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古典的なミステリーの逆を行く斬新な作品!『アガサ・クリスティー ゼロ時間へ』

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12月21日(日)16:00よりミステリーチャンネルにて独占日本初放送となる『アガサ・クリスティー ゼロ時間へ』は、“ミステリーの女王”の作品群の中で最も斬新と言えるかもしれない。

アガサ・クリスティー ゼロ時間へ
『アガサ・クリスティー ゼロ時間へ』12月21日(日)独占日本初放送

『アガサ・クリスティー ゼロ時間へ』が、12月21日(日)1 …

クリスティーのべスト10選出作品

アガサ・クリスティー ゼロ時間へ

1936年、イギリス。英国テニス界のスター選手であるネヴィル・ストレンジは妻オードリーとスキャンダラスな離婚劇を繰り広げた後、再婚した相手ケイとのハネムーン先として、おばのレディ・トレシリアンが暮らすガルズポイントを選ぶ。しかし、そこへネヴィルと「友人に戻る」ことにしたとして元妻のオードリーも滞在することに。当事者たちの緊張感が徐々に高まる中、レディ・トレシリアンの付き添い人やネヴィルと確執のあるいとこ、ネヴィルの謎めいた従者、一家を長年支えてきた弁護士、精神的に不安定な警部などもガルズポイントに集まってくる。やがて殺人事件が発生し…。

アガサ・クリスティーによる原作小説「ゼロ時間へ」が出版されたのは、まだ第二次世界大戦中だった1944年。探偵小説の多くは殺人事件が起きたところからスタートするが、本来の殺人は実際に事件が起きるよりもずっと前から始まっており、数多くの条件が重なり合い、すべてがある点――物語の結末、つまり“ゼロ時間”――に向かって集約していく、その時に殺人が起きるという趣向の作品だ。いわば古典的なミステリーの逆を行く、こんな意欲的な作品が今から80年以上前に書かれたと聞いて驚く人も多いのではないだろうか。ちなみに、クリスティーが自作べスト10に選出した作品でもある。

アガサ・クリスティー ゼロ時間へ

英BBCで放送された本作も、きちんと事件が起きるまでには原作小説と同じくかなりの時間を要する。とはいえ、もちろんそこまで何も起きないわけではなく、水面下でいくつもの火種が撒かれ、爆発する時を待っている状態で話が進んでいく。登場人物の一人がテニス選手であることから同競技にたとえるなら、お互いにサービスゲームをキープし合い、順当にポイントを重ねているように見えても、実は次のセットに向けた布石が抜け目なく仕込まれているようなものだ。誰が犯人なのかはもちろん、被害者候補も何人もいるため、緊迫した展開に目が離せなくなるはず。サム・イェーツ監督は「まだ誰も死んでいない段階から全員を疑ってほしい。登場人物の誰もが動機を持っているように感じられるはず」と語っている。

アガサ・クリスティー ゼロ時間へ

アガサ・クリスティー ゼロ時間へ

ポワロ作品にも登場するバトル警視が出てこなかったりと、原作小説から変更した箇所もいくつかあるものの、小説の要素をうまく整理しながら再構成し、重要なエッセンスはちゃんと残している。クリスティーの曾孫であり製作総指揮を務めるジェームズ・プリチャードの発言を引用するなら、「愛や嫉妬、家族関係といった現代的なテーマを内包し、とてもモダンな感じを備えた」この作品は、「本当に素晴らしい物語」と言えるだろう。実力派キャストで映像化したその魅力をぜひ味わってほしい。

アガサ・クリスティー ゼロ時間へ

『アガサ・クリスティー ゼロ時間へ』(全3話)は、12月21日(日)16:00よりミステリーチャンネルにて一挙放送。同日19:15より同じく独占日本初放送のドキュメンタリー『デビッド・スーシェと巡るアガサ・クリスティーの旅』(全5話)も含めてお見逃しなく!(海外ドラマNAVI)


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参考元:英Radio Times①Radio Times②

Photo:『アガサ・クリスティー ゼロ時間へ』© Agatha Christie Productions Limited MMXXIV

  • この記事を書いた人

Rafael

海外ドラマNAVI編集部。英国を中心としたミステリーものが好きで、アーサー・コナン・ドイル、アガサ・クリスティーの小説も愛読。ドラマや映画もその系統を優先しがちで、原作と映像化を比較するのも趣味の一つ。意図したわけではないが好みはマイナーで、愛したものがすぐに死ぬ(番組が終わる、キャラが去る)呪いに日々苦しみ中。

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