
米AMCで、2007年より7シーズンにわたって放送された『MAD MEN マッドメン』は、番組の終了から10年が経った。リブートやリメイクで溢れ返っているハリウッドで、なぜ『マッドメン』は復活していないのだろうか?
満足のいくエンディングだった
『マッドメン』は1960~70年代を舞台に、ニューヨークの広告代理店で敏腕クリエイティブディレクターとして活躍するドン・ドレイパーを描くシリーズ。本作は、キャラクターを深く掘り下げた描写や、時代背景を反映したストーリー展開などが高く評価され、エミー賞作品賞ほか数々の賞を受賞した。
ここ近年、ハリウッドでは過去に人気を博したドラマシリーズのリメイクやリブート企画が次々に誕生しているが、現時点で『マッドメン』を蘇らせる話はないようだ。
2023年に米Deadlineのインタビューでドン・ドレイパー役を演じたジョン・ハムが、同役に戻るつもりがないわけではないが、『マッドメン』のリブートは必ずしも必要ではないと発言。「ドンにとってのエンディングがすごく満足のいくものだったから、番組のリブートはどうでしょうね。やりすぎかもしれません」と回答した。
『マッドメン』ファイナルシーズンで、ドンは彼の人生で周囲の人々に痛みを引き起こした後、平穏を求めてカリフォルニアへ移住。そこで彼は瞑想リトリートのような場所に参加し、元妻ベティや長年同僚だったペギーと和解する。最終シーズンは、ドン・ドレイパーの物語と、彼の仲間の物語を完璧にまとめ上げていた。そのラストシーンでは、ドンが穏やかな表情を浮かべて瞑想している姿が映し出されるが、その直後に、1971年に放送されたアイコニックなコカ・コーラの広告に切り替わる。
この、解釈によってはどうとも取ることが出来る曖昧なエンディングこそが、番組を完璧な作品にしている理由だと言える。『マッドメン』をリブートすれば、完璧なエンディングを台無しにしてしまう可能性があるため、触れないままにしておいた方がよいのかもしれない。
『MAD MEN マッドメン』の放送終了後にジョンは、『アンブレイカブル・キミー・シュミット』のインタラクティブ映画版『アンブレイカブル・キミー・シュミット:キミーVS教祖』や『グッド・オーメンズ』、『ザ・モーニングショー』などの人気ドラマシリーズに出演。また、『ベイビー・ドライバー』や『トップガン マーヴェリック』などの映画にも登場し、ドラマ界と映画界で活躍を続けている。
(海外ドラマNAVI)
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