『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』待望のシーズン3の公開を記念して、エンタープライズ号のクルーを演じる3人のキャスト陣、オルテガス役のメリッサ・ナビア、ウフーラ役のセリア・ローズ・グッディング、ムベンガ役のバブス・オルサンモクンを直撃。シーズンを重ねるごとに人間味と深みを増していくキャラクターたちについて、そしてシリーズの魅力についてたっぷりと語ってもらった。
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『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』オルテガス、ウフーラ、ムベンガ役俳優にインタビュー!
『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』待望のシー …
メリッサ・ナビア、セリア・ローズ・グッディング、バブス・オルサンモクンにインタビュー!
――シーズン3第3話「ケンフォリの死闘」では、ムベンガはシーズン2での戦争犯罪をパイク船長に告白するも、船長は彼を罰することなく、冷静な対応を見せました。こうした展開を、どのように捉えていますか?
バブス:世の中にはルールや法律が存在するけど、残念ながら法律というのは腐敗した人たちによって作られていることもあるはずだ。ムベンガはこの戦争犯罪者に対して強い感情を抱いていたんだと思う。そしてパイクは賢いキャラだ。時には“レッセ・フェール(成り行きに任せる) ”ことも必要だと分かってる。だからムベンガは(殺害したことが)絶対に簡単には済まされることではないけど、それでもパイクなら分かってくれるかもしれないと思ったのかもね。ムベンガは自分がやるべきことをやったという覚悟があって、その上でパイクがどう判断しようと、受け入れるつもりだったんじゃないかな。
ムベンガは、正義がどう下されようと、それを恐れているわけではないと思う。それに、パイクは彼の友人だ。時には、友人だからこそ「それは間違ってる」と言わなきゃいけない場面もある。本当に良い友人はそうやって間違いを指摘してくれる存在だ。二人の間には信頼関係がある。パイクも、ムベンガが軽はずみに決断を下すような人間じゃないって分かってるんだろうね。だから僕は、パイクがムベンガにあえて干渉せず、判断を委ねる余地を与えた点 がすごくいいなと思った。二人の関係って、常に意見が一致するわけじゃないけど、根底ではちゃんとお互いを信じてるんだ。「心配するな、私たちならなんとかできる」っていう信頼感があるんだよ。それが僕の感じたことだ。
--今シーズンでは、クルーたちがそれぞれ違った形で極度のストレスに直面していきます。この作品は、ホラーからコメディまでジャンルを自由に行き来することで有名ですが、ご自身のキャラクターが今後どのように描かれていくのかを知った時、最初にどのような感想を抱きましたか?
メリッサ:私はシーズン3がすごく楽しみだった。オルテガスのことがもっと描かれるし、シーズン2は続きが気になるような終わり方だったから、その答えをファンのみんなもずっと待ち望んでたはず。どう解決するのか、彼女がどう乗り越えていくのか、そして友人たちにどのように支えられるのかをね。でも、友人たちにはどうすることもできない時もあって、そういう時は自分と向き合って、自分自身で答えを見つけないといけない。今シーズンでは、オルテガスの家族に関する一面を描かれていて、それもすごく楽しみにしてたの。それに彼女のラテンアメリカ系としての背景も掘り下げることができた。そして、私の弟ベトを演じてくれたマイナー・ルーケン。彼はオルテガスの弟役として、これ以上ない完璧なキャスティングだった。彼がいてくれて、本当に幸運だったわ。
それらがすべて描かれる中で、改めて『スター・トレック』がファンにとってどんな存在かということも感じたの。ファンは昔から『スター・トレック』にSFや冒険、私たちの未来がどうなり得るかというビジョンを求めてきたけど、同時に、現実の世界で起きていることを映し出すような物語も望まれてた。シーズン3が出てくるまで時間がかかったのは分かってるけど、それでもファンのみんなが新しいシーズンをすごく喜んでくれたのを知って「今この作品が本当に必要なんだ」って感じたの。これから始まる物語は、視聴者がストーリーに没頭できて、今の世界の混乱を忘れさせてくれるような内容になってるわ。同時に、私たちははっきりとしたメッセージを伝えてるわけじゃないけど、私たちのストーリーは今の現実と結びつけて考えることもできる。そういう意味で『スター・トレック』は昔から本当に素晴らしい作品なんだと思う。現実から離れて没頭できるストーリーでもあるし、何度も繰り返し見ることで、現実の世界に置き換えられるような気づきを得られる物語でもある。今シーズンでは、クルーのみんなが本当にさまざまなことを経験する姿が描かれてるの。それに対してファンのみんながどんな反応をしてくれるのか、本当に楽しみにしてる。だって『スター・トレック』という作品の半分はファンに支えられてるでしょ? 私たちが半分作って、残りの半分はファンが完成させてくれる。だから、今シーズンで与えられてもらえたすべての機会にすごく満足してる。もっと見たいって声をあげてくれているファンのみんなにとって、ちゃんと満足できるだけのものになってるといいけど。じゃないと、みんなに責められちゃう。
