打ち切りになったNetflixシリーズが他局で救済されない大人の事情とは

毎週多数の新作をスタートさせるだけでなく、『サバイバー 宿命の大統領』や『LUCIFER/ルシファー』のように他局の番組を救済することも珍しくない大手動画配信サービスのNetflix。しかし、数多くあるNetflixオリジナルシリーズが打ち切りになった場合に、他の放送局や配信サービスで継続されるというパターンは耳にしたことがないだろう。そこには大人の事情があるようだ。

Netflix作品が終了する際の契約で…

米Deadlineが報じたところによると、Netflixオリジナル作品が終了する際、他の配信サービスでは一定期間配信できない契約をしているのだという。その期間は、通常2~3年。昨年シーズン2を最後にキャンセルが決定したCBS TV Studios製作の『アメリカを荒らす者たち』は、一度は同社の配信サービス、CBS All Accessで救済されると見られていたが、どうやら同作は打ち切り後から5~7年間は他で配信できない契約になっているとも言われており、それだけ長いブランクがあった後にシーズン3を作るのは現実的ではない。だが、配信サービスでなくいわゆる全国ネットの地上波であるCBS、NBC、ABC、FOXなどで救済される場合はこの限りではないようで、わずか数ヵ月後には放送できることになっているという。

ドラマシリーズの人気の尺度に変化

ドラマシリーズの人気の尺度は、かつてはその継続年数だった。シーズン10まで続くような長寿番組であれば記録的大ヒットという位置付けだったが、Netflixでは話題をさらうような大人気作でもシーズン2、3程度で終了することも多々ある。それはやはり予算が関係しているようだ。Netflixは、制作費に30パーセントを上乗せした金額を製作側に前払いすることにしている。同社は顧客からの配信料を差し引いた後、この金額を支払うので製作スタジオとしては初日から最低でも損益分岐点、または利益が出ていることになる。

従来のテレビ局のやり方では、まだ作品の人気度がわからない製作段階初期は赤字であるため、シーズン1は基本的には赤字となってしまうことが多い。よってNetflixのやり方は製作側にとってはありがたいと言えるだろう。作品によっては、国外でのセールスや、DVDなどのコンテンツとしての収益もあるため、そちらからの利益も追求できる。

シーズンごとにボーナスが!?

さらにNetflixの契約ではシーズンごとにボーナスが含まれており、それはシーズンを重ねるごとに増えていく。シーズン1時点のボーナスはそこまで多くはないが、シーズン2の後ではかなりの額になり、シーズン3以降では急上昇。特にNetflixオリジナル作品ではそれが顕著で、いきなり何億円という額にまで上がるようだ。外部スタジオ製作の作品に関してはNetflixオリジナルよりも20パーセントのコストがかかるが、シーズン更新ごとの支払い増加はそれほどでもないという。とはいえ、それでもシーズン3、4以降ではどんどん上昇していく。

そのようなコスト面での事情があることから、Netflixを代表するヒット作となった『ハウス・オブ・カード 野望の階段』はシーズン6で、『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』はシーズン7で終了することが決まったのではないかと同サイトは伝えている。(海外ドラマNAVI)

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Netflixオリジナルシリーズ『サイテー!ハイスクール』、『センス8』『トラベラーズ』『ワンデイ -家族のうた-』