『スター・トレック／宇宙大作戦』『逃亡者』監督ラルフ・セネンスキー死去

『スター・トレック／宇宙大作戦』『逃亡者』などの人気ドラマを手掛けたラルフ・セネンスキー監督が11月1日（土）、カリフォルニア州の病院にて永眠した。享年102。米Hollywood Reporterが伝えている。

スポック役レナード・ニモイも称えた仕事ぶり

セネンスキーの死を明かした姪は、「彼は最期までしっかりしていました。実際の年齢は102歳だったかもしれませんが、中身は30歳のようでした」と晩年の故人について語る。

Star Trek Original Series Director Ralph Senensky Has Passed Away#StarTrekhttps://t.co/MssqjkClE1

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1923年、アイオワ州生まれのセネンスキーは、高校時代に学校新聞の編集者を務めたほか、学校劇の助監督として活動していた。第二次世界大戦従軍後にノースウェスタン大学で学び、30代前半だった1955年に米CBSに入社。下働きやTVプロデューサーの秘書を経てドラマの制作現場に関わるように。その後、CBSの重役だったノーマン・フェルトンとともに米MGMへ移り、フェルトンがプロデュースした医療ドラマ『ドクター・キルデア』で監督デビューを果たしたのは1961年。以降、『ミステリー・ゾーン』『ルート66』『ブレーキング・ポイント』『頭上の敵機』『逃亡者』『スパイ大作戦』『アイ・スパイ』『マニックス特捜網』『鬼警部アイアンサイド』『FBI　アメリカ連邦警察』『私立探偵バニオン』『猿の惑星』『命がけの青春／ザ・ルーキーズ』『名探偵ジョーンズ』『わが家は11人』『探偵ハート＆ハート』など、1980年代まで数々の人気ドラマでメガホンを取った。1980年代に大ヒットしたドラマ『ダイナスティー』では3部構成のシリーズ初回を含む計4話を担当している。

60を超えるドラマシリーズを手掛けてきたセネンスキーだが、最も知られているのは『スター・トレック／宇宙大作戦』の監督としてだろう。初期の傑作の一つとして名高いシーズン1第24話「死の楽園」を皮切りに、いくつものエピソードを担当した。しかし、担当7話目となるシーズン3第9話「異次元空間に入ったカーク船長の危機」でトラブルが起きる。カークやスポックがそのエピソードで着ていた銀色の宇宙服にファスナーが着いていなかったので、俳優たちがトイレに行くたびに衣装の縫い目を解き、縫い直さなければならなかったのだ。その結果、撮影3日目で当初のスケジュールより4シーン分遅れていたセネンスキーはクビに。ハーブ・ウォーラーシュタインが後を引き継ぎ、その回の監督としてクレジットに載ったのはウォーラーシュタインのみだった。解雇されたセネンスキーがその後『スター・トレック』シリーズに携わることはなかったが、シリーズ生みの親のジーン・ロッデンベリーから電話があり、「激怒し、謝罪し、同情してくれた」と本人は振り返っている。

また、前述の「死の楽園」撮影後にセネンスキーはスポック役のレナード・ニモイから手紙を受け取った。その手紙には、「あの回は、スポックにとって特別な体験であるだけでなく、私自身にとっても特別なものでした。有能で繊細な監督のおかげで非常に安心感を覚えました。これは、テレビでは非常に稀なことなのです」などと綴られている。

キャストとファンの記憶に残る仕事ぶりを見せたセネンスキーの冥福を祈りたい。（海外ドラマNAVI）

参考元：米Hollywood Reporter、米Trek Movie.com