名作SF映画『メトロポリス』ドラマ版が頓挫、有名クリエイターが失意を語る

『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』のクリエイターとして高い評価を得たサム・エスメイルが、2016年より進めていた名作SF映画『メトロポリス』をドラマ化する企画が、ハリウッドのストライキの影響で頓挫したことが明らかとなった。エスメイルが失意を語っている。

ストライキの影響を受け…

1927年に公開されたドイツの名作SF映画『メトロポリス』のドラマ版は、2016年の製作発表当時、一話につき1000万ドルもの予算を投じると報じられていた。

米Deadlineによると、超大作になるはずだった本プロジェクトは、オーストラリアで一部のキャストを迎えて準備が進められていたが、全米脚本家組合(WGA)がストライキを開始した7週間後、エスメイルが総合契約を結んでいるUCPスタジオが、シリーズの製作を中止した。

脚本家でもあるエスメイルは、WGAのストライキ中に自身が関与する作品について語れなかったため、9月末に同組合のストライキが終了するまでドラマ版のキャンセルを明かせなかったそうだ。

大規模で特殊効果を多用するドラマ版の脚本は、5月2日にWGAがストライキを開始する前に完成していなかったため、予算設定をはじめとした、その他プリプロダクションの時点で重要となる取り決めが遅れていたという。

そのような状態でピケ張りが始まり、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)もストライキに突入する気配を見せていたため、UCPは製作開始が延期となれば、広大なステージの建設と保持、労働力、VFX作業に関連するコストが膨れ上がることを懸念。これまでに費やした資金と増大するリスクを鑑みて、スタジオは製作中止を選択し、パートナーであるApple TV+のパートナーに通知したと伝えられている。

7年に渡るプロジェクトの頓挫に「悲痛な思い」

「間違いなく悲痛な思いですが、ストライキ中なので全員が理解していました。それに、オーストラリアで製作に取り組んでいた多くの才能ある人々と仕事をすることが出来て本当に良い経験になったので、一瞬たりとも後悔していません。現時点では正式に中止ですが、ハリウッドですからね。何が起きるかは誰にも分かりませんよ」

全8話となるドラマ版『メトロポリス』で脚本家・監督・製作総指揮を務めることになっており、約7年に渡ってこのプロジェクトに情熱を注いでいたエスメイル。将来的に何らかの形で、ドラマ版『メトロポリス』を完成させることへの希望もにじませた。

なお、エスメイルが監督・脚本を務めたNetflixの新作映画『終わらない週末』が、12月8日(金)より配信開始となる。

Photo:サム・エスメイル Amazon Prime Original『ホームカミング』