『クリミナル・マインド』あの人も!搾取されている現状を赤裸々に告白

ハリウッドでのストライキに参加する俳優たちが、正当な分配がなされていない現状を明かし、いかに搾取されているかを訴えている。米Deadlineなどが伝えた。

生計を立てるのは無理?放送と配信の差は歴然

63年ぶりに全米脚本家組合(WGA)と全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)が同時にストライキを行っているハリウッド。彼らが訴えていることの一つに“レジデュアル(residuals)”がある。再使用料や印税、著作権料や二次利用料とも呼ばれるこのレジデュアルは、俳優や脚本家の携わった作品が“放送”される際にも生じ、支払われるのだが、一方で“配信”に関する規制は現時点で設けられておらず、何度視聴されたとしても俳優たちの懐には入らない。

今回のストライキでは俳優たちが悲惨な現状を赤裸々に告白しているが、その一人がロングランヒットの犯罪捜査ドラマ『クリミナル・マインド』のタラ役・ルイスで知られるアイシャ・タイラー。「50ヵ国くらいで放送されている番組『Whose Line Is It Anyway(原題)』に出演しているけど、そのレジデュアルは一切ない。私だけでなく共演者たちもすごく不満に思ってる。こんなのは盗難と同じよ。即興が求められるその番組ではすべてのクリエイティブな成果を私たちが生み出しているの。私たちが話を考えて演技もして、すべてを行っているのに、その対価を得ていないのよ」と訴えた。

『クリマイ』キャストでは、ペネロープ・ガルシア役のカーステン・ヴァングスネスも「選択肢はないもの」と闘う理由について説明。十分な生活費を稼げていない現状を憂えるカーステンは、ドラマファンがこのストライキに対して何ができるかと聞かれると、「番組を見て、夢を叶えている人を目にした時、もしかしたら彼らはあなたが思っているほど稼いでいないかもしれない、と見方を変えることから始めてほしい」と優しく呼びかけた。

『シカゴ7裁判』『アメリカン・ホラー・ストーリー』など映画・ドラマ双方で活躍するジョン・キャロル・リンチは、「配信で得られるレジデュアルが、過去に出た酷い作品のレジデュアルの10分の1もないことに気がついた」とコメント。「1997年にゲストとして出演した、『The Visitor(原題)』という1シーズンだけ続いたドラマの一話分のレジデュアルの方が、Netflixで配信されている作品よりも100%ほど多く支払われているよ」と衝撃の事実を明かした。ジョンはまた、ディズニーやワーナー・ブラザースといった歴史の長い大企業はAppleやAmazon、Netflixなどの新しい企業に組合の組織的記録を共有する必要があると主張している。

Disney+(ディズニープラス)のマーベルドラマ『ロキ』の一話に出演したデレク・ルッソは、ディズニーCEOボブ・アイガーが、組合員たちの望みは“現実的”ではないと話したと報じる米Varietyのツイートを引用、「あんたは年間2700万ドル(約38億円)稼いでるだろ。俺は『ロキ』の香盤表で6番目だったけど、収益は1000ドル(約14万円)に満たなかった」と非難。

“モルダー”が粋な形で「真実」を訴える

脚本家のジェイソン・ベルヴィルは、「Netflixの歴史の中でも特にヒットした作品の一つと言える『コブラ会』のシーズン1の脚本を書いた。でも今、僕のポケットの中にあるお金の方が、その作品から得たレジデュアルよりも多いと思うよ。Netflixでは『オレたちスニーカーヘッズ』という作品でも脚本を執筆して製作総指揮も務めた。小規模な作品だったけど、いくつかの国で視聴時間数ランキング1位になったこともあった。でもいまだにその報酬として1ドルたりとも受け取っていない」とコメント。「ケーブルや地上波の放送局のレジデュアルのフォーマットは明確で透明性がある。望む額だったかどうかは別としても、少なくともある程度頼れるものだ。それに対してYouTubeやNetflixの番組は違うんだ。今回の大規模なストライキで求めているのは、数年にわたって頼れる収入を持つこと。そうすれば住宅ローンを支払ったり、子どもを養ったりすることができる」と話している。

『ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則』にスチュアート役として80話以上に出演したケヴィン・サスマンは、「僕にとって大事な問題は動画配信サービスでのレジデュアル。数年にわたり、それが守られてこなかったことを僕は知っている」と自身の体験をシェア。「僕はラッキーだった。出演していた『ビッグバン★セオリー』が何年も放送されたから。でも配信に移行してからは一変してしまった。今の若手俳優たちが生計を立てるのはどう考えても無理だと思う」と将来的な職業としての俳優を心配している。

大ヒットドラマ『X-ファイル』でモルダーを演じたデヴィッド・ドゥカヴニーも“レジデュアル”について訴えた一人だが、そのやり方が彼らしかった。『X-ファイル』に出てきた有名な表現「THE TRUTH IS OUT THERE(真実はそこにある)」にかけて、「THE RESIDUALS ARE OUT THERE(レジデュアルはそこにある)」というメッセージとともにUFOも書かれたモルダー的サインを掲げてピケに参加。「これは転換期。僕たちは自分たちにふさわしい報酬を求めて闘っているだけなんだ」と今後も闘う姿勢を見せている。

(海外ドラマNAVI)

参考元:米TV Insider米Deadline米TV Line

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Photo:『クリミナル・マインド』©ABC Studios