風刺と笑いのスパイスに彩られた極上のサスペンス映画『ザ・メニュー』。本作の監督を務めるのは、エミー賞受賞の『メディア王~華麗なる一族~(原題:Succession)』や『ゲーム・オブ・スローンズ』を手掛けた俊英マーク・マイロッド。彼がこだわりの演出方法を語った。隠し味はレストラン業界へのリスペクト!?
『ザ・メニュー』あらすじ
太平洋岸の孤島を訪れたカップルのマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ) とタイラー(ニコラス・ホルト)。お目当ては、なかなか予約の取れない有名シェフ・スローヴィク(レイフ・ファインズ)が振る舞う極上のメニューの数々。「ちょっと感動しちゃって」と目にも舌にも麗しい、料理の数々に涙するカップルの男性に対し、女性が感じたふとした違和感をきっかけにレストランは徐々に不穏な雰囲気に。なんと、一つ一つのメニューには想定外の“サプライズ”が添えられていた…。果たして、レストランには、そして極上のコースメニューにはどんな秘密が隠されているのか―。
独特なプレッシャーを感じながら撮影に挑む
本作の監督はマーク・マイロッド。エミー賞受賞し、常にハイクオリティで先進的な作品を送り出し続ける米HBOの『メディア王~華麗なる一族~』で製作総指揮を務める他、『ゲーム・オブ・スローンズ』『シェイムレス 俺たちに恥はない』『アフェア 情事の行方』など話題のドラマシリーズでメガホンをとった人物。
そんな世界的ヒットドラマを多く世に送り出してきたマイロッドは、『メディア王』でタッグを組んだ脚本家からのオファーと、その脚本の巧みさに酔いしれて本作のメガホンを取ることを決意。そして、通常の映画撮影では味わえない独特なプレッシャーを感じながら撮影に挑んだことを振り返っている。
「レストラン業界をやり玉にあげるのは、 綱渡りの連続で本当に慎重に事を進めました。からかったりしながらも、その芸術性と関係者に対する心からの敬意を忘れることはありませんでした。私が演出することが決まると、自分らしくこの料理の世界を撮りたいと思いました。どうすれば料理の世界を高いレベルで描けるか、どうすればその超絶的なレベルの芸術性を連日連夜保つストレスに打ち克てるか。とんでもない重圧でした」
『ザ・メニュー』こだわりの演出とは…
映画の大部分がレストラン内の場面である本作。マイロッドはこだわりの演出として、たとえ登場シーンがなくても常にキャスト全員をセットに待機させたという。また、俳優たちに自分が演じる人物のキャラクターリサーチを持って来させてお互い話し合うように促した。結果、彼らはそれぞれの場面での動きをすぐに習得し、どの場面も綿密に動きが計算されている形となったようだ。
この演出についてマイロッドは、「台本にないどんな動きも二つのカメラでカバーするようにして全体的な映像が撮れるようにし、他のテイクと合わせなくていいように撮影しました。そのおかげで、俳優たちはシェフ、つまりレイフ・ファインズの動きの範囲の中で自分たちの動きを試すことができました」と手応えを感じた。
「『ザ・メニュー』が観客を楽しませる映画であると同時に、ファインダイニング(富裕層向けの高級レストラン)の世界の紛れもなく高い芸術性が注目されることを願っている。レストランで私たちが注文した料理を持ってくる人から始まって、メニューを考案する人まで、この業界は非常に厳しいのです。それを毎晩毎晩やっている人たちに対して、私は尊敬の念を禁じえません。映画を見る観客もそう思ってくれることを願っています」と映画としての魅力はもちろんのこと、レストラン業界へリスペクトを捧げながら本作を手掛けたことを熱く語った。
映画『ザ・メニュー』は、11月18日(金)よりTOHO シネマズ日比谷ほか全国ロードショー。
(海外ドラマNAVI)
Photo:『ザ・メニュー』©2022 20th Century Studios. All rights reserved.