近年、ハリウッド作品はチェコ共和国のプラハやハンガリーのブダペストをはじめ、ヨーロッパでの撮影が急激に増えているが、最近そのリストに加わり人気を博しているのがスペインだという。『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』のシーズン3と、アガサ・クリスティーの小説「七つの時計」のドラマ版もスペインでロケが敢行され、現地の魅力について各シリーズのスタッフが語っている。
税制優遇措置と独自の文化・風景が魅力
『ダリル・ディクソン』シーズン1~2の舞台はフランスだったが、シーズン3ではスペインで物語が展開される。スペインが新たなロケ地として人気を博している理由の一つとして、2023年初頭に同国の税制優遇措置が改善・拡大され、映画やドラマの制作費用が税制優遇措置によって軽減されることも挙げられている。
米Varietyのインタビューに応えた同作の製作総指揮を務めるスティーヴン・スクイランテによると、新シーズンの舞台候補として数多くの場所をほかのスタッフと一緒に検討し、ロケ地の下見で訪れたスペインを心から気に入ったのだとか。美しい風景から都市、スペインの文化に至るまで、場所が提供してくれるすべてに満足したと語っている。
シーズン3は95%以上がスペインで撮影され、90%以上がスペイン人で構成されたスタッフのうち、重要なポジションもほぼ同国人が占めていたという。スクイランテは、経験豊富なスペイン人スタッフの仕事ぶりを絶賛しており、スペインでは数多くの場所で撮影許可が取りやすかったこともプラスになったと明かしている。シーズン3では、1930年代のスペイン内戦で最大の戦地となったアラゴン州サラゴサ県の町ベルチテをはじめとしたアラゴンやガリシアの地方、バルセロナやグラナダでも撮影されたそうだ。
スクイランテはシーズン3の見どころについて、「スペインは本当に素晴らしい場所ですが、まだ視聴者には十分知られていないと思います。物語の展開や移動の自由を活かして、スペイン全体の魅力を少しでも紹介したいと思っています」と語った。
スクイランテが述べたように、スペインにはまだ知られざる魅力が数多く存在しているが、それを象徴するロケ地の一つが、ドラマ版「七つの時計」の撮影地となったアンダルシア州マラガ県のロンダだ。
ロンダは峡谷を横切る高架橋の壮大な景観で知られ、ドラマ版「七つの時計」の製作総指揮を務めるスザンヌ・マッキーはこの地について、「景色や山々の明かり、高架橋を渡るアクションシーンなど、本当に美しくて壮観です」と語っている。番組の印象的なオープニングシーンもロンダで撮影されたとのこと。
「七つの時計」以前に『ザ・クラウン』の撮影でスペインを訪れていたマッキーも、現地スタッフが有能で素晴らしいと称賛しており、多様な地形と景観を誇るスペインでは国内で様々なシーンを撮影できる点も魅力だと説明。『ザ・クラウン』では、オーストラリアの羊牧場やギリシャのアテネ、さらにはハリウッドのシーンも実際にはスペインで撮影していたのだと明かした。
前述の2作以外には、NetflixのSFドラマ『三体』もスペインで撮影されたほか、『コブラ会』シーズン6パート2はバルセロナが舞台になり、サグラダ・ファミリアやバルセロネータビーチといった有名観光地が登場した。今後も数多くの映画やドラマシリーズの撮影がスペインで行われることになりそうだ。
『ウォーキング・デッド:ダリル・ディクソン』シーズン1~2はU-NEXTにて配信中。(海外ドラマNAVI)
参考元:米Variety
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