
“ミステリーの女王”ことイギリスが誇るミステリー作家アガサ・クリスティーの生んだ名探偵の一人、ミス・マープルのストーリーが再びドラマとしてよみがえるようだ。英Radio Timesが伝えた。
ポワロにも負けない?「過小評価されている」
1940年代の英国、セント・メアリー・ミード村に暮らすマープルは、一見どこにでもいるようなおとなしい老婦人。しかし、村でいろいろな人を見てきた彼女は人間観察に優れており、情報収集能力と洞察力も生かして、素人探偵として様々な事件を解き明かしていく。クリスティーが自身の祖母をモデルにしたと言われ、作者もお気に入りのこのキャラクターのストーリーはこれまで何度も映画やドラマになってきた。
そんな中、クリスティーの曾孫で、近年のクリスティー作品の映像化に関わってきたジェームズ・プリチャードが、ミス・マープルのドラマ化が進められていることを明かした。
ミス・マープルの作品といえば、本国イギリスで1960年代前半にマーガレット・ラザフォード主演で4本の映画が作られたのをはじめ、BBCで1984年から『ミス・マープル ジョーン・ヒクソン版』、ITVで2004年から『アガサ・クリスティー ミス・マープル』と、2つの人気シリーズが放送された。そのほかにもラジオや舞台、さらには日本でポワロとともにアニメ化されるなど、様々なメディアで展開されてきた。
プリチャード自身、ミス・マープル作品の中で特に評価の高い『ミス・マープル ジョーン・ヒクソン版』をプロデュースしたことも。さらに2016年のBBCドラマ『アガサ・クリスティー 検察側の証人』をはじめ、ここ10年ほどの間に曾祖母の作品を次々と映像化。2017年からケネス・ブラナーが監督・主演を務めるエルキュール・ポワロの映画シリーズにも製作総指揮として名を連ねる。
プリチャードはRadio Timesに対し、最近イギリスのドラマ界でよく作られている“コージー・クライム”(性的描写や暴力描写がなく、気楽に楽しめる犯罪捜査ドラマ。謎解きを担うのは素人探偵)ものについて意見を聞かれた際、『そして誰もいなくなった』『アガサ・クリスティー 蒼ざめた馬』といったBBCによるクリスティー作品のドラマ版で脚本を執筆したサラ・フェルプスを引き合いに出しつつ次のように語った。
「コージー・クライムという表現は嫌いだね。あれは私の曾祖母が描いたものとは違うと思う。彼女の本にはユーモアがあるし、犯罪ドラマにはサラのような暗さが必ずしもなければならないとも思わない。もうすぐリリースされる(クリスティー作品である)『ゼロ時間へ』のドラマ版は少し軽みがあるし、そういうスタイルで今後は進んでいくだろう」
その話の流れで、プリチャードは次に取り上げるのはミス・マープルものになるだろうと発言。そのプロジェクトに誰が関わるのかといった詳細は明かさなかったものの、この素人探偵に対する熱い思いを口にした。
「これ以上ないほどにワクワクしている。すごく長い時間をかけて、ミス・マープルの新たな作品を生み出そうとしてきたからね。一般的にはポワロの方が人気かもしれないが、5年前にミス・マープルの小説シリーズを読み直した時、どのくらい素晴らしいかに気づいたんだ。アガサ・クリスティーによる小説の歴代トップ10を選ぶとして、ポワロものでランクインするのは3、4作品だろうけど、ミス・マープルも少なくとも2、3作品は入るはずだ。彼女は過小評価されているよ」
クリスティーは数多くの強い女性キャラクターを生み出したが、その筆頭がミス・マープルだと主張するプリチャード。幼い頃に会ったことがあるという曾祖母を次のように描写した。「彼女はとても興味深い女性だ。恥ずかしがり屋で内気かと思えば、論理的で説得力にあふれた面を見せることもあった。フェミニストだったとは思わないけど、自分はどんな男性とも渡り合えると考えていただろうね。そういう女性こそが彼女が描いていたキャラクターなんだ」
2015年に米CBSが進めていた若きミス・マープルを主人公にしたドラマシリーズは実現しなかったようだが、新たに作られるミス・マープルものが果たしてどんな内容になるのか、続報を待ちたい。(海外ドラマNAVI)
Agatha Christie's #MissMarple is making a return – great-grandson confirms new dramahttps://t.co/CH6bsVmJC9 pic.twitter.com/Hh2UwstjfM
— Radio Times (@RadioTimes) February 25, 2025
参考元:英Radio Times