『ビバヒル』で問題視されたブレンダ&ディランの描写とは?

若者の日常をリアルな本音や社会問題も織り交ぜながら描き、1990年代に一世を風靡した青春ドラマ『ビバリーヒルズ高校白書/青春白書』。その舞台裏についてクリエイターのダーレン・スターが明かした。

作品のヒットを受けて横槍が入るように

『ビバヒル』のほかにも『メルローズ・プレイス』『SEX AND THE CITY』『Younger/ライザのサバヨミ大作戦』『エミリー、パリへ行く』といったヒット作を世に送り出してきたスター。彼の名を世間に知らしめた『ビバヒル』では、それまで描かれることのなかったリアルなテーマにも踏み込んだが、のちに社内で問題視されるようになったという。

本国で1991年に放送されたシーズン1第22話「春の夜の出来事」では、シャナン・ドハティ演じるブレンダがルーク・ペリー演じるボーイフレンドのディランと初めてセックスするシーンが描かれた。その後、シーズン2にブレンダがディランと寝たことを悔いるシーンが含まれていたが、後悔するくだりは放送局に強く求められて書いたものだった。

「自分たちが何を放送したのかに気がついた時、関係者たちはみんな取り乱していたよ」と米Vultureに語ったスター。「ブレンダがセックスをしただけでなく、それを楽しんだという事実にね。シーズン2に取りかかる時、彼女が(セックスを)後悔するエピソードを入れるように強く要求された。僕としては“そんなことを書かないといけないなんて信じられない”って感じだったよ。(そのエピソードの中で)彼女は妊娠の心配をする。セックスをするには若すぎたと気がつくんだ」

『ビバヒル』がヒットして大きな注目を集めるようになる前は、幹部の関心も薄かったため、スターはより攻めたエピソードをたくさん作ることができた。しかしシーズン2を作ろうとした途端、ボスから数多くの注意書きを提示されるようになったという。

「セクシュアリティに関することはすべて扱うのが難しくなった。幹部たちは“両親は(劇中の)どこにいる? 教師たちは?”って感じだった。僕は“この作品は親や教師の話ではない。これは友達に関する話で、彼らはどんな時も互いのためにそばにいて、互いの問題を解決しようとするんだよ”って感じだった」とスターは回想している。

前述の「春の夜の出来事」に出演していたシャナンとルークは、残念ながらともに早すぎる死を迎えている。ルークは2019年に脳卒中の発作を起こして52歳で急死、2015年に乳ガンと診断されていたシャナンも先月、53歳という若さでこの世を去った。スターはシャナンについて「信じられないほど特別でダイナミックな人だった」と話し、ブレンダという役に「大きなスピリットと意思の強さ、そして複雑さをもたらしてくれた」とコメント。「彼女が演じてくれたおかげでブレンダを書く上でより多くの刺激をもらえた。彼女は自由な精神の持ち主でいろいろな物事に対して感受性が強かった。彼女は、内面がとてもパワフルな10代の少女の本質をうまく捉えていたよ」と話し、シャナンの死を悼んでいる。

(海外ドラマNAVI)

参考元:米Vulture米Deadline