セリア:それにちょっと便乗する形になるけど、『スター・トレック』が長年にわたってこれほど多くの人に愛されてきた理由の一つは、現実世界を誰にでも受け入れやすい形で映し返してきた点にあると思う。キャラクターたちに対する理解や共感も、無理なく生まれる。だって、誰もがオルテガスやムベンガ、ウフーラに共感できて、彼らの旅路や物語の中に自分の悩みや心の動きが重なる瞬間がある。登場人物たちはとても奇想天外で非現実的な状況に置かれることも多いけど、同時に、私たちの番組の中ではとても人間らしい、地に足のついた体験が描かれてるの。
『スター・トレック』はもともと、社会的・政治的なテーマをSFや冒険の中に巧みに取り込んできた素晴らしいシリーズよ。シーズン3では、そうした要素にこれまで以上にしっかりと向き合ってて、それが本当にワクワクする展開になってる。だからどんな議論が生まれるのかとても楽しみよ。ファンのみんながエピソードの意味について語り合ったり、ストーリーの中でのスターフリートの立ち位置について議論してくれたりするのを見るのが大好き。「私たちはヒーローなのか?それとも自分たちでは気づいていない何かの引き金になっているのか?」視聴者が、それぞれの視点で自由に物語を解釈できるような作りになってることが、今シーズンの最大の魅力だと思う。
一つの物語として起承転結がきっちり描かれているわけではなくて、ある特定の瞬間ごとの断片を切り取って見せてる感じなの。それがすごくクリエイティブで刺激的だし、俳優として、そして『スター・トレック』のファンとしても、シーズン3はこれまでで一番『スター・トレック』らしさ 全開になってると思う。ファンのみんながそれぞれ自由に解釈して「このエピソードは何を意味してるんだろう?」て食卓で語り合ったりすると思うと本当に楽しみ。今シーズンは、そういう会話のきっかけになるようなテーマがたくさん詰まってるから、議論したくなる要素がたっぷりあると思うわ。
メリッサ:それに「完璧なものなんて存在しない」ということがよく分かる。未来で楽しそうに過ごしてるように見えるけど、今の時代でもそうであるように、希望を失いそうになる瞬間もあるでしょ? でもどんな時でも物事が完全に白黒はっきりしてるわけではないし、「何もかもがうまくいってる」なんてことは、実際にはない。だから改めて思うのは、『スター・トレック』はそういう描き方が本当に上手なの。特に本作では、楽しい時間を過ごしてる一方で、同時に何か暗い部分があったり、葛藤を抱えてたり、そういうものがすべて同時に存在してる。そういう描き方が本当にうまくできてると思うし、ファンのみんなにもそれを一緒に体感してもらえるのが楽しみよ。
--ウフーラは『スター・トレック』に欠かせない存在ですよね。彼女の背景が描かれていくのを見るのが本当に楽しみです。こんなに象徴的な役を引き継ぐことには、きっとプレッシャーもあったと思います。新しいウフーラ像について、ファンはどのように受け止めると思いますか?
セリア:すごくいい質問ね。まず、ウフーラは『スター・トレック』の中でもすごく象徴的なキャラクターよね。彼女を演じるということは、毎日が挑戦の連続よ。シーズン3では彼女の内面が少しずつ明かされていくから、長年のファンにとっても「これがウフーラだ」と感じられるような部分が見えてくると思う。日によって感じ方が変わるの。今ちょうどシーズン4を撮影してるんだけど、そっちはかなり壮大な展開になってる。それに比べてシーズン3はすごくパーソナルで距離が近くて、ユーモアも感じられる内容なの。この役を通して新しい視聴者に彼女のいろいろな一面を見せられるのは、本当に特別なことだと思ってる。
この物語を語るうえで、自分自身の力を信じられていること、そしてクルーやチーム、脚本家やプロデューサーたちからの信頼を得られていることは、本当に幸運だと思ってる。特にシーズン3では、彼女が自分の心や共感に従って動くということの意味と向き合う姿が描かれてるし、少尉 として自分の居場所をしっかりと確保し、その肩書きを堂々と名乗るようになる姿も描かれてる。
