
ここ近年、イギリスではドラマ業界が苦境に立たされている。その状況を改善するべく、クリエイティブ業界の重鎮たちが政府に対して制作費の減税と動画配信サービスへの課税を訴え、この動きにNetflixが対抗する姿勢を見せている。
Netflix側は月額料金の値上げを視野に
米Varietyによると、英国のテレビ業界は高騰するコストや不況に苦しむ広告市場、地元放送局全体における大幅な資金削減などで危機に面している。
年々厳しくなる状況から脱するために、英国クリエイティブ業界の重鎮たちが国会議員に、2024年に発表されたインディペンデント映画に対する新たな税額控除(IFTC)のように、国内のハイエンドテレビに対する税制優遇措置の強化を求める報告書を提出。その書簡で、「危機に見舞われている英国の質の高いドラマ部門に対する緊急支援策として、制作費の減税と動画配信サービスへの課税を実施するべきだ」と訴えている。
提出された資料では、英BBCの歴史ドラマ『ウルフ・ホール』のピーター・コズミンスキー監督が、続編『Wolf Hall: The Mirror and the Light(原題)』は主演マーク・ライランスの出演料を大幅にカットしなければ製作できなかったと訴えており、どれほど英ドラマ製作の資金調達が危機的状況にあるかを浮き彫りにしている。
この報告書では、英国のプロデューサーの創造力を活用して利益を上げている動画配信サービスに対し、「英国の視聴者が関心を持つドラマ」に資金を提供するために、英国で得た加入者収入の5%を文化基金に拠出するよう求めている。
それを受けて、英文化・メディア・スポーツ委員会はストリーミング事業者に対し、英国における加入者収入の5%を課税すると勧告しており、業界が1年以内に自主的に拠出しなければ、政府が介入してこれを法定化すると通告した。
この委員会の調査報告書に対してNetflixは、「英国は、我々にとって北米以外では最大の製作拠点であり、今後もこの状態を維持したい」と主張。「課税は競争力を低下させ、最終的にコスト増加を負担する視聴者に不利益をもたらす」とし、英国のストリーミング課税が承認されれば、月額料金を値上げすると答えている。
この報告書は18ヵ月に及ぶ調査を経て発表されており、税額控除や人工知能、英国民間放送協会(BFI)への資金提供といった分野についても勧告を行っている。
(海外ドラマNAVI)
Netflix Will Hike Prices If UK Introduces Streamer Levy https://t.co/eLYirQ88f2
— Deadline (@DEADLINE) April 9, 2025