徳川家康や石田三成、ウィリアム・アダムスといった歴史上の人物にインスパイアされた戦国ドラマ『SHOGUN 将軍』が、2月27日（火）よりDisney+（ディズニープラス）の「スター」にて独占配信となる。
『ゲーム・オブ・スローンズ』との類似点
作品の舞台は1600年（慶長5年）の日本。世を統治していた太閤が1年前に亡くなって以来、その幼い息子が成人するまでとして五大老が後を任されたが、関東の大名で太閤からの信頼も厚かった吉井虎永とほかの4人の間で覇権をめぐり緊張感が高まっていた。4人が結託したことで虎永は絶体絶命の状況へと追い詰められるも、英国人航海士のジョン・ブラックソーン（のちの按針）が虎永の領地へ漂着したことで、風向きが変わり始める。愛する者を守るため、大きな権力を手にするため、自分の信じるもののため、なんとか生き抜くため…、主君が倒れればその家臣たちもみな死ぬことになるという状況の中、キリスト教徒であるカトリックとプロテスタントの対立も加わり、それぞれの思惑や利権がさらに複雑に絡み合うことに。陰謀と姦計渦巻く世を虎永は制することができるのか？
この作品は1980年にもハリウッドでドラマ化されており、その際には三船敏郎や島田陽子が出演、ナレーションをオーソン・ウェルズが務めた。当時としては珍しく日本の描写が正しいと評価される同作は“ショーグン現象”と呼ばれるほどの大ブームをアメリカに巻き起こし、エミー賞やゴールデン・グローブ賞を受賞している。
それから40年以上の時が経って作られた『SHOGUN 将軍』は、時代劇のプロフェッショナルも参加しているだけあって、正しい日本が描かれている。建物や服装、小道具、仕草や風習、言葉遣いが時代考証の観点から沿ったものになっているだけでなく、当時の拷問方法や異国の人に対する偏見も包み隠さず描かれており、正しい日本を描くということに対する制作陣の本気度が伝わってくる。そこにハリウッドならではのスケールの大きさと莫大な予算がプラスされ、作品のテーマ同様に、西と東が出会って素晴らしい結果がもたらされた。
時代劇ではあまり見られない宗教色が加わっているという点では、遠藤周作の原作をマーティン・スコセッシ監督が映画化した『沈黙 －サイレンス－』を彷彿とさせる。今回は宗教上の信条だけでなく、日本との貿易権を独占するといった利権も絡んでおり、『ゲーム・オブ・スローンズ』に出てきた七神正教と権力者との繋がりに似ている。ほかにも、陰謀だらけの群像劇、残酷な描写を含めて『ゲーム・オブ・スローンズ』との共通点は多く、それも本作がプレビュー時点でRotten Tomatoesにて100％の評価を得ている一因かもしれない。ちなみに最初の2話でメガホンを取ったジョナサン・ヴァン・タルケンは先日『ブレードランナー』ドラマ版の監督に起用されたが、その前任は『ゲーム・オブ・スローンズ』でエミー賞監督賞に2度ノミネートされたジェレミー・ポデスワだった。
作品がリアリティな理由の一つは、原作者ジェームズ・クラベルの経歴にある。1921年生まれの彼は、第二次世界大戦中にイギリス兵として日本と戦ってシンガポールで捕虜となった。その経験から日本をはじめとしたアジアに興味を持つようになり、アジアが舞台の小説を何冊も執筆。「自分は小説家ではなくストーリーテラー」だと語っていたクラベルは、スティーヴ・マックィーン主演の名作映画『大脱走』の脚本を執筆したほか、シドニー・ポワチエにアカデミー賞主演男優賞をもたらした『いつも心に太陽を』で監督・製作・脚本を担当するなど、ハリウッドで活躍してきた。
真田はハリウッドへ進出した理由の一つとして、「これまで、作品によっては日本人から見ると“え？”って思ってしまうような日本人像が多々あったので、なんとかそれを僕たちの世代でクリアしたい」と以前説明していた。彼が海外の作品に出演する時の判断基準は日本生まれの俳優にふさわしい役か否かで、それというのも「自分のため、そして次の世代のための未来を作りたい」から。多くの映画やドラマで正しい日本を伝えるべく、俳優の枠を超えて尽力してきた彼が、ハリウッド製作の連続ドラマで初の主演、プロデューサーとして満を持して届ける『SHOGUN 将軍』。「この作品に俳優としてプロデューサーとして関われたというのは自分にとって大きいことで、非常に重要な一歩を踏み出せたのかなという気がします」と本人が語る作品の完成度をぜひ見届けてほしい。
『SHOGUN 将軍』（全10話）は、2月27日（火）よりDisney+（ディズニープラス）の「スター」にて独占配信スタート。初回は2話配信、その後は毎週火曜日に一話ずつ配信される。（海外ドラマNAVI）
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Photo:『SHOGUN 将軍』2024年2月27日（火）からディズニープラスの「スター」にて独占配信 ©2024 Disney and its related entities Courtesy of FX Networks
