1995年11月9日に米NBCで放送開始された医療ドラマの金字塔、『ER 緊急救命室』は30周年を迎えた。その節目に、15シーズンにわたって監督・製作総指揮を務めたクリストファー・チュラックが、当時のジョージ・クルーニーを振り返っている。
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テレビ史に残るアイコニックな瞬間
米TV Insiderのインタビューでチュラックは、シーズン2第7話「地獄からの救出」について語っている。このエピソードでは、ジョージ・クルーニー演じる小児科医ダグ・ロスが私立病院への転職を控えていた矢先、嵐の中で排水溝に閉じ込められた少年を救出するという命懸けの救助劇に巻き込まれる。彼が濁流から少年を抱えて現れるシーンは、テレビ史に残るアイコニックな瞬間となり、無事に少年を救出したダグは最終的に病院に残る決断を下した。
チュラックは「地獄からの救出」について、これまでの『ER』とはまったく違う挑戦だったと回想し、「特に印象的だったのは、その壮大さです。水、子どもたち、ヘリコプター…そういう意味では少し怖かったですが、とにかく挑戦してみることにしました」と発言。初期時代で印象的だったジョージの演技については、身体的に負荷のかかる演技を苦にしていなかった点だと答えている。
「(ジョージは)パイプの中を這い回ったり走り回ったり、ヘリコプターに乗ったりするのは本当に大変だったでしょうが、演技について特に手を加えた記憶はありません。彼は、ほぼずっと現場にいました。そして、子どもたちとの共演を気に入っていたと思うし、仲良くしていました。(慈善団体の)Make-A-Wishの子どもたちがセットに来ると、彼らと遊んでいましたよ。彼はそういう性格なんです」
この撮影はロサンゼルスのワーナー・ブラザースのバックロットで行われ、ジョージが少年を抱えて水面から現れるシーンの構図は、チュラックの頭の中で最初から決まっていたという。数千ガロンもの水を温めながら撮影する過酷な環境の中で、この名場面が生まれた。
またチュラックはジョージのスター性について、「撮影当時、彼はまだ“ジョージ・クルーニー”ではなかった。でも彼は、あのエピソード後に“ジョージ・クルーニー”になったんです」と付け加え、ジョージがハリウッドのトップスターになることを予感していた一言も発している。
このエピソードを機に、『ER』は単なる医療ドラマを超えて“テレビの奇跡”と呼ばれる作品になった。チュラックは、「『ER』は、関わったすべての人の人生を変えた番組でした。放送の度に3500万~4000万人が同じ時間に視聴していました。そんなことは、もう二度と起きないでしょう」と締めくくっている。
まさに、「地獄からの救出」はジョージ・クルーニーをスターへと押し上げ、テレビドラマ史を変えた記念碑的なエピソードだったと言えそうだ。『ER 緊急救命室』全シーズンは、U-NEXTとHuluで配信中。
(海外ドラマNAVI)


