『アウトランダー』 女の願望を開拓する危険な冒険 ハマったら、引き返せないかも!?

たまには夢を見たいときもあるさ。
毎日、何があるわけでもなく、そこはかとなく退屈で、
何かあったらあったで、これまた大変で...。
最近、疲れやすいな...年齢のせい?
などなど、自問自答しながら生きていれば、
たまに夢を見たくなることも、そりゃあ、ありますとも。
女ですもの
だけど、夢の国のプリンセスを夢見るには、大人になりすぎ、
あからさまなセクシー至上主義にはついていけない。
女子力、女子力と、世間で騒いでいるけど、
それって一昔前の花嫁修行を今風に言っているだけじゃないの?
と、少しやさぐれ気味の方にこそ、見てほしいドラマだ

 

女が求める真の女ヒーローとは?
ただのメロドラマと侮るなかれ。
これは、女による、女のための冒険物語だ
インディ・ジョーンズやハン・ソロにも負けない、冒険野郎クレア。
女の勇気が開花されるこの物語には、本当に強い女になるための秘策が隠されている。女の願望解体新書的なドラマなのだ!

さらりと楽しむもよし、よりディープに楽しむもよし。
女は自分の隠れた願望を発見し、男は女の願望を刺激する方法を発見できるドラマだ。あなたは、どのステージまでハマれるか!?

 

■ステージ1:
別世界に飛んで行きた~い願望を満たす
美しい歴史ファンタジー!

世界的ベストセラー『時の旅人クレア』を完全ドラマ化した本作。原作のファンが多いことから、製作陣は絶対に期待を裏切れない。というわけで、おのずと脚本とキャスティングに磨きがかかる。しかも、スコットランドでロケ撮影!
神秘の森が広がるハイランド地方の風景だけでも、別世界を楽しめる

1945年、第二次世界大戦中に従軍看護師だったクレアが、歴史学者の夫フランクとともに、スコットランドで休暇を楽しんでいるところから物語は始まる。それは夫との歴史探訪のような旅で、クレアは夫からハイランダーたちの悲しい歴史を聞く。この歴史の知識と看護師の技術のおかげで、クレアは過去に飛ばされても、うまく生き延びることができるというのがミソ。

 

さて、この物語で重要なカギとなる歴史的事実が、1746年のカロデンの戦いだ。
この戦いで、スコットランドの王位復権のため戦ったジャコバイト軍(ハイランダーたちが主に参加)は、グレートブリテン王国に破れ、壊滅。この敗戦をきっかけにスコットランドの歴史は大きく変わることになる。クランと呼ばれる氏族は強制解散し、ハイランダーたちの言語であるゲール語も禁止...。それはスコットランド人にとって屈辱の歴史でもあった。
クレアは、この戦いの前、1743年のハイランド地方にタイムスリップする。そこでハイランダーたちに救われるのだが、彼らはもうすぐ滅びゆく人々...。どうしようもない歴史の流れが、クレアの葛藤を一層、深くしていく
スコットランドをイギリスの地方だと思っていた方は、ぜひ、このドラマでスコットランドの誇りを知ってほしい

 

■ステージ2:
男に守られたい願望を満たす
泥まみれのハイランダーたち!

ハイランド地方の男たちは、ハイランダーと呼ばれ、体が大きく、勇猛果敢な戦士として知られていた。もちろん、戦士としての誇りもハンパない。戦うことが男の仕事であり、氏族(クラン)を守ることが男の義務。そんなザ・男たちだ。
そして、基本、いつも泥だらけ
もはやクマ。ヒゲも髪もぼうぼうのクマ集団だ。
そして、事あるごとに取っ組み合い、ケンカし、じゃれ合う。子グマかっ!とツッコミたくなる。
上品なイングランド人のクレアにしてみれば、ただの野蛮で粗野な男たち...。
しかし、彼らは愛する者、仲間を命がけで守るのだ。
口は悪いが、行動はストレート。汚れた顔は、行動の証なのだ。
クレアが、ジェイミーの傷の手当をしてあげると、心から感謝して、彼女になつく。そして、ジェイミーは、忠犬ハチ公よりも、けなげにクレアを守っていく。泥だらけになって...。

 

ジェイミーは、女性の理想を集約したキャラクターだ。寛大で、誠実で、命がけで恋人(妻)を守る。わがままだって受け入れ、困った時はいつでもハチ公のごとく駆けつけてくれる。忠犬ジェイミーの銅像を建てたいくらい、ありがたい男だ。
そんな理想のイケメンキャラだが、オーディションの時に泥メイクをして選んだのではないかというぐらい、ジェイミーを演じるサム・ヒューアンは、泥が似合う。泥まみれの方が男っぽいのだ
泥もしたたるいい男賞------なんてものがあったら、間違いなく彼に贈りたい。

