10年前から激変!英国ドラマの製作費が米国のせいで高騰した理由とは?

16世紀に英国のヘンリー8世の側近として活躍したトマス・クロムウェルを主人公とする2015年の歴史ドラマ『ウルフ・ホール』。もともとリミテッドシリーズとして製作された同作はこの度シーズン2が作られたが、その10年の間に英国ドラマの製作費が高騰し、プロデューサーたちを悩ませているという。米Varietyが報じた。

Netflixの莫大な資金投入で様変わり

『ウルフ・ホール』でプロデューサーを務めるコリン・カレンダーがシーズン2の試写会で、ここ10年間における英国ドラマ製作の状況の変化に言及している。

「シーズン1を製作してから10年が経ちますが、英国におけるドラマ製作費は天井知らずで、飛躍的に増えています。皮肉なことに、米国からの英国内への投資は業界に好都合だと言われているにもかかわらず、深刻な問題になっています。(米国の)動画配信サービスが、タレントやロケ地などに多額の資金をつぎ込んでいるからです。それにインフレや生活費、動画配信サービスのせいで異常なほど高額になったタレントへの報酬などを考慮すると、この規模のドラマの製作は、英国のプロデューサーにとって非常に困難なものになっています」

英BBCでシーズン1がお披露目された2015年といえば、Netflixが2013年に最初のオリジナルシリーズ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』シーズン1の全13話を一挙に配信して話題を呼んだ2年後。「イッキ見」という言葉が定着しつつあった時期で、その当時はDisney+(ディズニープラス)やApple TV+もまだ存在していない、動画配信サービスの黎明期だ。

その後、次々と新しい動画配信サービスが生まれて競争が激化し、特に時代の一歩先を行っていたNetflixは競合とさらなる差をつけるべく、コンテンツ製作に莫大な資金を投入。豪華絢爛な衣装や舞台美術で一話あたりの製作費が1400万ドル(約2100億円)を超えると言われた英王室ドラマ『ザ・クラウン』が大ヒットとなり、そういった作品から誕生したスターの出演料は、当然ながらシーズンを重ねるごとに増大していく。

その結果、カレンダーをはじめとする英国のプロデューサーたちが、製作費の高騰に頭を悩ませるようになってしまったようだ。

なお、『ウルフ・ホール』シーズン2には、トマス・クロムウェル役のマーク・ライランス(『ブリッジ・オブ・スパイ』)をはじめ、ヘンリー8世役のダミアン・ルイス(『HOMELAND』)、ヘンリー8世の3番目の妻ジェーン・シーモア役のケイト・フィリップス(『ピーキー・ブラインダーズ』)、トマス・ウルジー枢機卿役のジョナサン・プライス(『ザ・クラウン』)が続投。

シーズン2でのダミアンは、体重が増えたヘンリー8世を演じるためにパッドを着用した。試写会のインタビューで、シーズン2でどのようにヘンリー8世を演じたかについて質問されたダミアンは、一言「肥満です」と回答。パッド入りの衣装のおかげで英国の寒い天候から守られていたという。「彼は体格に貫録があるし、何を考えているのかも予測不可能です」と語っている。

『ウルフ・ホール』シーズン2は、11月10日(日)に英BBC OneとBBC iPlayerにてリリース。シーズン1はAmazon Prime Video(アマゾンプライム)にて配信中だ。(海外ドラマNAVI)

参考元:米Variety