近年の「wokeカルチャー」にそぐわない海外ドラマ【5選】

かつて一世を風靡した海外ドラマが再放送や配信などで再び人気を獲得することが増えているが、中には「wokeカルチャー」の時代に合わない作品も。批判がでることを覚悟する必要がある5本をご紹介したい。

人種差別や性差別など社会的正義に敏感なことを意味するwoke。人気海外ドラマの中には昔では許されても、意識が高いwokeカルチャーの時代には許されない内容が含まれていることもある。どのような点がwokeカルチャー的にNGなのか5つの作品を例に見てみよう。

「wokeカルチャー」にそぐわない海外ドラマ

『フレンズ』(1994–2004)


男女の友情や愛情を描き、そのユーモアで愛され続けている『フレンズ』。しかし多様性の欠如やLGBTQ+に関するジョークで批判を受けている。そもそも人種のサラダボウルとも言われるアメリカのニューヨークで、主に白人キャストで構成されている点に疑問を抱く視聴者もいて、多様な背景をもつキャラクターを望む声も。

批評家たちは『フレンズ』がその文化的影響にも関わらず、包摂性が重要視されていなかった昔のテレビ時代を反映していると指摘。比較することで、視聴者がメディアに対して求める基準が変化したことや期待の大きさをはっきりと見ることができるともいえる。

 

『ジ・オフィス』(2005–2013)


タイトル通り職場を舞台にしたシットコム『ジ・オフィス』は、独特のユーモアで多くのファンを獲得し、コメディドラマランキングでは第1位にランクインするものの、wokeカルチャー的に不適切とみなされる描写が多々あることは否めない。職場での力関係を描き、笑いを誘おうという場面も多いが、ハラスメントやマイクロアグレッションなどの問題をコメディとしている点に批判も。

これを受けて一部のエピソードは再編集されて放送されたこともある。(笑い話のようなことが現実に起きていた当時には、共感してストレス解消していた視聴者も多くいたに違いないが、職場環境が大きく改善された今を生きる現代の若者にとっては、ただただ不快に映るのかもしれない。)

 

『となりのサインフェルド』(1989–1998)

機知に富んだやり取りに定評のある人気シットコム『となりのサインフェルド』。本作もまたニューヨークを舞台にした作品だが『フレンズ』同様、多様性の欠如によって現実とかけ離れてしまっている点がwokeカルチャー的にはNG。時折見られる、文化的にステレオタイプな内容を盛り込んだ無神経なストーリーが批判を受けることも。

『爆発!デューク』(1979–1985)


ジョージア州の架空の田舎町“ハザード”を舞台にした大人気コメディアクション『爆発!デューク』。“リー将軍”の愛称をもつオレンジ色の1969年型ダッジ・チャージャーなどが登場し車好きも魅了した本作だが、そのリー将軍の上に南部連合旗が描かれていたことで、一部のプラットフォームから削除されることに。

奴隷制や人種差別と切っても切り離せない南部連合旗の歴史がもつ意味合いは大きく、アメリカ史においても痛ましい時期を象徴するシンボルが作中に使用されたことで批判が相次いだ。

『アントラージュ★オレたちのハリウッド』(2004-2011)


マーク・ウォールバーグが製作総指揮を務め、駆け出しの若手俳優と三人の取り巻きを主人公にしたコメディドラマ『アントラージュ★オレたちのハリウッド』。ハリウッドの内側を描いたともいえる本作は、華やかなライフスタイルが描き出されるが、そこで見える過度なマスキュリニティがwokeな人々の価値観には、はまらず批判の的に。女性を物のように扱う描写や無神経なジョークは現代とはマッチしていないといえる。

これらの番組は今と異なる時代の中で、当時の業界の流行や方針を反映して製作されたが、その舞台設定やキャラクター作りの中には潜在的に攻撃的と感じさせてしまい、時代遅れとみなされる場合も。文化的な文脈や感受性は進化し続けているため、メディアやコンテンツにおける表現と包摂性について議論し続けていくことが重要といえそうだ。

 

(海外ドラマNAVI)

Photo:『フレンズ』©Warner Bros. Entertainment Inc/『ジ・オフィス』© 2009 NBC Studios, Inc. and Universal Network Television LLC. All Rights Reserved.