
本日より劇場で公開が開始した『アマチュア』。本作は最愛の妻をテロ事件で失ったCIA分析官がたった一人で挑む復讐劇の行方を描く、予測不能なスパイアクション・サスペンスとなっている。今回、殺しは“アマチュア”の主人公・チャーリーを演じるラミ・マレックと、チャーリーの妻・サラを演じるレイチェル・ブロズナハンにインタビュー! 本作への出演の決め手や、映画とドラマのアプローチの違いについて話を伺った。
【インタビュー】映画『アマチュア』ラミ・マレック&レイチェル・ブロズナハン
――本作の出演の決め手は何ですか?
ラミ:『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』が終わる前に、プロデューサーのサム・エスメイルと自分たちができることはまだあるのではないかと話していたんです。あの作品はアクションが非常に多く、どうすれば世界中の視聴者が魅力的に感じるような、そして信憑性のある方法でこのジャンルを表現できるか考えました。そして、本作にプロディーサーとして関わることと、出演を決めました。
いわゆる典型的なヒーローではない人物が、大きなスケールのスパイアクションで活躍する作品は数少なく、この映画は新たな扉を開くきっかけとなると思いますし、このジャンルで現実的かつ洗練された方法で、深い感情に没入するような物語を語るのに、またとない機会だと感じています。
レイチェル:私はアクションやスパイ、スリラーなどの映画を見るタイプではないんです。しかし、ラミがプロジェクトの真ん中にいて、ジェームズ・ホーズという素晴らしい監督もいることで、この作品が ジャンルに新しいテイストを加えられると感じました。また、アクションやスパイ映画が好きな人だけでなく、全く新しい観客を取り込むのに素晴らしい機会だと思いました。
本作は、“死を悼む”ことが中心にあって、誰かが自分を愛し、自分が愛した人の記憶や遺したものを大切にする物語ですが、チャーリー独自のスキルも興味深いです。彼は銃を持ったりスタントをこなしたりする人には見えませんが、彼なりの方法で復讐を遂げていくという点でとても面白いですし、このような映画に参加したいと感じました。

――お二人とも素晴らしいキャリアを歩んでいますが、出演作品を選ぶ際の基準はありますか?
ラミ:この業界で活躍することは本当に難しいので、駆け出しの頃は「何事にも本気で取り組まなければ」「声をかけられたものは全て引き受けなければ」という気持ちになりがちでした。いただいたオファーを断ったこともありますが、罪悪感をつい持ってしまいます。
だから、バランスを大切にしています。作品や自分が演じた結果は、インパクトがあって観客に響くものであってほしい。なので、自分の時間や身体、そして精神を投資し、それに見合う作品にする必要があると考えます。そのために、自分の直感を大事に選んでいます。
レイチェル:私もその通りだと思います。プロジェクトによりますが、私はすぐに退屈してしまって、同じことを二度やりたくないタイプなんです。だから、何か新しいコラボレーションやちょっと怖いと思うようなプロジェクトだと、すごくワクワクして挑戦してみたいと感じます。
本当にプロジェクトによって異なるけれど、新しいスキルを学ぶ機会があると、ちょっと陳腐かもしれませんが、参加したい! と思います。
――ラミ・マレックさんは『MR. ROBOT』シリーズに、レイチェルさんは『マーベラス・ミセス・メイゼル』シリーズにそれぞれ出演されていますが、今回のような映画作品と長編のドラマシリーズでは、役作りのアプローチに違いはありますか?
ラミ:素晴らしい質問です。『MR. ROBOT』と仰いましたが、僕たちは撮影時に、作品の指針となる動かないものという意味で、レイチェルがよく使う“北極星”という言い方をしていました。
レイチェル:他の人が言っていたような気がするの。
ラミ:『MR. ROBOT』では、作品を映画的なものにするために、毎話60ページのエピソードを7日間で撮影していました。
レイチェル:7日間!? 私たちは100ページを17日間くらいかけていたかな。
ラミ:そうなのか? うらやましいな。
映画・ドラマにかかわらず、作品の質を落としてはいけません。映画の場合は、より時間をかけて様々な要素を掘り下げられますし、自分の考える正しい表現の仕方を明確に追及できます。また、カメラテストや試写会もあります。テレビドラマだと、少なくとも改めて撮影する機会はめったにありません。
『MR. ROBOT』では、(監督・脚本・製作総指揮の)サムが物語の初めから終わりまで教えてくれて、それが自分のやりがいや充足感に繋がりました。僕は、パイロット版の1話や2話、あるいは3話からシリーズに入ることは基本ないです。出発点を定め、物語と登場人物を見届けるためには、描かれたエピソードを全て見て、その後がどうなるかを知る必要があります。だから、映画の場合は、結末が見えている点がいいですよね。
レイチェル:私もテレビドラマに参加していますが、ラミとは全く違う経験だったんです。ちょうどストリーミング配信が始まった時期に『ハウス・オブ・カード 野望の階段』に出演しましたが、撮影中は作品をドラマではなく“13時間の映画”と呼んでいました。だから、テレビドラマでの経験は実にユニークなものでした。
『ハウス・オブ・カード』にしても『マーベラス・ミセス・メイゼル』にしても、通常のドラマに割り当てられるものよりも多くの時間をかけ、映画のように撮影していました。『ハウス・オブ・カード』は、1話あたり11~12日かけて撮影したと記憶しています。
ただ、ラミと違って、私は物語の結末や自分のキャラクターがどういう結末を迎えるのかを全く知りませんでした。『ハウス・オブ・カード』では、自分が演じたキャラクターが大きく変わってしまったんです。最初のエピソードでは“カウガール”(田舎の子)と呼ばれていたのが、シーズン2ではバージニア州出身になっていたんです。それで、話し方のアクセントをまた変えなければいけなくなってしまって。そういう意味では、変化することは怖くもありました。
映画のいい点は、物語が最初から最後まで全てわかっていて、その中で表現できるところにあります。しかし、ドラマ特有の、時間をかけてそのキャラクターを知っていくということは、ある種贅沢ですし、映画の場合は限られた短い時間の中でそのキャラクターを表現しきらないといけない大変さもあると思います。

映画『アマチュア』公開情報
映画『アマチュア』は本日4月11日(金)全国ロードショー!