2度アカデミー賞主演男優賞に輝く名優アンソニー・ホプキンスが実在したローマ皇帝を演じ、古代ローマの人々が織りなす権力争いや野望、希望を描いた重厚なる歴史スペクタクル・ドラマ『激情のコロッセオ 死にゆく者たち』(全10話)が、Amazon Prime Videoチャンネル上の「BS10スターチャンネルEX」で字幕版・吹替版ともに全話配信中だ(第1話無料配信中)。
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『激情のコロッセオ 死にゆく者たち』ローマ皇帝役アンソニー・ホプキンスのインタビューが到着
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『グラディエーター』×『ベン・ハー』×『マイティ・ソー』
本作の原作は、アカデミー賞作品賞に輝く『グラディエーター』にインスピレーションを与えたダニエル・P・マニックスによる小説「Those About to Die(原題)」。紀元79年の古代ローマを舞台に、当時の民衆を熱狂させた剣闘士の闘いや戦車競走、次期皇帝争いをはじめとした権力闘争などが巻き起こる。
世界的大ヒットドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のように、主要キャラクターが大勢おり、複数のストーリーラインが同時進行するにもかかわらず、特に解説もないままどんどん話が進んでいくので、全体像やそれぞれの人間関係を掴むまではちょっと戸惑うかもしれない。そこで、様々な要素が散りばめられた本作を、3つのキーワードになぞらえて分かりやすく紹介しよう。
まず、本作を一言で表すなら「『グラディエーター』×『ベン・ハー』×『マイティ・ソー』」だ。『グラディエーター』の元になった小説を原作とするだけあって、剣闘士のパートはもちろん出てくる。国を侵略されたり横暴なローマ兵に歯向かったりといったことから、ある日いきなり自由を奪われた人々が、生死を賭けて同じ剣闘士、もしくはライオンなどの動物との命のやり取りを強いられる。
そんな剣闘士と同じくらい民衆を熱狂させたものとして、4頭立て馬車による戦車競争にもスポットが当てられる。こちらでは競馬のように人々が勝敗を予想して莫大な金が動き、民衆の不満を抑え、勝者は権力や名声も得られることから、賭博場のオーナーや戦車の御者、議員、皇帝の息子たちの思惑も絡んでくる。戦車競争というと『ベン・ハー』を思い浮かべる人もいるだろうが、アカデミー賞で史上最多タイの11冠を果たした往年の名作を彷彿とさせる迫力たっぷりのレースを、本作で味わうことができる。ちなみに、本作の撮影には2016年バージョンの『ベン・ハー』のセットも使われた。
そして、こうした剣闘士、戦車競争の中心にあるのが、次期皇帝の座を争う兄弟対決。現皇帝を支える軍人の兄と、腕力はないものの奸計をめぐらす弟による愛憎半ばする関係は、『マイティ・ソー』シリーズのソーとロキを連想させる。彼らの父である現皇帝を演じるのがアンソニー・ホプキンス(ソーとロキの父オーディンにも扮した)というのもあるが、本作のクリエイターでもあるロバート・ロダットがソーとロキの確執に最もフォーカスした『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』の原案を担当したことも無関係ではないだろう。
前述した3つの要素に分ければ、多種多様な登場人物たちも分かりやすく整理することが可能だ。『グラディエーター』パートが中心となるヌミディア人家族のクワメとカーラ、『ベン・ハー』パートに主に出てくる賭博場オーナーのテナックスや花形御者のスコルプス、戦車競争に関わる議員のマルススとその妻アントニア、『マイティ・ソー』パートは老帝ウェスパシアヌスとその長男ティトゥスと次男ドミティアヌス、ティトゥスの愛人であるユダヤの女王ベレニケを把握できれば十分だ。ストーリーが進むにつれてこれら3つのパートは次第に色濃く重なり合い、フィナーレに辿り着く頃には競技場を中心に一つの大きなまとまりとなっていく。
登場人物が多くても慌てることはない。特に鍵になる人物の多くはドラマファンおなじみの面々が演じているので、彼らを目印にすればいっそう見やすくなるはずだ。すべてのストーリーラインに絡む胴元のテナックス役は、『ゲーム・オブ・スローンズ』のラムジー役で知られるイヴァン・リオン。ラムジー役により極悪キャラクターの印象が強いイヴァンだが、裏社会のボスであるテナックスは人を殺すことも厭わない一方で子どもには優しいといった面も併せ持つ。奴隷や剣闘士になった自分の子どもたちを救うためにテナックスと手を組むカーラ役はサラ・マーティンス。人気ドラマ『ミステリー in パラダイス』で初代主役 のリチャード・プール警部を支えたカミール役のように、今回も有能なキャラクターを説得力たっぷりに演じている。カーラの息子で剣闘士となるクワメ役のモー・ハシムは、『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』でサッカー選手モー・バンバーキャッチを演じた通り、本作でも運動神経の良さを披露。そして、弟が散々邪魔をしていると周囲から警告されてもつい信じようとするティトゥスと、兄に強いコンプレックスを抱く残忍な子どものようなドミティアヌスという兄弟役を務めるのは、『女王ヴィクトリア 愛に生きる』で女王を支える夫アルバート役を好演したトム・ヒューズと、シャーロック・ホームズ作品をもとにした『ベイカー街探偵団』の短気なビリー役で知られるジョジョ・マカリだ。
BS10スターチャンネルで放送もされた本作だが、視聴するには配信がオススメ。連続もののストーリーを綴った「10時間の映画」とも言うべき作品なので、全10話を毎週一話ずつ見ていくよりもイッキ見に向いている。実際、今回ドラマシリーズで初めて監督を務めたローランド・エメリッヒも、「すべてが繋がっているから、2・3日でイッキ見してほしい」と発言している。『ゲーム・オブ・スローンズ』のように第1話だけでは分かりにくくても、第3話くらいまで見ると次第にそれぞれの物語が繋がってきてどんどん没入しやすくなる。「パンとサーカス」時代の残忍で無秩序な世界において、権力を握ろうとする者の騙し合い、虐げられても生きることを諦めない者の人間ドラマが展開する。様々な親子や兄弟の関係が描かれており、それらを見比べるのも面白い。『ゲーム・オブ・スローンズ』との共通点は多く、フィナーレに向けて主要キャラクターすらどんどん死んでゆくところもそっくりだ。最終的に生き残るのは誰なのか、あなたは当てられるだろうか。
『激情のコロッセオ 死にゆく者たち』(全10話)は、Amazon Prime Videoチャンネル上の「BS10スターチャンネルEX」で字幕版・吹替版ともに全話配信中(第1話無料配信中)。
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(海外ドラマNAVI)