『スター・トレック』シリーズ最新作である『スター・トレック:ストレンジ・ニュー・ワールド』(以下『SNW』)。現在配信中のシーズン3の殺人ミステリー回は、オマージュがふんだんに盛り込まれていることが分かった。米Varietyなど複数のメディアが報じている。
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「まるでアガサ・クリスティーのミステリー」
『SNW』はこれまでにも、おとぎ話やホラー、フランチャイズ初のミュージカルと、ジャンルにとらわれないチャレンジを続けてきたが、シーズン3第4話「宇宙冒険の時間」の殺人ミステリー・エピソードは最も大胆な試みかもしれない。
デイナ・ホーガン(『ワンス・アポン・ア・タイム』)とキャスリン・リン(『スター・トレック:ローワー・デッキ』)が脚本を担当したこのエピソードでは、ラアン(クリスティーナ・チョン)がホロデッキのプロトタイプ版をテストすることに。お気に入りだった探偵小説をインスピレーションとして使用したテスト用プログラムの中で、ラアンは探偵のアメリア・ムーンに扮し、1960年代のハリウッドの世界へと足を踏み入れる。その中では、1960年代のオリジナルシリーズ『スター・トレック/宇宙大作戦』の代わりとなるSFドラマ『ザ・ラスト・フロンティア』のキャストとスタッフが招待された重役の豪邸で殺人事件が発生し、アメリアは殺人犯を突き止めようとするのだが…というストーリー。
『新スター・トレック』と『スター・トレック:ピカード』のライカー役で知られるベテラン俳優でもあるジョナサン・フレイクスがこのエピソードを監督。パイク艦長役のアンソン・マウントを『スター・トレック』のクリエイターであるジーン・ロッデンベリー風のキャラクター、脚本家のTK・ベロウズとして登場させ、カーク船長役のポール・ウェズレイは『ザ・ラスト・フロンティア』で船長に扮する俳優のマックスウェル・セイントを演じている。
ジョナサンによると、『SNW』のキャストとスタッフは普段とはかなり異なるこのエピソードを歓迎。「みんな、宇宙船から降りて、宇宙服を脱ぐことにとても興奮していた。(殺人事件の舞台となる)派手な邸宅で6日間ロケをしたんだけど、お目付け役もいなくて楽しかった。まるで『スター・トレック』シリーズではなくアガサ・クリスティーのミステリーか何かを撮影しているようだったよ」
『スター・トレック』関係者をキャラ像に盛り込む
アンソンは、『スター・トレック』の生みの親であるロッデンベリーのアーカイブ映像を見てTK・ベロウズの役作りの参考に。ロッデンベリーの知的かつ時に頑固な性格を取り入れ、声や体型を変化させ、スエードジャケットを着込み、眼鏡をかけたキャラクターを演じた。
ポール演じるカークはもともと、『~宇宙大作戦』でウィリアム・シャトナーが演じた同役よりも地に足の着いたものだ。ウィリアムの話し方や存在感を意識しつつも完全な模倣は避け、自分なりのカーク像を築くことに重きを置くポールは今回の脚本を読んだ時、「視聴者に風刺的で、よりユーモラスなバージョンを提供できるチャンスだと思った」と振り返る。ウィリアムが演じたカークの特徴は、間の取り方や身振り手振り、シェイクスピア的な要素だとして、「やりすぎたくはなかったけど、真のファンに向けたウィンクになるくらいのニュアンスは残したかった」と説明。今回のポールの外見には、そんなウィリアムのほか、当時の人気俳優ジェームズ・ディーンの雰囲気も取り入れられた。
そしてナンバーワン役のレベッカ・ローミンは、『アイ・ラブ・ルーシー』の主演女優であり『~宇宙大作戦』のプロデューサーも務めたルシル・ボールをもとにしたキャラクター、ソニー・ルピノに。「ルシルは1960年代にはとても大きな存在で、信じられないほどの権力を持っていた。聡明で大胆不敵で、その力を番組存続に役立てた。今回の殺人ミステリーの大半は、ルシルに関する裏話に基づいているんだ」とジョナサンは述べる。
劇中に登場する『ザ・ラスト・フロンティア』もオマージュ満載だ。『~宇宙大作戦』はもちろん、『宇宙家族ロビンソン』『アウターリミッツ』といったほかの1960年代のSFドラマも参考にしたという。「あの薄っぺらいセットとゴムマスクのエイリアンは、『スター・トレック』のアナログな栄光へのオマージュでもあった。1960年代には特殊効果もVFXもなかったし、デジタル化することもできなかった。そうした昔のような物理的なセットとして作ることを楽しみたかったし、1960年代当時のような想像力と美しさのようなものを描きたかったんだ」とポールは語る。
スポックをめぐる長年の疑問も明らかに
さらにこのエピソードでは、殺人事件の真相のほか、ファンの間で30年以上語り継がれてきた疑問も明らかになった。今回、イーサン・ペック演じるスポックが「私の先祖であるアーサー・コナン・ドイルならこう表現するだろう。“ゲームは始まった”と」と語ったからだ。今から34年前となる1991年の『スター・トレックVI/未知の世界』では、レナード・ニモイ演じるスポックが「私の先祖の一人は、“あり得ないものを排除していけば、そこに残されたものがどんなに突飛なものであっても真実に違いない”と主張していた」と口にしていた。新旧スポックが引用したのはどちらも厳密にはドイルではなく彼が生んだ名探偵シャーロック・ホームズの言葉だが、作者ドイルの主張と言えるのかもしれない。
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