存続危機の『セサミストリート』をNetflixが救済

1969年の誕生以来、50年以上にわたって本国アメリカをはじめとした世界で視聴されてきた子ども向けの教育番組『セサミストリート』。2024年12月にワーナー・ブラザース・ディスカバリーが新エピソードの契約を更新しないという選択をしたことから番組存続も危ぶまれていたが、6ヶ月経ったこの度、Netflixに救済された。米TV Lineなど複数のメディアが報じている。

『セサミストリート』50年超の歴史は終わらない!

『セサミストリート』の制作会社Sesame Workshopは、「喜ばしいことに、『セサミストリート』の新しいエピソードが、Netflixで全世界に向けて、PBS系列で米国内でも視聴可能になります。Netflix、PBS、そして公共放送協会(CPB)という、民間企業と公共機関が珍しくタッグを組んでサポートしてくれるおかげで、『セサミストリート』は今後も世界中の子どもたちが賢く、強く、優しく成長するための一助となれるのです」と声明を発表した。

Netflix側は、公式Xにクッキーモンスターの動画を投稿。何でもバリバリと食べてしまうクッキーモンスターが、Netflixのロゴでもある「N」をいつものように豪快に平らげる姿が映し出された。

Netflixのもとで作られるシーズン56は、「フレッシュなフォーマット変更」をすると言われている。キャラクターがほかのキャラクターやゲストと話し合うのではなく、画面を向いて直接視聴者に話しかけたり、実写にアニメーションを組み合わせたり、視覚効果が盛り込まれたりするようだ。

Netflixが『セサミストリート』に関わるのはこれが初めてではなく、人気キャラクターのエルモに長年命を吹き込んできた人形師(パペティア)に焦点を当てたドキュメンタリー『セサミ・ストリートへ愛を込めて 〜エルモに命を吹き込んだ人形師』が配信されていた。

『セサミストリート』は、アメリカの公共放送PBSで長年放送されてきた国民的番組。しかし2016年、新作エピソードの提供はケーブル局のHBOへと移行(数ヵ月遅れでPBSでも放送)。2020年からは動画配信サービスのHBO Max(現Max)でリリースされてきた。しかし昨年末、HBO、Maxの親会社であるワーナー・ブラザース・ディスカバリーが、『セサミストリート』とのこの契約を更新しないという決定を下したことで、長年続いてきた番組の未来は一転して不透明なものとなった。

当時、Maxの広報担当者は契約終了の理由について「我々は大人向けおよびファミリー向け作品の制作に注力することを優先課題としており、『セサミストリート』の新エピソードを手掛けることは優先事項ではなくなりました」と述べていた。Maxはもう新たなエピソードを制作しないものの、アーカイヴ配信は2027年まで続けるという。

過去には『ゲーム・オブ・スローンズ』との異色コラボも

『セサミストリート』の長い歴史の中で数々の著名なセレブがカメオ出演しており、ナタリー・ポートマン、ジム・キャリー、ルピタ・ニョンゴ、ライアン・レイノルズ、エド・シーラン、ニック・ジョナス、ジョン・レジェンド、ワン・ダイレクション、ブルーノ・マーズ、大坂なおみらが、エルモやクッキーモンスターとともに教育的メッセージを伝えてきた。

中でも印象的だった一つが、人気ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』とのコラボレーションだ。エルモが『ゲーム・オブ・スローンズ』の世界にひょっこり現れ、サーセイ・バラシオン(レナ・ヘディ)とその弟ティリオン・ラニスター(ピーター・ディンクレイジ)に対し、互いに敬意を払うことの大切さを説くという、面白いクロスオーバーが行われていた。

今回のNetflixとの契約では、『セサミストリート』の新エピソードが全世界で配信されるだけでなく、過去のエピソードも2025年後半に登場予定とのこと。(海外ドラマNAVI)

参考元:米TV Line米People①米Hollywood ReporterPeople②