彼女は常に新しい力を発揮し続けてて、すごく多面的な天才なの。シーズン1の時にもそう呼ばれてたけど、そういった彼女のさまざまな面を、自分という存在を通して見せていけるのは、一生に一度の機会だと思ってる。ファンのみんなも、私たちが今回挑戦してる大きな飛躍をきっと楽しんでくれるはず。毎シーズン「今回はこれまで以上のことをやる」って言ってるけど、シーズン3でもやっぱり、さらにスケールアップしてるって感じるわ。でも今回はこれまで以上に彼女が自分の存在感を発揮する姿が描かれてるの。髪を下ろし、深く息を吸って、自信を持って歩く。そして、これまでには見せてこなかった形で、自分自身の能力や仲間たちの力を信頼して頼ってる姿が描かれてる。くどく聞こえるかもしれないけど、新しいファンの人たちは、他の『スター・トレック』作品を見ていくうちに彼女の新しい一面を発見すると思う。TOS(オリジナルシリーズ) をもっと見ていけば、「ああ、『スター・トレック』でこの始まりが描かれてる」って気づく瞬間があるはず。自分が演じるウフーラとニシェル・ニコルス が演じたウフーラがつながっていくなんて、本当に一生に一度の機会だと思う。心から感謝してるし、私はものすごく幸運だわ。
--第4話「宇宙冒険の時間」はとても楽しいエピソードでしたね。本エピソードについて教えてください。
メリッサ:私個人として言わせてもらえば…。私はウィッグが好きじゃないの。あのエピソードのあとは、さらにウィッグが嫌いになった。でもファンのみんなが楽しんでくれたらうれしいわ。あのエピソードではウィッグを二つも使ったの。どうかしてるわ。
セリア:でもすごく似合ってたわよ。
メリッサ:でも、ジェス・ブッシュ やポール・ウェズリーと一緒に撮ったシーンのことはすごく覚えてて、あれは今まで自分が関わったテレビの仕事の中でも特に印象に残る撮影だった。制作側から「思いきりやっていいよ」って自由をもらえたから、本当に全力でやったの。だからすごく楽しかった。またウィッグをかぶるかって?もし同じくらい楽しいことのためだったらやると思う。とにかく楽しかったわ。二人はどうだった?
バブス:本当に楽しかったよ。めちゃくちゃ笑った。撮影現場であんなに笑ったのは久しぶりだったと思う。もしかしたら今までで一番かも。とにかくすごく面白かった。あのエピソードを撮ってた期間中は、毎日「こんなことをしてお金をもらってるなんて信じられない。あり得ないだろ」って思ってたくらいだ。
本当に笑いが止まらなくて、すごく面白かった。それにジョナサン・フレイクスが監督を務めてくれて本当に最高だったし、とても特別な経験だった。僕たちは本気で遊んだよ。こういう作品は遊び心が大事だ。あのエピソードでは、その素晴らしい要素で本当に自由に遊ばせてもらえた。
メリッサ:ええ、ジョナサン・フレイクスは本当にいろんな意味で『スター・トレック』の精神を体現してると思う。彼が現場にいて監督もして、しかも私たちと同じ役者でもあるっていうのがすごく心強いし、彼は『スター・トレック』の世界を本当に熟知してる。あのエピソードのぶっ飛び具合には“これぞまさにスター・トレックの中のスター・トレックだ”って思ったわ。
バブス:それに、彼は撮影そのもの、映像そのものに対する情熱もすごい。撮影やスクリーンへの情熱という意味では、僕もそうだし、たぶんみんなそうだと思うけどね。彼が「アクション、アクション、アクション、アクション!」って言うたびに鳥肌が立ったよ。あのクレイジーな家の中とか、色彩とか衣装とかがすごく美しかった。あのエピソードの撮影は本当に特別なものだったと思う。
セリア:フレイクスは本当に素晴らしい監督よ。俳優が監督を務めてくれるのは、いつだってありがたいことだと思う。私たちがエピソードをどう理解していくか、俳優の思考回路をちゃんと理解してくれてるから。『スター・トレック』の俳優、しかも歴史あるキャラクターを演じた俳優が、『スター・トレック』のドラマ、それも私たちの作品の、あんなにバカバカしくて楽しいエピソードを監督するなんて。フレイクスはあのエピソードの監督にぴったりだった。彼と一緒に仕事をすると毎回テンションが上がるの。彼が現場に持ち込むあのエネルギーに引き込まれずにはいられない。まるでエスプレッソみたいな人よ。彼は背中にバッテリーを入れてくれるような存在だから、私たちは普段の番組ではなかなかできないような自由な演技ができる。『ストレンジ・ニュー・ワールド』には真面目で共感を大切にするエピソードが多いけど、フレイクスが来ると“自分たちが楽しめるものを作ろう。“思いっきり笑おう、そしてカメラがパラマウント用に何か使えるものを撮ってくれることを祈ろう”っていう感じになるの。彼と一緒に仕事ができたのは本当にうれしくて楽しい経験だった。私はフレイクスが大好きだし、みんなもそうだと思うわ。
『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』シーズン1~3は、Paramount+で独占配信中。(海外ドラマNAVI)