映画『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』の魅力を編集部メンバーが語り尽くす!

世界中を虜にしたファンタジー『チャーリーとチョコレート工場』で有名な工場長ウィリー・ウォンカの“夢のはじまりを描く『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』。本作の魅力を海外ドラマNAVI編集部のメンバーが語り尽くした。

『ウォンカとチョコレートの工場のはじまり』座談会

日本やアメリカだけでなく、世界60の国と地域でオープニング第1位スタートを記録した本作は、これからのクリスマスシーズンにもぴったり。今回の座談会には、ヒュー・グラントら英国俳優に詳しい編集部U、ポール・キング監督の『パディントン』シリーズが好きな編集部R、ティモシー・シャラメのファンである編集部Sの三名が参加。それぞれの視点から、本作の印象的だったシーンや豪華キャストのすごさ、監督についてなど余すところなく語った。


(※以下ネタバレを含みます)

【作品を見た感想は?】

U:ウォンカが出てくる過去の作品、ジーン・ワイルダー版(1971年の『夢のチョコレート工場』)やジョニー・デップ版(2005年の『チャーリーとチョコレート工場』)も見ていますが、今回はそれ以前のウォンカを描いているので、別の物語ではあるけど、最終的には繋がっていくのかなと感じました。過去の作品を見ていても違和感はないですし、知らない人でもスムーズに入っていけるのではと思います。

ポール・キング監督は『パディントン』シリーズも手掛けていますが、あの作品の原作が私は好きだったので映画化の話を聞いた当初は不安もあったんです。でも1作目だけでなく、普通は難しいと言われる2作目も楽しい作品に仕上がっていました。今回も小説「チョコレート工場の秘密」に描かれたウォンカのプリクエル(前日譚)のような感じですが、難しいとされるような作品もうまく作れる監督ですよね。作品に対する理解や愛情、俳優に対する思いやりも含めて上手く作れる人だなと感じます。いい意味で嫌味がなく、子どもから大人まで楽しく見れる作品ですね。ミュージカルとドラマのバランスもちょうどよかったです。

R:私も『パディントン』シリーズが大好きでお気に入りの映画の一つなんですが、本作の洗濯シーンやピンク色のかわいい衣装を見て『パディントン2』を思い出しました。家族で見るのにぴったりなホリデームービーでしたね。個人の特技を活かし、仲間で結託して巨悪に立ち向かうという王道ストーリーですが、新鮮さも散りばめられていて…。安心して楽しめました。

S:夢と希望に溢れていて、一生大切にしたい作品になりました。ポジティブで幸せな気持ちにさせてくれる素敵な作品なので、これからのホリデーシーズンにもおすすめです。『ハリー・ポッター』シリーズのプロデューサーが手掛けているだけあって、マジカルでワクワクする演出もたっぷり。序盤の空飛ぶ「ホバー」チョコレートのシーンから一気に引き込まれます。ティモシー・シャラメのファンにとっては、歌って踊るティモシーの新たな魅力が見られる作品でもあります。私はIMAXとDolby Cinemaで見たのですが、ティモシーの声に包まれる空間が最高なので、ぜひDolby Cinemaで見てほしいです!

【ティモシー・シャラメの魅力】

U:ティモシーの出演作は私は『君の名前で僕を呼んで』ぐらいしか見ていなくてシリアスなイメージがあったんですが、本作を見るとコメディもいけるんだなと思いました。

R:最初のミュージカルシーンで、歌もうまいんだと驚きました。メロディーが耳に残って、ついつい口ずさみそうになります。

S:これまでグレタ・ガーウィグ監督の『レディ・バード』ではプレイボーイのバンドマン、『ボーンズ アンド オール』では“人を喰べる”衝動を抑えられない青年の役など個性的な役柄も多かったので、本作はまさに新境地な役どころでした。ティモシー史上最もポップで明るいキャラクターだったと思いますが、演技の幅の広さに驚きました。ころころと変わる表情やコミカルな演技がとても愛くるしかったです。ウォンカの少年みたいなピュアさを見事に表現していましたね。

U:20代後半で、ナチュラルにあのピュアさを出せるのはすごいなと思いました。

S:彼の演技力は本当にすごいですよね。私は2018年に『君の名前で僕を呼んで』を映画館で初めて見たときからファンで、彼の美しさだけでなく、繊細な演技にとても魅了されました。『君の名前で~』はティモシー演じるエリオが暖炉を眺めながら涙を流すシーンで終わりますが、後にも先にも映画であそこまで強く余韻を感じた経験はなくて、もちろんルカ・グァダニーノ監督のセンスや手腕もあると思いますが、それを最大限に表現しきれたのは、本当にティモシーの繊細な演技力のおかげで、彼なしにはあそこまでエモーショナルな作品にならなかったのかなと思います。

U:本作のイベントにも参加されたんですよね。

S:そうなんです。今回ティモシーが念願の初来日を果たしたので、公開前に開催された“チョコレート”カーペットにプライベートで行ってきたんです。ラッキーなことにセルフィやサインのファンサまでもらえて本当に嬉しかったです。私の携帯でセルフィを撮ってくれたんですが、1枚目で私が目をつぶってしまったらもう一度撮り直してくれたりと、一人一人にとても丁寧に接していて、彼の誠実でファン思いな人柄を直接感じることができました。世界中が熱狂する大スターでありながら、チャーミングで飾り気のないところも彼の魅力の一つですね。来年3月に公開する『デューン 砂の惑星 PART2』でもまた来日してくれることを願っています!

