ジェームズ・キャメロンがAI論争に反応「私は1984年に警告していた」

ハリウッドで現在起きているストライキの一因であることから、AIの進化がもたらす脅威にあらためて関心が高まる中、映画監督のジェームズ・キャメロンがコメントしている。米Indie Wireなど複数のメディアが伝えた。

『ターミネーター』生みの親が語るAIの危険性

ハリウッドではジョー・ルッソ(『アベンジャーズ/エンドゲーム』)やニコラス・ウィンディング・レフン(『ドライヴ』)、チャーリー・ブルッカー(『ブラック・ミラー』)が脚本を執筆する際にAIを使ったことがあると明かす中、米CTV Newsの取材に応じたキャメロン監督は、「誰が書いたかは問題ではない。重要なのは、それが魅力的なストーリーか否かだ」と発言。とはいえ、自身の監督作ではほぼ毎回、脚本も手掛けるキャメロンはAIを使うつもりはないという。

「あと20年待ってみよう。もしもAIの書いた脚本がアカデミー賞脚本賞に輝いたら、その時に真剣に考えてみればいい」と続け、ハリウッドにおいてAIが脅威になるとは感じていないようだ。

そんな彼が危惧しているのは、別の分野におけるAIの影響。「私は1984年に警告していたが、その声は無視された」とコメント。今からおよそ40年前の1984年に発表した映画『ターミネーター』の中で、近未来で人類と戦争を繰り広げることになる機械が、人類のリーダーをいずれ産む女性を抹殺すべく殺人機マシーンを過去に送り込むというストーリーを描いていたことに言及した。

「AIを兵器として利用することの方がずっと危険だ。我々はAIを使った核武装競争に突入しようとしている。もしこちらが(そういう兵器を)作らなければ相手が作るに違いないという形で、どんどん事態はエスカレートしていく。コンピューターによって戦争が行われるようになれば、人が仲裁する余地はなくなり、状況を段階的に縮小することはできなくなってしまうんだ」と警鐘を鳴らした。

キャメロン監督以外では、「原爆の父」と呼ばれる理学物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの伝記映画『Oppenheimer(原題)』を撮ったばかりのクリストファー・ノーラン監督も、AIに対して同じような見方を示している。

「AIが我々にとってとても便利なツールとなり得ることは間違いない。それに対しては楽観的に捉えているよ。ただ、あくまでもツールとして捉えることが重要だ。それを扱う人は、AIは一つの手段に過ぎず、それを取り扱っていることに責任を持たなければならない。もし我々が人間と同じだけの領域をAIに任せるようになったら、大きな問題を抱えることになるだろう」

(海外ドラマNAVI)

参考元:米Indie Wire

Photo:ジェームズ・キャメロン ©James Warren/Famous