
名探偵シャーロック・ホームズの相棒として知られる医師のジョン・ワトソンを主人公にした米CBSの新シリーズ『Watson(原題)』。シャーロックの物語はこれまで幾度となく実写化されてきたが、本作はどのようにしてそれらとの違いを生み出しているのだろうか。
女性キャラクターの描き方
舞台は、シャーロックが宿敵モリアーティの手にかかって死亡してから半年後の世界。ワトソン(モリス・チェスナット『レジデント 型破りな天才研修医』)は、医師としてのキャリアを再開し、希少疾患の治療を専門とするクリニックの院長となるが、犯罪ではなく医療ミステリーの謎解きへと目を向けるようになる…。
ミステリー小説の世界において、シャーロック・ホームズは伝説的な存在と言っても過言ではないが、女性キャラクターの描かれ方については評価が分かれるところ。この欠点に対して、本作の製作陣は、女性キャラクターたちを複雑かつ多面的に描き、ヒーローからヴィラン、そしてその中間的な存在に至るまで、多彩な役割を担わせることで、新たな世界観を作り出している。
メアリー・モースタンの脚色
原作ではワトソンの妻として知られるメアリー・モースタン(ロシェル・エイツ『S.W.A.T』)だが、今回のCBS版では設定が少し変更され、よりユニークに描かれている。このシリーズのメアリーとワトソンは、ワトソンが軍医を経て、シャーロックと事件捜査を始める前からすでに結婚していたという設定。そして、シャーロックがジェームズ・モリアーティ(ランドール・パーク『アントマン&ワスプ:クアントマニア』)の手によって命を落とし、その後ワトソンが戻ってきたときには、二人はすでに疎遠になっている。しかし、メアリーは有能な外科医という設定で、さらにワトソンの上司という立場にあり、離婚をしてもその関係が崩れることはない。
最も複雑なキャラクターは…
『ナイト・エージェント』のイヴ・ハーロウ演じるイングリッド・デリアン医師は、本作において最も謎めいたキャラクターの一人であり、特に注目すべき存在。デリアン博士はワトソンのチームに所属する若い医師で、毎週起こる医療事件でワトソンを補佐する役割を担う。しかし、彼女には二重性があり、物語が進むにつれてソシオパスな一面が明らかになっていくという。
サーシャ・ラボックは“ベイカー街遊撃隊”の中心的存在
本作において、ジョン・ワトソンのクリニックチームは、シャーロックの協力者だった「ベイカー街遊撃隊(ベイカー・ストリート・イレギュラーズ)」を意識して構成されている。メンバーはデリアン博士、双子のスティーブン&アダム・クロフト(演:ピーター・マーク・ケンドール)、そしてサシャ・ラボック(演:イング・シュリングマン)ら。サーシャはチームの精神的支柱であり、チームのバランスを保つ重要な存在になっている。
サーシャは、他のキャラクターたちと同様に必要とあらば優れた能力を発揮するが、特に彼女が重要なのはチームのひとつにまとめたり、他のキャラクターたちが心を開くきっかけを作り出していること。その存在は、チームにとって欠かせないものになっている。
シャーロック・ホームズ作品の多くで女性キャラクターがうまく描かれなかった中で、『Watson』はそれを覆して、魅力的な女性キャラクターたちを活躍させることで、他の作品とは一線を画すシリーズになるかもしれない。
(海外ドラマNAVI)
参考元:CBR