U:実際にそういう人柄を知ると、好感度も上がりますよね。

【ヒュー・グラントの注目ポイント】

S:ティモシーのほかには、ヒュー・グラントも面白かったですよね。彼が演じるウンパルンパのインパクトも話題ですが、ファン目線で好きだったところや、注目ポイントなどはありますか?

U:ヒュー・グラントといえば、1990年代は『フォー・ウェディング』『ノッティングヒルの恋人』といったロマコメ映画で気弱な主人公をやっていたけれど、2001年の『ブリジット・ジョーンズの恋人』以降に演じるようになった、シニカルなキャラクターの方がピッタリなんです。キング監督と以前に組んだ『パディントン2』の悪役もハマっていて、ラストシーンは何度見ても爆笑ものです。今回のウンパルンパもその路線を継続していて、一挙手一投足、台詞の一つひとつが面白い! 敵なのか味方なのか分からない感じが絶妙です。ヒューはインタビューを見ていても面白くて頭のいいことが分かるけれど、そんな本人の魅力が役を通してあふれていて、物語の後半から登場したにもかかわらず場面をさらっています。エンドクレジットも必見!

R:シェイクスピアの劇には道化が登場しますが、ヒューはまさに本作の「道化」として存在感を放っていましたね。登場シーンはそんなに多くないはずですが、インパクトがありすぎて最初から最後までずっといたような印象があります(笑)

U:そして、ティモシーとヒューはもちろんよかったですが、ヌードル役の子も監督が世界中でオーディションを重ねた末に見つけたらしいですね。

【ウォンカの印象的なシーン】

S:監督は、ウォンカとヌードルが対照的なコンビになるように意識したと言っていましたが、本当に二人の相性が抜群でしたね。

U:彼女はこれまで誰からも愛されず、心がすさんでいて、ウォンカが宿屋の契約書にサインしたときは「またダメな人が来たよ…」と冷めた感じでしたが、ウォンカと一緒に風船で空を飛ぶシーンでは、彼女の気持ちもどんどん高まっていって、打ち解ける様子が綺麗に描けているなと思いました。

S:あのシーンは特に印象的でした。他人に心を開くのが怖いと思っているヌードルがウォンカなら信じてもいいかなと思える感動的なシーンで、ティモシーの魅せるピュアさのおかげで説得力がありますよね。1971年版へのオマージュである主題歌「ピュア・イマジネーション」も大好きですが、このシーンで二人が歌う「フォー・ア・モーメント」も特に好きな楽曲になりました。

R:あそこは本当によかったですよね。自由の象徴として飛び立つフラミンゴも印象的でした。ちなみに、水を差すようで申し訳ないですが、頭の片隅では「ミルク泥棒はダメなのに風船は持って行っちゃうんだ」と考えちゃう自分がいました(笑)

【脇を固める俳優陣の豪華さ】

U:あとはお母さん役のサリー・ホーキンスもよかったです。『パディントン』シリーズでも彼女は、クマのパディントンを引き取る優しいお母さんを演じているんですよね。

S:「仲間とシェアすることが大事だ」というお母さんからのメッセージがよかったです。

U:5人の仲間にチョコレートを分け与えたので、ウォンカは一切れしか食べられなかったですよね(笑)こうしてまたみんなと分け合うために、これからも新しいチョコレートを作っていくんだろうな、と前向きに感じるシーンでもありました。

ほかにも、ウォンカと一緒に捕らえられている『ダウントン・アビー』などに出演している経理役のジム・カーターや、宿のオーナー役のオリビア・コールマンもよかったですね。

R:ローワン・アトキンソン演じる悪徳神父も最高でした! サリーやジム、オリヴィア含め、脇を固める俳優陣が豪華すぎるのもポイントですよね。

S:オリビア・コールマンは、一瞬誰か分からなかったです(笑)それぐらい役への作りこみがすごかったです。

U:ティモシーも彼女の才能はすごいって言っていますもんね。アカデミー賞主演女優賞を手にした『女王陛下のお気に入り』の演技もすごかったですが、『オリエント急行殺人事件』では“静”の役を演じているんです。普段は今回のようなアクの強い役をやることが多くて、そういう役が似合うんですが、『オリエント~』の時はそれこそ一瞬誰だろうと思うぐらい別人で演技の幅の広さに驚かされます。

U:嫌な役を演じていて迫力もありますが、でもどこか憎めないところもあって、キング監督が描くキャラクターって根っからの悪いやつはいないですよね。

S:監督自身がパディントンみたいだと言うファンの人も多いですが、彼の人の良さみたいな部分が作品にも現れていますよね。

U:『パディントン2』で刑務所のシーンがありますが、そこに出てくる囚人たちも今回出てくる“チョコレート組合”や宿屋の人たちみたいに、間抜けなところはあるけど、なんだかんだ憎めないみたいなキャラクターですよね。

そんなあったかい作品なので、クリスマスシーズンにもぴったりな作品だなと思います。

【誰におすすめしたい?】

S:「夢見ることからすべては始まる」というテーマで、大人から子どもまで幅広く楽しめますよね。

U:定期的に伝えてほしいテーマですよね。本作は嘘くさくないところもよかったです。

S:大人になるにつれて、ピュアさというか、夢を見ることって忘れがちになってしまいますもんね。

U:そうですね。実は大人こそが見るべき作品と言えるかもしれません。

R:私自身がそうというのもありますが、個人的には『パディントン』シリーズのファンにも見てほしいです。ダメなところひっくるめて誰かを愛おしいと思えるような、やさしさと温かさ溢れる映画になっていました。

『ウォンカとチョコレートの工場のはじまり』は、全国の劇場にて公開中。(海外ドラマNAVI)

Photo:『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』大ヒット上映中© 2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.