シーズンの間に評価を落とすようなことはなく、強引さを感じさせない素晴らしいエンディングを迎えた。
『SHERLOCK』のように製作期間が大きく開くことがなかったため、高まりすぎた視聴者の期待に応えられない…という事態を招かなかったのも、評価を落とさずに済んだ要因かもしれない。
◆ホームズを超人的なキャラクターとして扱わない
時代を超えて愛される世界的ミステリー小説を生み出した作者のドイルだが、彼は自らが生み出した創作物にもかかわらず 「シャーロック・ホームズ」をそれほど好んでいなかったというのは有名な話。小説から判断するに彼は、ホームズを神やスーパーヒーローのように扱うことを望まず、他の“普通の”キャラクターを通してホームズという人物を表現することを好んでいたようだ。
『SHERLOCK』を含む多くの実写化作品で、ホームズは超人的かつ一般的なルールに従わないことが許されているような人物として振る舞い続けるが、『エレメンタリー』では、ホームズの言動に対して他のキャラクターが我慢の限界に達し、彼のおどけた態度に感心しなくなる様子もちゃんと描かれた。そんな周囲の反応を受けて、ホームズも次第にエキセントリックな言動を控えるようになることで、より原作者の意図に近いキャラクターになったと言えるかもしれない。
◆警察がバカじゃない
『SHERLOCK』の世界では、警察という法執行機関が無能な組織として描写されるきらいがある。レストレード警部だけは多少マシに描かれているものの、ホームズから発せられる皮肉なジョークと、警察官に対する間抜けな描写はシリーズを通して続く。
一方『エレメンタリー』では、グレッグソン警部やベル刑事をはじめとした警察官は知的で非常に有能な法の代表者として存在。さらに、ホームズも警察に対して敬意を払っており、警察もまた、相談役という立場の探偵に威厳を持って接し、彼の提案を考慮する寛容さも持ち合わせている。この両者の関係性は、間違いなく『SHERLOCK』に欠けている、『エレメンタリー』ならではの魅力だろう。
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Photo:『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』©2012 CBS BROADCASTING INC. ALL RIGHTS RESERVED./『SHERLOCK/シャーロック』(C) Hartswood Films 2010