4月11日（金）に劇場公開されるスパイ・サスペンス『アマチュア』。本作の日本語吹替版で、ラミ・マレック演じるチャーリー・ヘラー役を務めた中井和哉さんにインタビュー！ 本作の見どころやアフレコ現場での舞台裏について話を伺った。
『アマチュア』あらすじ
CIA分析官のチャーリーは、愛する妻サラと穏やかな日常を過ごしていた。ある日、サラはロンドンでテロ事件に巻き込まれ殺害される。突然の妻の死にショックを受けるチャーリーは、犯人を見つけ自らの手で復讐することを決意する。殺しは“アマチュア”なチャーリーだが、彼ならではの方法でテロリストたちを追い詰めていく。しかし、その裏には驚くべき陰謀が隠されていた…。
『アマチュア』日本語吹替声優インタビュー
――中井さんは『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』『オッペンハイマー』に続き、ラミの日本語吹替を担当されています。本作でのラミの演技についてお聞かせください。
今まで担当してきたラミの役は、特殊な状況下での話し方やお芝居を求められましたが、今回は普通の生活と地続きの中で深い悲しみや憤りがありました。強烈な感情表現と言うよりも、徐々に心情が変化していく繊細な演技が印象的でした。
――印象に残ったディレクションなど、アフレコ現場での思い出は何かありますか？
冒頭でチャーリーが職場の人たちと会話するシーンがあるのですが、心を許している相手と苦手だと感じる相手で態度が違っているので、まずそこをしっかり見せましょうというディレクションをいただきました。誰にでも覚えのある人間的な部分ですし、とても大事なポイントだったと思います。
――今回、収録現場では共演者の方とご一緒でしたか？
完全に一人で行いました。
――そうだったのですね。一人での収録と、共演者がいる場合の収録では、やはり違う部分もあるのでしょうか？
画面上の演技に合わせての芝居ですから、やることは変わらないのですが、やはり日本語を聞いて日本語で反応するからこそ生まれる空気感はあると思います。ですから我々より、全体を見て調整するディレクターさんが大変なのではと思います。
玄田さんや坂本さんの声を想像しながら掛け合って、先に収録していらっしゃった恒松さんの声が聞こえてきたときは嬉しかったですね。
――吹き替えるにあたって印象に残ったシーンはありますか？
プールでテロリストに仲間の居場所を問いただすシーンが印象に残っています。自分が生殺与奪権を握っていて圧倒的に有利なのに、どこかおどおどしているのが本作らしい、チャーリーらしいと思いました。画面的にも美しいシーンでしたね。
――演じたチャーリーについて、お聞かせください。まず、どのような印象を抱きましたか？ また、彼と共感する部分はありますか？
ごく普通の平凡な人間ではあるのですが、平和な日常を愛する一面と同時に、ここだけは譲れないというものを持ち合わせている印象を受けました。本来は優しく穏やかだけど、何かの感情が一線を超えてしまったら歯止めが効かなくなるタイプ。そういう意味では今風の若者なのかもしれません。
共感できる点はたくさんあって、なんだかんだでお家が一番、奥さんとは運命共同体、仕事にはそれなりにこだわりを持って楽しく取り組んでいる、正直苦手な同僚もいる、とか。スパイアクションの主人公でこんなに感情移入が容易な人は珍しいです。
――中井さんは多くのアニメのキャラクターも演じられていますが、アニメと洋画の吹替で何か違いや意識することはありますか？
絵のお芝居に声を当てる場合は正解の幅が広いというか、いろんなアプローチが可能なのに対して、洋画はよりピンポイントなものが求められると思います。
――アドリブも実写の吹替のほうが絞られるなどありますかね。
台本にない台詞という意味で捉えると、そうですね。アクションシーンの息遣いなども、吹替は実際に発せられている声という正解があるのに対して、アニメの場合は動きのポイントを押さえるという意識で演じています。
――日本語吹替版ならではの魅力を教えてください。
身も蓋も無いことを言うと画面に集中できることだと思うのですが、それはそれとして。例えばラミならラミの演技を私なりに咀嚼して、より日本語話者に染み込みやすい味付けにしてあるのが吹替版ということではないでしょうか。字幕版と両方見て、印象の違いを楽しんでいただければと思います。
――本作をどんな人にお勧めしたいですか？
スパイものやアクションものといったジャンルが好きな方にはもちろんですが、普段そういう映画を見ないという方には、ラブストーリーの一面もありますよとお勧めしたいですね。予告をご覧になって暗い結末を想像されている方もいらっしゃるかと思いますが、嫌な気分にはさせない映画だと保証します。
――ありがとうございました！
『アマチュア』公開情報
『アマチュア』は全国の劇場で公開中。
