12月21日(日)16:00よりミステリーチャンネルにて独占日本初放送となる『アガサ・クリスティー ゼロ時間へ』。“ミステリーの女王”が仕掛ける、古典的なミステリーの逆を行く作品の魅力をキャストたちが語っているので、インタビューをお届けしよう。今回登場するのは、ネヴィル・ストレンジ役のオリヴァー・ジャクソン=コーエン(『ザ・ホーンティング・オブ・ヒルハウス』『サーフェス ねじれた記憶』)。
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古典的なミステリーの逆を行く斬新な作品!『アガサ・クリスティー ゼロ時間へ』
12月21日(日)16:00よりミステリーチャンネルにて独占 …
“デヴィッド・ベッカム”なのに、この世で一番運動が苦手

1936年、イギリス。英国テニス界のスター選手であるネヴィル・ストレンジは妻オードリーとスキャンダラスな離婚劇を繰り広げた後、再婚した相手ケイとのハネムーン先として、おばのレディ・トレシリアンが暮らすガルズポイントを選ぶ。しかし、そこへネヴィルと「友人に戻る」ことにしたとして元妻のオードリーも滞在することに。当事者たちの緊張感が徐々に高まる中、レディ・トレシリアンの付添人やネヴィルと確執のあるいとこ、ネヴィルの謎めいた従者、一家を長年支えてきた弁護士、精神的に不安定な警部などもガルズポイントに集まってくる。やがて殺人事件が発生し…。
――あなたが演じるネヴィル・ストレンジについて教えてください。
ネヴィルは1930年代の名高いテニス選手です。当時で言う、デヴィッド・ベッカムのような存在ですね。妻のオードリーと彼はセレブリティのカップルとして知られ、いつも新聞に取り上げられ愛されています。一言で言えば、彼は「傲慢な伊達男」といったところでしょう。非常に優秀なスポーツマンで世間から愛されていますが、家庭では非常に複雑で感情的な日々を送っています。

――本作の冒頭でネヴィルはどんな状態にありますか?
ネヴィルとオードリーは周囲から注目される形で、屈辱的な離婚劇の真っ只中です。ネヴィルが離婚することになったのはケイという女性との不倫が原因で、のちに彼女と再婚します。そんな彼は自身にとって最も大切な場所である、ガルズポイントにあるおばの家へケイを連れて行くことにします。そこは、元妻オードリーと彼がともに育った場所でもあります。ネヴィルとケイはそこで新婚旅行を過ごしますが、そこにオードリーが現れた上、過去の亡霊のような存在も姿を現すんです…。
――ネヴィルはテニス界のスター選手ですが、あなた自身のテニスの腕前は?
私はこの世で一番と言っていいほど運動が苦手です。“テニスは、どうせ代役がやるから大丈夫だろう”と思っていたら、自分でやらなければならないのだと気づきました。ウィンブルドンでの試合のシーンを撮影した時は、観客に「たとえ彼(オリヴァー)がボールを外しても、彼が勝っているように見えるよう歓声を上げてください!」とお願いしなければなりませんでした。なかなかの体験でしたね…。スポーツ選手によく見られることですが、彼にも勝利への強烈な欲求があります。すべては戦略と、どうやって最終的な結果に辿り着くか。その姿勢が彼の私生活や人間関係にも表れています。ネヴィルには「勝ちたい」という非常に強い衝動が組み込まれているんです。

――ネヴィルとレディ・トレシリアンの関係は?
レディ・トレシリアンはネヴィルのおばなので、母と息子のような関係です。ネヴィルは彼女をどう扱えばいいか、どう操ればいいかを常に心得ており、彼女の方は母親が子どもの過ちに目をつぶってしまうような愛情を持っています。彼は彼女のベッドの上に身を投げ出すほど親密で、少し不穏さすら感じる関係です。ネヴィルの母親は彼を産んだ時に亡くなったので、彼女が母親代わりとなって育てました。

――ネヴィル、オードリー、ケイの三角関係について教えてください。
一般的には三角関係と呼ぶのでしょうが、実際はもっと複雑です。あらゆるアガサ・クリスティー作品に共通することですが、玉ねぎの皮を剥くような感覚で、剥いても剥いても新たな発見があります。この3人の力関係や、それぞれが何を考えているのかが、巧みな方法で明らかになっていくのです。
――ネヴィルとオードリーを結びつけているものは何ですか?
二人は何事においても「勝ちたい」という強い欲求を共有しています。それは、二人がともに育ったことから生まれたものだと思います。まるで(離婚したのによりを戻した)リチャード・バートンとエリザベス・テイラーのような関係ですね。お互いに依存することがいかに醜く危険なものになり得るかを描いています。どれほど代償が大きくても、彼らはこのゲームをやめることができないんです。

――本作の主要テーマは?
最大のテーマの一つは、駆け引きと、生き延びるために何をするかという点です。そこにはサバイバルの要素や、子どもじみた側面もあります。最終的にはすべてがゲームなのです。
――本作が見逃せない理由は?
この作品には非常に際立った独自性があります。クリスティー作品には常に一定の型があり、それが彼女の作品が愛される理由でもあります。私たちの作品もその核心を大切にしていますが、物語の展開の仕方が非常にユニークなんです。

――ネヴィルの衣装について教えてください。
ネヴィルは非常におしゃれです。衣装デザイナーのシャーロット・ミッチェル率いる素晴らしいチームはとても協力的でした。彼は当時最もファッショナブルな人物の一人で、常に最新の服装をしていました。かなり大胆な服装センスだったと思います。本作の冒頭、ロンドンで初登場した場面での彼は都会的な装いですが、ガルズポイントに着いた瞬間から休暇モードになり、水着やテニス用のショーツ姿になります。個人的に一番気に入ったのはテニスの衣装ですね。とてもシックなんです。

――撮影で一番印象に残ったことは?
2週目にデヴォンのビーチで撮影したことです。水に入るのが本当に寒くて大変でした。ただ、(キャスト同士が)ああいう体験をすると、数日間で一気に絆が深まりますね。
――アガサ・クリスティー作品に出演するのはいかがでしたか?
父はクリスティーが大好きでした。『名探偵ポワロ』のDVDボックスセットを買ってあげて、一緒に観ていました。残念ながら父はもう他界していますが、この仕事のオファーを受けた時、父のためにぜひやりたいと思いました。

――自分がアガサ・クリスティー作品の登場人物だったら、生き残ると思いますか?
あまりうまくはいかないと思います。撮影中に『The Traitors(原題)』(「人狼」のようなゲームを通して高額賞金をかけたリアリティ番組)の話題になったのですが、あの番組は本作のプロットと似ている点があります。私は嘘をつくのが本当に下手なんです。俳優は嘘が得意だと思われがちですが、実際の私たちは「自分が真実を語っていると信じてもらう」ことに時間を費やしているんです。ですので私だったらプレッシャーに耐えきれず、すぐにボロが出るでしょう。(ケイ役の)ミミ・キーンならうまくやれそうですが、私自身がこの状況に置かれたら相当苦労すると思います。
『アガサ・クリスティー ゼロ時間へ』(全3話)は、12月21日(日)16:00よりミステリーチャンネルにて一挙放送。
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『アガサ・クリスティー ゼロ時間へ』12月21日(日)独占日本初放送

【没後50年】アガサ・クリスティー傑作12選、2026年1月11日(日)スタート
(海外ドラマNAVI)
参考元:英BBC