いざという時には、必ずなりふり構わず駆けつけてくれる。そんな男は、今も昔も変わらず、ザ・女の理想なのだ。

もし、こぎれいなイングランド兵よりも、泥だらけのハイランダーたちの方が、魅力的に思えてくれば、また一歩、この世界の深みに進んだ証拠!
スカートみたいだと思っていたキルトが、最高にセクシーに見えたら、完全にとりこ。ちなみにキルトの下には何も身につけていなかったそうだが、そのあたりも大人の女性たちは、ドラマでこっそり確認してほしい。

 

■ステージ3:
恋愛ゲームに巻き込まれたい願望を満たす
ジレンマだらけの三角関係!

真実の愛にたどり着くためには、試練が伴うもの。
時のいたずらで、夫フランクと離ればなれになってしまったクレア。
夫と若いハイランダーの間で揺れ動く? そんな甘っちょろいものでは終わらないのが、この作品。
最初にクレアのメス性を刺激するのが、若いメスだ。
目をキラキラさせた小娘が、彼女の忠犬ジェイミーにすり寄ってきたのだ。
クレアは手に職つけたキャリア姉さん。いわばハイスペック女子だ。
若くて甘えるだけが取り柄の小娘なんかに負けていいわけがない。
メラメラとやる気が出てくる、この女のリアル!
スキスキスキスキ~とキラキラ光線を出す小娘に対し、
クレアは大人の女らしく、静かに"誰かに守ってもらわないと..."という危なっかしい雰囲気を演出していく。
まじめな淑女の顔をして、なかなかやりおるな、クレア。
優しいジェイミーはもうイチコロ。コロコロっとクレアの懐に落ちていく。(何しろ女性経験がないものだからすれてない。純粋なのだ)

 

しかし、さらに強敵が出現する。
それが、ジャック・ランダル
この男が、ドSの悪魔なのだ。
しかも、夫フランクの先祖で、顔までそっくり。殺してやりたいぐらい憎たらしいが、殺しちゃったら夫フランクが生まれてこない...?というタイムトラベルものならではの縛りがある
そして、このランダルが狙うのが、クレアではなく、なんとジェイミーなのだ。
夫そっくりの男が、自分の今の夫に興味津々なんて...もうわけがわからない。この三角関係にハマったら、もう最後まで見届けるしかない!

 

■ステージ4:
強い女になりたい願望を満たす、
愛のための戦い!

この作品が描く、女の究極的な願望は、「強くなりたい」だ。
守られているという確信が、女をさらに強くするのだ。

クレアとジェイミーの関係は、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットに通じるところがある。ブラッドに守られている確信が、アンジーをますます強く美しくしなやかにしている、あの感じ。
クレアの魅力は、「守ってお願い」ではなく、「守られている、だから私はどんどんイケる」という強さに対するどん欲さにある。

 

正直、クレアはトラブルメーカーだ。男たちにとって、クレアの要求は、ただの"ムチャぶり"にしか見えない。
男性優位の封建社会に、悪魔や妖精など昔ながらの風習に縛られた土地柄、魔女裁判の名残りなどに対し、20世紀の女であるクレアは知識と技術で戦っていく
よそ者が、溶け込むための戦いとも言える。
しかし、ジェイミーとの愛を育み始めると、クレアはまったく違う次元の強さを得ていく
クレアにとって愛は名詞ではなく、動詞になっていくのだ。
彼女は、持ち物のように愛をキープして、しがみついたりしない。
どんどん愛していくのだ。ラブシーンを重ねるたびに、クレアの無敵感がグレードアップしていくのが面白い。
そうして彼女は「愛する」技を磨いていく。
「愛される」技ではなく

ただ、愛する人と一緒に生きていくために。
それは古風な願望かもしれない。しかし、普遍の願望でもある。
命をかけて男を愛する...そんな愛を受ける男も大変だが、
もし、そういう男がいれば、まさしくこれぞ女の夢。
久々に、惜しげもなくベタに、どこまでもベタに女の願望をぶつけたドラマが登場した。

愛こそ、最高の冒険なのだ

素直にそう叫び、自分の中のロマンチック・モードを高めていこう。
迷いなく、人を愛せる人が、史上最強の生物なのかもしれないと、感じさせてくれるドラマだ。

 

Photo:『アウトランダー』
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