テレビシリーズの「最長寿」を測る際、一般的に「放送期間」が基準とされることが多いが、リバイバルやリブートが当たり前になった現代において、単純な期間だけでは真の長寿性は測れない。週に複数回放送されるデイリー番組と、少ない話数でシーズンを重ねる作品を同じ物差しで測るのは公平ではないため、より正確な指標として「エピソード数」が用いられる。このエピソード数という基準で見たとき、アメリカの超人気シリーズを遥かに凌駕し、世界一の座に君臨する意外な番組の存在が浮かび上がってくる。
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アメリカの有名ソープオペラが“最多”ではない理由
「最もエピソード数が多い番組」として、アメリカで真っ先に名前が挙がるのは『General Hospital（原題）』である。1963年の放送開始以来、2020年のパンデミックによる一時中断を除き、米ABCで継続的に放送されてきた昼メロだ。
平日のデイリー放送のおかげで、その累計話数はおよそ16,000話に達している。この記事の執筆時点では15,836話であり、アメリカ国内では間違いなくトップクラスの記録であるため、これを世界最多と言われても不思議ではない。
しかし、実際に史上最多エピソード数の栄冠を手にしているのは、ドイツの長寿アニメ『Unser Sandmännchen（原題）』（僕らのザントメンヒェン）である。
1959年に放送を開始し、毎晩、眠る子どもたちのために小さなサンドマン人形が登場するというシンプルな内容。ハンス・クリスチャン・アンデルセンにインスパイアされた愛らしいキャラクターとストップモーションが、世代を超えて愛され続けてきた。
世界的な知名度こそ高くないものの、『Unser Sandmännchen』はドイツではまさに国民的番組。これまでに制作されたエピソードは22,000本を超える。脚本付きテレビシリーズとしては『General Hospital』を大きく引き離し、堂々の第一位に君臨する。
ただし、指標を「総放映分数」に変えると話は少し面白くなる。『Unser Sandmännchen』は子どもが眠る前に見ることを考えて1話あたり約10分。一方『General Hospital』は30〜60分あるため、画面上の総時間でいえばドイツのライバルを上回るのだ。
『Unser Sandmännchen』を追い抜く番組は今後現れる？
『Unser Sandmännchen』は現役シリーズであり、しばらくはその地位が揺らぐことはなさそう。仮に今すぐ終了したとしても、追いつける可能性のある番組はごくわずか。英国の『Coronation Street』、アメリカの『General Hospital』、そして『Days of our Lives（原題）』が候補に挙がる程度だ。
とはいえ、1950年代とは視聴習慣も放送形態も激手に変化し、これから誕生する新作が同じ偉業を達成することは現実的ではないだろう。2025年の子どもたちはYouTubeでお気に入りの動画を簡単に見ることができる。前述のソープオペラが生き残れているのは、文化的意識に根付いているからだ。新たな『General Hospital』や『Coronation Street』が生まれ、第二の『Unser Sandmännchen』がその地位を譲る日は来ることはないかもしれない。
『Unser Sandmännchen』の日本配信はないようだが、Amazonなどでグッズは購入可能。（海外ドラマNAVI）
